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男性社員の育児休業取得率9割を実現
バリューを徹底し、社員を信頼することで急成長したメルカリ

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社員を信頼することがメルカリの強みに

――マタハラで問題になるのは、育休取得者の穴埋めが評価に反映されないことで、これを“逆マタハラ”と呼んでいます。貴社のように流動性が高いと逆マタハラは生じにくいと思いますが、一方で、評価は煩雑になりませんか。

弊社ではマネージャーが部下を評価していて、3ヵ月ごとに評価を行い、1on1(面談)を活用しながら目標遂行度を確認しています。たとえ評価に手間がかかるとしても、必要なコミュニケーションの一環ですし、それができる人をマネージャーにしているので、不満が出てくることもありません。

株式会社メルカリ HRグループ マネージャー 石黒卓弥さん

また、目標は設定しますが、数字を達成するためにメルカリのバリューである「Go Bold」「All for One」「Be Professional」を犠牲にすることはありません。これらのバリューが評価軸となり、守られている以上、現場に裁量権を任せても煩雑になることはない、と考えています。ルールを厳格に定めると、そこに意識が行き過ぎてスピードが損なわれ、柔軟な対応ができないことがあります。状況は常に変化しているので、現在の会社の規模はこれが最善の方法だと考えています。

――現場に対する信頼が、貴社の強みになっているのですね。

弊社では上司の決裁のための事前準備はほぼ不要で、それぞれの裁量に任せている部分が多いのですが、社員をそれだけ信頼しているからです。社員への信頼感があるからこそ、トップが全体の素早いかじ取りを行なえるのです。新しい社員が入社した後は、メンターやマネージャーがうまく立ち上がっているかどうかをサポートしますが、その後は始終チェックすることはありません。

また、信頼できる人材を獲得するために、入社段階で丁寧に見極めを行っています。採用をコンスタントに続けているため、かなり多くの人数を採用しているという印象があるかもしれませんが、弊社では必要としている人数よりもずっと少ない採用人数だと思っています。つまり、まだまだ人が足りない状況なのです。

――良い人材がそろうことで求心力が高まり、良い循環に入っているのでしょうね。社内に活気があり、自由で楽しそうです。

実際、みんなが楽しんで仕事していると思います。誰もが委縮することなく、自分らしく仕事をできているのではないでしょうか。ちなみに、自由に働けると言っても、現段階では在宅ワークやリモートワークは基本的に行っていません。これも、メルカリのバリューのひとつである「All for One」という考え方に基づくもの。全員が一丸となるために、顔を合わせることを重視しているのです。

――ここでも理念が徹底されていますね。明確な目標を共有することが、成長し続ける秘訣なのでしょう。本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

株式会社メルカリ HRグループ マネージャー 石黒卓弥さん
小酒部さやか(株式会社natural rights 代表取締役)

取材:小酒部さやか(株式会社natural rights 代表取締役)

2014年7月自身の経験からマタハラ問題に取り組むためNPO法人マタハラNetを設立し、マタハラ防止の義務化を牽引。2015年3月女性の地位向上への貢献をたたえるアメリカ国務省「国際勇気ある女性賞」を日本人で初受賞し、ミシェル・オバマ大統領夫人と対談。2015年6月「ACCJウィメン・イン・ビジネス・サミット」にて安倍首相・ケネディ大使とともに登壇。2016年1月筑摩書房より『マタハラ問題』、11月花伝社より『ずっと働ける会社~マタハラなんて起きない先進企業はここがちがう!~』を出版。現在、株式会社natural rights代表取締役。仕事と生活の両立がnatural rights(自然な権利)となるよう講演・企業研修などの活動を行っており、Yahooニュースにも情報を配信している。

ライター:水野宏信/カメラマン:村上岳

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