人事異動に同意しない職員の扱いについて
いつも的確なご回答をしていただき感謝申し上げます。医療法人の悩める人事担当です。
今回も人事異動に絡みご相談申し上げたいことがあります。お忙しいところ恐縮ですがご回答いただけますと幸甚です。
(経緯)
①2年前に施設管理者として採用したものの管理者としての力量や指導力に欠けているところがあるため、4月付で管理者としての任を解き部付の一般職とする異動を通達しました。
②その際、当初の雇用契約内容(職位、配置先や給与など)から大分変動がある為「雇用契約の更改として本人に提示いたしました。
③すると、同意しかねる旨の回答をメールで寄こし「給与の決定等は労働者との同意がなければできない」と言いだしました。
④そのメールに回答する形で就業規則にも給与等の決定(職位、異動先も含め)労働者の同意なく使用者側が決定できることを説明いたしましたが、現在の処返答なく無視している状態です。
(ご質問)
①管理者から一般職へ降格させたため給与が大分下がることになり、また彼を引取ることをすべての部署が拒んだため、やむを得ず総務(用務)に異動することにしたのですが、採用時の労働契約と相違することになる為単なる条件提示と異動通知では不満が残ると考え労働契約(更改)というタイトルの書面を交付したのですが、それを逆手にしてきました。(その「労働契約」に拘り同意がなければ提示の条件は成立しないと言っています)
提示した労働契約に代えて通常の手続きとして労働条件通知を提示し(本人の同意がなくても)給与の変更と異動を行うことは可能でしょうか。(手渡した書面には法人印は押印していません)
②上記変更が難しい場合、他にどのような手段が考えられるでしょうか。これ以上彼を現在の部署に置いておくことは、「百害あって一利なし」の状況です。
お忙しい処誠に恐縮ですが、宜しくお願い致します。
投稿日:2020/04/28 20:13 ID:QA-0092652
- 苦慮する人事さん
- 千葉県/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、当人の言われる通り労働契約につきましては双方の合意があって初めて成立するものになります。
但し、文面上の異動や降格及びそれに伴う減給等の措置が就業規則の定めの範囲内で行われているものであれば、そうした措置は既に合意済みの労働条件に含まれるものといえますので直ちに違法とはなりません。
従いまして、労働契約書も労働条件通知書も必須の文書ではないので、適法な異動内容であれば単に異動・降格の通知書のみでも差し支えないものといえます。
ちなみに、どうしても異動等の措置に納得されず話し合いにも全く応じないという事であれば、合意がなされない以上御社でも労働契約を続ける義務はないものといえますので、最終的には解雇も検討されてよいものといえるでしょう。
投稿日:2020/04/30 18:09 ID:QA-0092693
相談者より
適切なご回答をいただき、大変助かりました。頂いたコメントを参考に進めてまいりたいと思います。
ご回答有難うございました。
投稿日:2020/05/01 09:16 ID:QA-0092718大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
まず、人事異動は会社に裁量権の範囲で広く認められており、労働契約上、職種限定の特約がない限りは、就業規則の規定に従い行使することができ、一方で労働者には異動命令に対して、正当な事由が無い限り拒否することは出来ないものであって、命令に従わない場合には違反行為を理由として就業規則の規定に基づき解雇することもやむを得ないものとなります。
賃金に関しても、賃金規定等において、降格・降職で賃金が変更になることが予定されていれば、降格・降職の結果、賃金が減額となっても違法ではございません。
この「降格・降職で賃金が変更になることが予定されている場合」とは、通常、賃金が職務や職能(資格・等級)に対応している場合であり、その場合、職務や職能による格付けがダウンしたために賃金が下がっても、それは職務や職能(資格・等級)が変更になった結果として賃金が変更になるにすぎず、減額ではございませんので、労働者の同意を必要とするものではございません。
したがいまして①に関しまして、労働条件通知書を交付し、給与の変更と異動を行うことは、あくまで人事権の行使であり、変更後の労働条件に本人の同意を求める必要はないということになります。
②に関していいますと、このような問題社員に対しては、まず、「能力が足りていない」と、会社としての評価を率直に伝え、一定期間改善方法を双方で考えて指導し、その内容を記録に残していくことが大事です。
指導の効果が見込めず、能力不足が解消できない場合は、会社としての評価を伝えた上で、まずは退職、転職を勧めることになるが、どうしても応じない場合は、最悪、解雇することになります。
会社としては一生懸命指導したにもかかわらず、改善できなかったということを説明できるようにしておくことが重要になります。
さらに、解雇する前に当該社員の能力に見合う仕事を与え、雇い続けようとしたが、それでもダメだったので、やむを得ず解雇したということが必要となりますが、当該社員を引取ることをすべての部署が拒んだため、やむを得ず総務(用務)に異動させたという事実もあります。
本来、後日のトラブルを少しでも減らすためには、「できる限り解雇しない」ということが大事ですが、もう解雇するしか他に方法がないということになれば、最低限こういう手順をふんでいくことなるでしょう。
投稿日:2020/05/01 08:38 ID:QA-0092716
相談者より
ご回答ありがとうございます。道のりは長いですが、いただきましたコメントを参考に進めていきたいと思います。
投稿日:2020/05/01 11:37 ID:QA-0092726大変参考になった
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