転勤者の社宅料
この度、大阪に自家を持つ従業員に、東京への転勤を命じました。単身で赴任するということで、借上げ社宅を準備し、その社宅料を本人に伝えたところ、「自家のローンは払った上で社宅料を払うのは大変である。何故、社命で転勤するのに社宅料を徴収されるのか」と質問を受けました。社宅料は通常借りるよりは安く設定していますが、それでも今より個人の負担が増えるのは確かです。転勤者の社宅料って無料が常識なのでしょうか。有料が常識なのでしょうか。有料が常識の場合、どのように納得させればいいのでしょう。
投稿日:2012/03/22 14:40 ID:QA-0048923
- *****さん
- 京都府/化学(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
原則的事項を理解した上で、現実的措置を検討
|※| まず、いくつかの原則を明確に認識することから、適切な措置を検討するのがよいでしょう。 .
《 原則1 》 就業規則に明記されていれば、社員は転勤命令に従わなければなならい。 .
《 原則2 》 転勤命令に従ったことに伴い発生する費用は、会社が負担すべきである。 .
《 原則3 》 単身か否かに関わらず、会社が寮・社宅を提供する場合、一定の計算式に基づく金額以下の家賃しか徴収しなければ(ゼロ家賃を含む)、給与課税される。 .
《 原則4 》 単身赴任するかどうかは、基本的に社員側の事由である。 .
|※| 次に、多くの企業では、単身赴任を是認し、主として経済的負担の軽減措置を講じています。ご相談の事例では、課税されない範囲内で、家賃徴収し、別途、家賃徴収を含め、単身赴任に伴う諸々の推定経費の一定率を、単身赴任手当をして支給するのが、現実的でしょう。具体的な金額や支給基準は、企業毎に違いますが、《 原則3 》 の計算式は、次の通りです。 .
|※| 『 使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます)以上を受け取っていれば給与として課税されません。
▼賃貸料相当額とは、次の(1)~(3)の合計額をいいます。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
▼使用人に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。
▼使用人から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。
▼しかし、使用人から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません 』
投稿日:2012/03/22 21:11 ID:QA-0048931
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/03/23 08:50 ID:QA-0048940大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、転勤及び転勤に伴う社宅その他の住居費用の負担等につきましては法的に義務付けられた事柄ではなく、各会社で就業規則において任意に定めて取り決める事柄になります。
従業員は社宅料徴収に不満を持っているようですが、転勤命令の定めや社宅料徴収の定めが就業規則(※社宅規程等も含みます)上に置かれていれば、労働契約の内容としまして入社時に包括的合意を得ていることになりますので、周知義務を果たしていれば規定内容に従うことが求められます。また一般的にも社宅料徴収は広く行われていますので、近隣賃貸住宅と比べ高額の料金を徴収する等社会通念に反しない限り問題はないものといえます。
従業員の不満ですが、社宅料徴収のみならず転勤を命じられた事自体にあるようにも思われます。家庭の事情等何か配慮すべき事情があるかもしれませんので、当人に転勤を命じた理由についてきちんと説明された上で、特別な事情があれば何らかの支援を検討されることも視野に入れてよいでしょう。但し、他の従業員との公平性の観点からも安易な要求には応じないこともまた重要といえます。
投稿日:2012/03/22 22:45 ID:QA-0048934
相談者より
ありがとうございました。
投稿日:2012/03/23 08:51 ID:QA-0048941参考になった
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