競合企業への転職
競合企業が業務から撤退(一部別の会社への事業譲渡)するにあたり、そこの営業マンを採用したいと考えてます。
そこの会社には退職金の早期退職優遇割増が、あるのですが、競合会社に就職する時は、割増分を受けられず、後で発覚したときは返還しなければならないとなっているそうです。
当社に転職することは、社内では、まだ話していないそうですが、当人は「割増退職金は諦めてでも、当社へ転職をする。」意向です。
当人の決断ではあるのですが、このような瑕疵(?)を抱えた転職で、後々後悔されても困ります。
このような契約が、有効なのでしょうか
「職業選択の自由」という基本的人権に触れるのではないかと思ってます。
アドバイスをお願いします。
投稿日:2006/03/28 09:30 ID:QA-0004200
- *****さん
- 東京都/商社(専門)(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
競合企業への転職
■現行法上競業避止義務が課されるのは、取締役や支配人だけですが、競業禁止の特約は、職業選択の自由の制限、被用者の生活権の収奪に繋がる恐れが大きく、数多くの判例の積み重ねから、5点の特約の合理性判断基準に整理されています。
1. 根拠とする就業規則上の規定等を要すること(被用者と使用者のあらかじめの合意の存在)
2. 当該使用者のみが有する特殊固有な知識、技術や人的関係などの(一般的知識、技術でないこと)秘密の保護であり、正当な目的を有するものであること
3. 競業制限の職種、期間、地域的制限が被用者の職業選択の自由を不当に制約するものでないこと
4. 被用者の元使用者の下での地位・職務が営業秘密に直接関わるなど、競業避止を課すに相当なものであること
5. 相当の代償が与えられ、被用者と使用者の各々の法益保護においてバランスがとれていると判断されるものであること
■競合企業と退職社員の間における競業禁止の特約内容が分らないので詳細には申し上げられませんが、① A社が全面撤退すること(職業選択の自由性のウエイトが大きくなる)② 退職金の優遇割増部分の辞退という限定された経済的放棄で決着が図れる、という観点から、訴訟を含めた問題に発展する可能性は小さいと思います。なお、<「職業選択の自由」という基本的人権に触れる>というのは、競合企業側のリスクで、御社や当該営業マンが心配すべきことではありません。当該営業マンにとってみれば、むしろ自分の権利そのものです。なお、ご心配な節には、早期退職に関する競合企業の条件書を入手し、上記、1-5の観点からチェックされることをお勧めします。
投稿日:2006/03/28 11:32 ID:QA-0004202
相談者より
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2006/03/28 11:46 ID:QA-0031722大変参考になった
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