業務委託をしている個人事業主との契約解除について
いつも拝見させて頂いております。
有識者の皆様のご意見を頂戴したくご相談しました。
当社営業組織には正社員と業務委託のメンバーが混在しており、
業務委託のメンバーは完全歩合の報酬制で委託契約を結んでおります。
業務委託契約であるメンバーの一人がある日音信不通になってしまい、
自宅への訪問や電話、メール等でコンタクトを図っていますが連絡がつかないまま4カ月程経過してしまっています。催告状を内容証明郵便で送付しましたがそちらも不在のまま保管期限が過ぎ、返戻されました。
会社として出来うる接触は試みたつもりです。
業務用スマートフォン等の会社貸与品の回収や報酬の精算等を全て完了し、委託契約解約の手続きを進めたいと思っていますが、上記のような状況の為、正規の手続きを進めることは困難かと思います。
上記のような場合こちらから一方的に委託契約の解除をすることは可能でしょうか。
その場合会社貸与物の返却等は難しいと思いますので戻ってこないのは仕方ないとは思っていますが、会社側から一方的に解約通知を送ることは問題ないのかが不安です。
ちなみに委託契約書には
●契約解除の項目
上記のようなケースで契約解除ができるような明記はありません。
●任意解約の項目
「相手方に二カ月前までに書面通知をすることで解除できるものとする」との明記があります。内容証明は返戻されてしまっているためこの場合通知したものとして効力があるのかも微妙なところです。
対応方法についてぜひアドバイスを頂きたく存じます。
よろしくお願い致します。
投稿日:2025/08/21 12:48 ID:QA-0156961
- アースーアーさん
- 東京都/建設・設備・プラント(企業規模 11~30人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
相手方が業務を放棄して音信不通 という債務不履行状態にあるため、
解除は正当理由に該当します。民法上も委任は各当事者がいつでも解除できる
としておりますので、会社側から一方的な解約通知の送付も可能です。
内容証明が返戻された件は、相手方が住所地で受領しないのは自己責任です。
貴社は通知義務を果たしており、送付記録もありますので、大きな問題に発展
することはないかと思案いたします。
投稿日:2025/08/21 13:49 ID:QA-0156962
相談者より
ご回答ありがとうございました。一方的な解除通知を会社として行うことに不安がありましたので安心しました!大変勉強になりました。
投稿日:2025/08/21 15:01 ID:QA-0156966大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 一方的な委託契約解除は可能か
業務委託契約は「民法上の請負契約または委任契約」に基づくものです。
請負契約は仕事の完成を目的とし、途中解約は原則できません(民法第632条以下)。
委任契約の場合、各当事者はいつでも解除できます(民法第651条1項)。
営業活動や成果報酬型の場合、多くは「準委任契約」とみなされることが多く、この場合は相手方が音信不通で実質的に履行不能である以上、解除自体は可能と解されます。
2. 契約書上の「2か月前通知」条項について
契約書に「解除は2か月前までに書面通知」と明記がある場合、通常はこの手続に従う必要があります。
ただし、
相手が4か月間音信不通であり、
内容証明も「受け取らず返戻」されている
という状況であれば、
「通知を送付したが相手方の受領拒否または所在不明により受領できなかった」ケースにあたり、裁判実務上も発送をもって通知の効力が認められる場合があります。
(民法97条「意思表示は相手方に到達した時に効力を生ずる。ただし、相手方が受領を妨害したときは到達したものとみなす」)
したがって、すでに内容証明を発送していることで「通知を尽くした」との主張は可能です。
3. 実務的な対応方法
再度の解約通知を内容証明で発送
・返戻されても「発送事実」を証拠化できる。
・文面には「長期間連絡が取れないため契約履行不能と判断し、○月○日付で解除する」旨を明記。
社内処理として契約終了扱い
・報酬精算を確定させ、未払い等がなければ支払い停止。
・貸与物が戻らない場合は損害賠償請求権は残りますが、現実的には困難。
リスク管理
・後日相手方が現れた場合、契約終了について争いが起きる可能性がゼロではない。
・そのため、必ず「発送証拠(内容証明・配達証明)」を残す。
・契約解除日から2か月分の経過期間を置く形で通知すれば、相手からクレームが来ても反論しやすい。
4. 今後の契約書改善ポイント
「連絡不能が○か月以上継続した場合、催告なしに解除できる」条項を入れておく
「貸与物未返却の場合は返却をもって精算完了とする」などを明記しておく
解約通知の方法として「発送をもって効力を生じる」と定める
5.まとめ
現状でも「音信不通・履行不能」という事情を理由に、一方的解除は可能と考えられます。
ただし証拠を残すために、改めて内容証明郵便で「解除通知」を発送しておくことが望ましいです。
契約終了日については「通知発送から2か月後」としておくと、契約条項上も安全です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/21 16:09 ID:QA-0156974
相談者より
この度は詳細なアドバイス誠にありがとうございました!今後の対応について対応していきます。今後の契約書についても一度見直します。大変勉強になりました。
投稿日:2025/08/21 16:51 ID:QA-0156982大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
業務委託契約について、債務不履行なわけですから、
契約解除しても問題はありません。
契約書をよく確認するとともに、損害が生じているのであれば、
損害賠償請求をすべきか検討する余地もあります。
投稿日:2025/08/21 16:20 ID:QA-0156977
相談者より
この度はご回答誠にありがとうございました!大変勉強になりました。
投稿日:2025/08/21 16:52 ID:QA-0156983大変参考になった
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