HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

日本オラクル株式会社 取締役 代表執行役社長兼CEO

杉原 博茂さん

データベースの名門をクラウドでNo.1企業に変革する
原点は「多様性」を目の当たりにした米国体験

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日本オラクル株式会社 取締役 代表執行役社長兼CEO 杉原 博茂さん

誰もが知るデータベース・ソフトウエアで世界のIT業界をけん引してきた名門企業・オラクルが今、急ピッチで変革を進めています。目標は「クラウドでナンバーワンの企業」になること。その改革の先頭に立っているのが、2014年4月から日本オラクル代表執行役社長兼CEOを務める杉原博茂さんです。通信、ストレージ、ネットワーク、サーバーと、ITや通信に関わる幅広い分野でキャリアを重ねてきた、いわばこの業界のすべてを知るプロの経営者。日米、さらにアジア各国にまたがるビジネス経験のバックグラウンドにあるのは、学生時代に留学先のアメリカで目の当たりにした「ダイバーシティ」だったといいます。クラウド分野の拡充を進めるとともに、人事部門向けの最新サービス「HCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)クラウド」でも存在感を増しつつある日本オラクルのトップに、ビジネス観やマーケットの見通し、これからの戦略などについて詳しくお聞きしました。

プロフィール

杉原 博茂(すぎはら・ひろしげ)●1960年生まれ。1982年、米国の大学を中退後、日本に帰国し、フォーバルに入社。1989年、フォーバルアメリカインクに出向。1993年、インターテルに転職し、アジア太平洋地域担当の役員、日本の現地法人の社長を兼任。その後、EMC、シスコシステムズ、日本ヒューレット・パッカードを経て、2013年にオラクル・コーポレーションに入社。2014年から現職。

ダイバーシティに触れた米国から帰国、通信革命の渦中に飛び込む

―― グローバル企業で長く要職に就かれている杉原社長ですが、やはり留学は大きな経験だったのでしょうか。

そうですね。私は子どもの頃から、両親に「日本だけにとどまらないで海外で見分を広げてこい」と言われてきました。どうせ行くなら世界一の大国、アメリカがいいと考え、高校を卒業後はアメリカの大学に入学しました。親はどうやら国連のような国際機関で働いてほしかったようですが、私自身には「良い大学を出て一流の役所や会社に入ってサラリーマンになる」という感覚はまったくありませんでした。実家が会社を経営していた影響もあり、自分も起業してグローバルなビジネスシーンで活躍したいと漠然と考えていたのです。

最初の留学先は自由な土地柄で知られる、アメリカのカリフォルニア。 その後、中西部、オクラホマの大学へ編入、経営管理学を専攻し、国際経済や国際経営学を主に勉強していました。同時に当時最先端だったコンピュータ・サイエンスの単位も取りました。1980年前後ですから、まだパソコンが普及する前。「COBOL」や「FORTLAN」、「BASIC」「C」といったプログラミング言語、コンピューターの原理、などを学びました。

―― 留学で得たものを一つ挙げるとすれば何でしょうか。

「ダイバーシティ」に触れたことですね。大学には、さまざまな国から来た、さまざまな人種の人たちがいました。メキシコ人、タイ人、イタリア人やスイス人の友達もできたし、高校時代までは硬派の体育会系でガールフレンドさえいなかったのに、男女分け隔てなくつきあえるようになったし、今で言うLGBTの人たちも周りにはいました。当時のカリフォルニアには、ヒッピーのような人もいました。さまざまな人と知り合うのは楽しかったし、素晴らしいことだと思いました。また、多種多様な考え方があることに衝撃を受けました。

アメリカでは4年半の学生生活を過ごしましが、その時に得た感覚は、その後のビジネスキャリアにも間違いなく生きていると思います。未知の人たち、未知の文化、未知の言語。それらをとても素直に受け入れられるようになりました。

―― そのままアメリカで働くことは考えませんでしたか。

日本オラクル株式会社 取締役 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂さん インタビュー photo

それはなかったですね。大学時代、経営学の本はもちろんですが、日本の歴史小説もたくさん読みました。海外で日本と日本人である自分を見つめ直した結果、自分のアイデンティティーがはっきりしたんです。アメリカの競争社会でやっていくには、自分はまだ中途半端。まずは日本で自分をしっかり確立して、それから海外に出ても遅くない。そう考えて、いったん帰国して就職する道を選びました。

最初に入った会社は、電話機をはじめとした通信機器を扱う「フォーバル」です。1980年代前半は、電電公社が民営化してNTTになり、通信業界に大きな変革の波が押し寄せていた時代。フォーバルは決して大企業ではありませんでしたが、通信のあり方が大きく変わる時代の先頭を走るベンチャーの一社でした。私は「将来起業したい」という思いがあったので、起業するための勉強になりそうなベンチャーを選んで働くことにしたんです。

職種は法人営業。でも、単に電話機を売るということではなく、NTTに代表される既存のビジネスモデルを新しいものに書き換えてやろうという熱気の中で仕事に取り組んでいました。非常にダイナミックでしたね。フォーバルは当時最速の創業8年目で株式店頭公開を達成しましたし、当時の大久保社長(現会長)は30代で「第1回アントレプレナー大賞」を受賞しています。LCRによる安価な長距離電話サービスやスマートフォンのさきがけが登場したのもこの頃でしたね。そして1989年、フォーバルのアメリカ進出を任されるというチャンスが巡ってきたんです。


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