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となりの人事部
日本の人事部「HRアワード2017」受賞者インタビュー
第87回 森下仁丹株式会社

オッサンも変わる。ニッポンも変わる。
第二の人生を賭けたチャレンジ求む
森下仁丹の「第四新卒採用」とは

森下仁丹株式会社 専務取締役 事業統括担当 兼 ヘルスケア事業本部長 森下雄司さん
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森下仁丹株式会社 専務取締役 事業統括担当 兼 ヘルスケア事業本部長 森下雄司さん
2017年3月1日、一般新卒採用の解禁日に合わせて掲載されたある求人広告が、大きな注目を集めました。「オッサンも変わる。ニッポンも変わる。」というインパクトあるキャッチフレーズで、「第四新卒採用」と題したその広告を打ち出したのは、120年以上の歴史を持つ老舗企業・森下仁丹。社会人としての経験を十分積んだ後も仕事に対する情熱を失わず、次のキャリアにチャレンジしようとする人材を、性別・年齢を問わず採用するその取り組みは、日本の人事部「HRアワード2017」で企業人事部門 優秀賞を受賞しました。森下仁丹はなぜ、中高年の新しい働き方を提案する新たな採用に乗り出したのか。同社専務取締役の森下雄司氏にうかがいました。
プロフィール
森下仁丹株式会社 専務取締役 事業統括担当 兼 ヘルスケア事業本部長 森下雄司さん プロフィール写真
森下 雄司さん
専務取締役 事業統括担当 兼 ヘルスケア事業本部長
もりした・ゆうじ●1995年甲南大学経営学部卒業後、三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)入行し、支店での法人営業、業務出向、本部業務に従事。2007年に森下仁丹に入社。健康カウンセリング事業、化粧品事業、業務提携などの新規事業開発、海外事業担当、経営企画部長、ヘルスケア事業本部長、カプセル事業本部長を経て、現職に至る。

「第四新卒採用」で求めたのは、第二の人生を賭ける気概のある人材

―― 2017年に「第四新卒採用」と銘打ち、40~50代を中心とした中途採用を展開されました。なぜ、この世代の採用を強化されたのでしょうか。

当社ではこれまでも中途採用を行ってきましたが、その多くは若手や第二新卒など、20代が中心でした。業界によっても違うでしょうが、転職市場全体を見ても、比較的若い世代に主軸が置かれていると思います。30代後半より上の世代は、世の中で言われているほど活況だとはいえないのではないでしょうか。

当社は業績の影響もあり、2000年前後から採用を抑えていた時期がありました。他社へ転職した方もいるので、結果として現在の人員構成は少しいびつな状態になっています。会社の持続可能性を考えると、事業の中核をなす人材が不足しているのではないかと感じていました。もちろん、今いる若手社員が早く成長できれば、それに越したことはありません。しかし若手を育てるには、中心になって引っ張っていく40代や50代の方が必要だと考えました。

「第四新卒」は造語です。業務経験がない若手を募集する「第二新卒」があるなら、もっと上の世代を対象とした「第三新卒」があってもいいじゃないか、と考えたのですが、第三新卒という言葉は既に存在していた(大学院博士後期課程の履修などにより、25歳以上で就労経験のない若手を指す)ので、第四新卒という表現に落ち着きました。

―― 今回の募集では、第二の人生を賭ける気概のある人材を求めていたそうですね。

実は弊社の社長である駒村も、2003年、52歳のときに第二の人生を賭けるべく森下仁丹にやってきた人材です。大手商社で活躍し、安定した人生が約束されていたにもかかわらず、目標を持って働き続けるために早期退職。当時赤字が続いていた森下仁丹の再建に乗り出したのです。

改革の道のりは平たんなものではありませんでした。駒村は会社組織を根本的につくりかえ、かつての主力商品だった仁丹から、独自のシームレスカプセル技術を生かした事業の見直しと転換をはかりました。「ビフィーナ」に代表される独自性のある製品に注力するとともに、カプセル技術の可能性を再認識し、用途拡大を実行するなど、2006年の社長就任後、会社としての売上の中身は大きく変容し、収益も安定しました。

今後は現状に満足せず、次の成長期に向かっていかなければなりません。そこで、今回の「第四新卒採用」で、かつての駒村のような気概を持ち、弊社にやってきてくれる方を募集したのです。

―― なぜ経験者に限らず、広く募集を行ったのでしょうか。

これまでも、この世代の中途採用は行ってきましたが、その多くは医薬品や食品の研究者など、同業の出身でした。しかし中には、長く経験を積んできた前職でのやり方に固執してしまう人もいました。会社がよくなるのであれば、新しいことは積極的に取り入れていきたい。しかし、新しいことをそのまま持ち込むだけでは融和しない、というのが今までの実感としてありました。

専門性を求められる研究職でなければ、他業界の出身者にも活躍できる環境はたくさんあります。ならば出身業界やこれまでの経歴は問わず、森下仁丹を何かしらの形で変革させていく原動力となるような方、周りを巻き込みながらチャレンジできる方、広い視野を持って行動できる方にぜひ入っていただきたいと考えました。

キャッチーな広報で、会社の“今”を広く伝える

―― 「第四新卒採用」というネーミングをはじめ、一般新卒採用の解禁日に合わせて新聞に全面広告を出すなど、インパクトのある採用広報を行っていました。

今までは転職サイトを通じて募集してきましたが、それでは転職に関心のある人にしかメッセージが届きません。しかし今回は、いろんな方に今の森下仁丹の姿を伝えたいという思いがありました。40代以降にはやはり「仁丹」に対する根強いイメージがありますし、若い人は当社の存在をあまり知らないと思います。企業広報は継続的に行っていますが、採用広報を通じて広く知ってもらうチャンスだと捉えました。

新聞や動画を使ったプロモーションは、広告代理店などにもご協力いただき、どんなことができるか他社の事例もヒアリングしながら決めていきました。「オッサンも変わる。ニッポンも変わる。」というキャッチコピーも、ご提案いただきながら社内で議論し、私たちが今回の採用で考えていることを端的に表せたと感じています。また、ビジュアルには社長の駒村を登場させています。今回採用したい人物像とも重なる駒村の姿で、見た人たちへのメッセージを伝えられればと思ってのことです。また、モノクロのビジュアルは、いろいろな受け止め方ができると思います。ともすると暗い印象を受けるかもしれませんが、そこに光を当てたのは、自分自身のことだと感じてほしかったからです。

実際に、エントリーシートや面接中にも「広告を見て、もう一花咲かせてみたいと思った」「まったくの異業種だが、新しい挑戦をしようと揺さぶられた」といったコメントをたくさんいただきました。広告をご覧になった方にとって、何かしらの刺激になったのであれば、うれしく思います。

―― 募集開始後の反響はいかがでしたか。

受付初日の3月1日の時点で多数のエントリーがあり、とても驚きました。もちろん先着順ではありませんので、じっくり考えたり家族と相談されたりしてからエントリーされた方もいらっしゃるでしょう。ほとんどの方は現業をお持ちにもかかわらず、まずはエントリーというアクションに結びついたのですから、ありがたい話です。転職は考えていなかったにもかかわらず、広告を見てエントリーした、という方もいらっしゃいました。最終的にエントリーをいただいた方は、2000人以上にのぼります。

今回の取材のようにマスコミに多く取り上げていただいたり、シニア活躍の観点で他の企業や省庁からヒアリングの依頼があったりと、採用活動から離れたところでの反響も大きかったですね。私たち森下仁丹がどのようなことに取り組んでいるかを知ってもらうのに、貴重な機会になったと思います。


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1. *****さん その他業種 兵庫県
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