「100人いれば、100通りの働き方」を実現
サイボウズでの仕事を複(副)業とする人材を
募集する「複業採用」とは
サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長 中根弓佳さん
サイボウズ株式会社 事業支援本部 人事部採用担当 武部美紀さん
通常の中途採用では想定できない多様な人材が応募
実際に、どのような人材がどんな職種で応募されたのでしょうか。
武部:どの職種でも複業採用OK、という形でやるのがベストだと思っていたのですが、このような採用スタイルが世間にどれだけ認知されるのかがわからず、どのくらい応募があるかも読めませんでした。そこで、積極的に募集する職種とそうでない職種に分けることにしました。例えば、製品プロモーションのマネージャー候補やWebプランナーなどは、積極的に募集したポジション。クラウドサービスの運用は、募集を控えたポジションです。業務の性格上、イレギュラーな勤務体制が発生しやすいからです。
募集当初はメディアに取り上げられたり、SNSを通じて拡散したりしたので、かなり多くの応募がありました。その後、徐々になだらかになっていきましたが、複業採用だけに多くの応募があってほしいと願っていたわけではなく、あくまでも入口の一つとして設定していたので、それでいいのではないかと思っています。
応募者には、通常の中途採用ではなかなか応募してくれそうにない方々が多かったのが、印象深いですね。現在在籍している会社が副業OKの方や個人事業主の方、また、会社の経営者や農家の方、お寺で働いている方もいました。総じて年齢層は高めでしたが、「経験やスキルはもちろん、自立している方を重視して選考します」と事前にメッセージを発信していたので、それをくみ取ってくださったのだと思います。
選考基準はどこに置かれたのでしょうか。
武部:通常の中途採用と特に変わりません。最も重視したのは、志望動機です。いろいろな方に応募していただいたからこそですが、働き先がなくて何とか自分のスキルを活かせないか、と応募された方も見受けられました。もちろん、そういう考えで応募してくれることもうれしいのですが、やはり、サイボウズで複業する意義・意味がどこにあるのかを重視しています。「他の会社でもできるのではないか」「他のやり方があるのではないか」という方は、サイボウズでなくてもいいかもしれない。そのため、面接では「なぜサイボウズで複業をしようと思ったのですか」と、必ずたずねています。
「複業採用」で、実際に入社した方はいらっしゃるのでしょうか。
中根:ブランドマネジメント担当者と、エンジニアの二名が入社しています。二人とも大変活躍してくれていますが、たまたま複業採用というプロモーションをした後に入社した人材、としか捉えていません。社内には、既に複業(副業)している人もいれば、短時間労働の方もいますからね。当社にはすでにリモートワークを行っている社員もいますが、そういった環境が構築されているからこそ、複業の方を受け入れることができ、その知見を活かすこともできるんです。
武部:通常、複業採用のような形で入社された方が目立ってしまうと、チームとしては受け入れに戸惑うかもしれません。「情報共有はどうしようか」「他でどんな業務をやっているか全く知らなくていいのか」など、いろいろな疑問や難しさが出てきますからね。当社は働き方が多様な従業員が珍しくない環境なので、うまくなじめたのだと思います。
「複業採用」で入社した社員の方々が活躍できるよう、人事として何か工夫はされていますか。
中根:複業採用だから工夫している、ということはありません。強いて言えば、社会保険の対応や雇用上の時間管理、契約方法ですね。人事部門と法務部門が連携しながら、サポートしています。