「100人いれば、100通りの働き方」を実現
サイボウズでの仕事を複(副)業とする人材を
募集する「複業採用」とは
サイボウズ株式会社 執行役員 事業支援本部長 中根弓佳さん
サイボウズ株式会社 事業支援本部 人事部採用担当 武部美紀さん
採用の理想像を議論し、複業採用のアイデアへたどりつく
複業(副業)の自由化から、さらに「複業採用」へと至った理由や目的をお聞かせください。
武部:2012年から複業(副業)をしている人が増え、社内でもそれが当たり前になってきている状況のなかで、「サイボウズが今後もやりたいことをやっていくには、どのように人を増やしていけばいいのか」について、人事部で議論しました。そこで、「普通に中途採用を続けていく方法もあるけれど、100%フルコミットすることを条件にしなくてもいいのではないか。本業を持っていても、能力があり、経験・スキルをサイボウズで活かしてくれて、同じ方向を向いてくれている人ならば、ウェルカムだよね」という意見が出たんです。意図的に「複業」の方を採用しようとしたのではありません。
中根:「一日5時間だけ働いて、他の時間は育児に使いたい」という人や、「他の会社でも働きたい」という人がいても、問題ないのではないか。サイボウズに入社して、「チームに対してコミットしたい」という気持ちが重要だと考えました。サイボウズに共感してくれる人たちを大勢集めたくても、フルコミットの人だけに限定していたら、なかなか集められません。それなら、複業をしていても、本当にサイボウズで仕事をしたい人を仲間に迎えよう、ということです。「複業採用」という新しい採用手法を生み出した、という言い方もできますが、複業(副業)自体はすでに会社で認めていたので、「サイボウズでは、こういう人も社員として迎えますよ」と打ち出しただけなんです。
武部:私たちは複業採用以外に、障がい者採用やU-29採用(ユニーク採用)も行っています。「そういうことをやっています」とあえて言わないとなかなか届かないので、いろいろな切り口を見せていこうと考えています。
改めて、「複業採用」の概要をご説明ください。「副業」ではなく「複業」という位置付けでいいのでしょうか。
武部:一言でいうと、サイボウズでの仕事を「複業」としてやってくれる人材を募集する採用方法です。「副業」ではなく「複業」と位置付けています。「副業」だと、メインの仕事ではなく、ちょっとした収入が得られたらいいな、というイメージがありますよね。しかし、私たちが思い描いている「複業」は収入を得るための活動に限らず、地域活動やボランティア活動、子育てや介護も含めて、ライフスタイル全般に関わる活動のこと。メインがあってサブ、という位置付けよりも、パラレルやマルチといった方がいいかもしれません。私たちの理念に共感してくれて、自分の経験やスキルを活かす場として使ってもらいたい。そんな想いを込めて、「複業」と名付けています。
中根:先ほど、仕事とは価値を創造していくことだとお話しました。介護や育児なども含めて、自分が自分らしく生きるための価値創造活動をマルチにやっていく。「それを許容していますよ」と前面に打ち出しているのが「複業採用」です。