人材不足の中で繰り広げられる採用合戦 「優先紹介」は可能なのか――?
情報提供やキャンペーン…… 紹介会社のモチベーションアップをねらう企業
「人手不足」がニュースになっている。特に建設関係の技術者や技能者、飲食・サービスの店舗スタッフなどの不足が話題になることが多いが、こうした職種を扱う人材紹介会社は限られている。人材紹介の業界では、この数年間、スマートフォン分野のITエンジニアやゲーム開発者、技術者やセールスエンジニア、専門的な知識を持つ営業職といった職種で、即戦力となる人材の激しい採用合戦が続いている。同じような募集が多いので、「当社を優先的に紹介してほしい」という企業も増えている。
紹介料上乗せキャンペーンも
「お手もとにお配りしたのが、現在の募集職種の一覧です。いずれも緊急を要する募集ですので、ぜひサポートをお願いします」
採用に力を入れている企業が、人材紹介会社の営業担当者やキャリアコンサルタントを招いて行うオリエンテーション。やはり、求人票をメールで送ってくるだけよりも熱意を感じる。激しい採用合戦の中で少しでも自社を優先してもらうために、企業側も情報提供に力を入れているのだ。募集の狙いや人材に求めるスペックについても質問できるので、転職希望者に「どんな会社か」を説明しやすくなり、企業とのマッチングの精度も高くなる。
「今回は紹介強化キャンペーンを実施します。資料の中で印のついている職種は、通常の紹介料にさらに上乗せします」
採用専門のチームがある企業の場合、採用目標は営業の売上目標と同じで「必達」を求められる。そこで採用予算にメリハリをつけ、難しい募集、競合が多い募集などの場合には、紹介料上乗せキャンペーンなどを行い、人材紹介会社のモチベーションを上げるという作戦である。
もちろん人材紹介会社にとって、紹介料の上乗せは非常にありがたい。しかし、「紹介料の高い企業を優先して紹介する」のはなかなか難しいのが現実だ。というのも、多くの転職希望者は複数の人材紹介会社を同時に利用していることが多いからだ。