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説明できる? 「あの人の方が給料が高い」理由

アイデム人と仕事研究所

古橋 孝美(ふるはし たかみ)

働き方改革でメス 中小企業に影響が大きいのは同一労働同一賃金?

賃金格差の問題は、法的観点からも認識をあらためなければいけない状況になりつつあります。昨年6月29日に成立した働き方改革関連法に、賃金格差に関わる内容があります。同法は、「高プロ」や「残業規制」など「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」の施策にスポットライトが多く当たっている印象ですが、実は「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」も重要施策の一つです。ここでは、同一労働同一賃金の流れを汲み、短時間・有期雇用労働者と正規雇用労働者の待遇差について、個々の待遇について待遇差があってOKな場合、NGな場合が明確化されます。

例えば、「基本給」は、職務や職業能力や勤続に応じて支払うものがあると思いますが、それぞれの趣旨・性格に照らして実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給が求められます。

「賞与」も、会社の業績等への貢献に応じて支給する場合、同一の貢献ならば同一の、違いがあれば違いに応じた支給をしなければなりません。
「通勤手当」や「食事手当」は正社員に支給されているならば、パートにも支給しなければなりません。

厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドライン案では、「基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、『無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者またはパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる』という主観的・抽象的説明に終始しがちであるが、これでは足りず、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない」とされています。

『平成29年版パートタイマー白書』のデータにもあるように、正社員との賃金格差に納得できないのは、そこに納得できるだけの明確な基準や理由が示されていないからです。会社の中には、これまでなんとなく「正社員だから」「パートだから」と、長年の慣習で明確な根拠なく待遇差をつけてきたものもあるのではないでしょうか。働き方改革関連法では、先述の内容と同時に短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者に対して、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明をすることが義務化されます。貴社の就業規則や賃金規程は、それに万全に対応できますでしょうか。もしそうでないのならば、早急に見直す必要があります。

■『平成29年版パートタイマー白書 定着のための上司のチカラ~信頼感とコミュニケーション~』
企業調査:【調査期間】平成29年6月16日~18日 【有効回答数】1,644人
個人調査:【調査期間】平成29年6月13日~15日 【有効回答数】1,648人

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アイデム人と仕事研究所は、求人媒体を発行する株式会社アイデムの研究部門です。アイデムは1970年に創業して以来、「人材採用」の側面から、企業経営のサポートをしてまいりました。そうした活動のなかで人と仕事研究所は、「採用後の人材を活かし、企業力を高めていただく」ための、各種情報・サービスの提供を行い続けてきています。 パート・アルバイトの活用を目的に調査・分析を行う「パートタイマー白書」や、人事マネジメントの成功事例記事、募集時賃金を集計し、その動向を伝える各種レポートなど。いずれの情報・サービスも、求人媒体事業を通じ、大手企業とは異なる“中小企業の「人」に関する課題”をつかむアイデムならではの、実践的な内容を旨としています。
詳細はこちらをご覧ください→アイデム人と仕事研究所

●文/古橋孝美(ふるはし たかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。求人広告の営業職として、人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動。「パートタイマー白書」、新卒採用・就職活動に関する調査等のアンケート調査を担当。雇用の現状や今後の課題について調査を進めている。2015年出産に伴い休職、2016年復職。

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