パート募集 超短時間シフト増加中?

アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士 岸川 宏

「販売職」は短時間化の傾向

勤務シフトが2時間台、3時間台のような短時間の勤務は、実際に増えているのでしょうか。

以下のグラフは、4時間未満の勤務シフトが全体に占める割合の変化を時系列でみたものです。職種の合計では、2010年の26.3%から2016年(1~8月計)では32.7%と、6.4%と増加傾向となっています。

また、職種別に確認してみると、短時間勤務シフトの増加が目立つのは「販売職」「労務職」「事務職」。なかでも「販売職」は2010年の30.1%から2016年には13.3ポイントアップして43.4%となりました。

●4時間未満のシフトの推移(職種別)
4時間未満のシフトの推移(職種別)

直近のデータにおいても、8時間、9時間のようなフルタイムシフトが多い「技能・製造職」等の職種は、短時間のシフトが増加する傾向はありませんでした。

販売職等の職種においては、シフトによる担当者の入れ替えによって業務効率が大きく低下することもないため、勤務シフトを柔軟に組み合わせることが、やりやすい職種と言えるかもしれません。逆に製造現場などにおいては、従業員の交替による製造ラインの一時的な停止は、生産効率を下げかねないため、短時間の勤務シフトによる頻繁な交替は難しい状況もあるようです。

現在の政策や経済状況により、非正規雇用者の賃金は上昇し、雇用形態による賃金格差は縮小の方向にあります。現在の労働市場においては、フルタイムで勤務が可能な労働者は、より待遇の安定した正社員を希望する傾向が強くなります。今後ますます、フルタイム勤務での非正規雇用は難しくなっていくと予想されます。

長時間の勤務シフトが必要とされている業界においても、パート労働者をターゲットとして捉えていくのであれば、多様なシフトを実現するための取り組みが必要になってくると思われます。

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文/岸川 宏(きしかわ・ひろし)
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。
1999年、アイデム人と仕事研究所に入社。労働環境の実態に迫る情報提供を目指し、社内・外への情報発信を続けている。2015年4月より現職。

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