独身寮の運営に関する最新実態
独身寮の使用料は社有1万1302円、借り上げ1万2181円
1 独身寮の有無
独身寮の有無 [図表1〜2]
過半数が「独身寮あり」、社有と借り上げでは借り上げがやや多い
今回の集計対象となった270社のうち、独身寮がある企業は55.6%と過半数を占めた。内訳を見ると、「社有・借り上げともあり」が27.0%と最も多く、「社有寮のみ」11.5%、「借り上げ寮のみ」17.0%となっている[図表1]。
また、社有・借り上げ別に見てみると[図表2]、「社有」38.5%、「借り上げ」44.1%と、「借り上げ」のほうがやや多くなっている。
規模別では、規模が大きいほど独身寮がある割合が高く、1000人以上の企業では社有・借り上げともに「あり」が6割台に上る。これに対し、300人未満では「なし」がどちらも8割台を占める。産業別では、製造業のほうが非製造業よりも「あり」とする割合が高い。
独身寮の種類[図表2]
社有・借り上げともに「男子寮」が最も多い。「女子寮」「男女混合寮」は借り上げで多く見られる
独身寮「あり」の企業について、その種類を見ると(複数回答)、「男子寮」は社有74.0%、借り上げ52.2%となっている。同様に「女子寮」は16.3%、38.3%、「男女混合寮」は37.5%、47.0%である。「女子寮」と「男女混合寮」は、借り上げのほうで多い。
07年10〜11月に実施した前回調査では、「男子寮」が圧倒的に多かった(社有79.2%、借り上げ70.4%)。今回も、社有・借り上げとも「男子寮」の割合が最も高いものの、借り上げでは「男子寮」は約18ポイント減少し、「男女混合寮」は約12ポイント増加している(前回35.2%→今回47.0%)。
なお、借り上げの「女子寮」は前回調査より減少しているものの、借り上げの「男女混合寮」の増加と併せて見れば、女性が入居できる寮は前回調査時同様、借り上げ物件で対応している傾向が見て取れる。女性に対しては、維持費や、物件の取得・建設に準備期間のかかる社有寮ではなく、採用状況に応じて用意できる借り上げの独身寮で対応するケースが多いことがうかがえる。
また、2016年4月施行の女性活躍推進法に関連して行った当研究所特別調査(第3899号−15.11.27)によれば、“直近3年間での女性の新卒採用における採用拡大(人数増加)” を “現在実施している” 企業は45.4%に上る。今後も女性の採用は増加傾向にあると考えられ、独身寮の動向が注目される。
2 独身寮の入居条件
入居条件の有無と内容[図表3〜4]
社有・借り上げともに9割台で「入居条件あり」。具体的内容は「自宅からの通勤が困難」が最も多い
入居に際しては、社有95.2%、借り上げ98.3%と、ほとんどの企業で何らかの入居条件を設けている。
「入居条件あり」の場合の内容(複数回答)は、「自宅からの通勤が困難」(社有63.6%、借り上げ55.6%)を挙げる企業が最も多い。そのほかで多いものとしては、「遠隔地からの採用者」(同52.5%、46.2%)、「年齢」(同46.5%、47.0%)、「通勤時間」(同28.3%、32.5%)などとなっている。なお、「年齢」「入居年数」を条件とする企業の割合に、それぞれ「年齢かつ(または)入居年数」の割合を足すと、“年齢” が入居条件となる割合は社有68.7%、借り上げ63.2%、“入居年数” が同36.4%、30.8%となる。そう見ると、“年齢” は入居に際しての最多要件となり、“入居年数” については社有で「通勤時間」を超えて4番目に多い要件に、借り上げでは「通勤時間」に続く要件となる。よって、“年齢” や “入居年数” を条件とする企業も多いことが分かる。
年齢、入居年数、通勤時間の内容[図表5〜6]
年齢では「30歳まで」が社有・借り上げとも4割超、入居年数では「5年まで」「10年まで」が多い
入居条件のうち、年齢、入居年数の具体的内容を集計した[図表5]。
年齢では、「30歳まで」が社有42.6%、借り上げ41.9%と最も多く、次に「35歳まで」が同26.5%、24.3%と続く。社有・借り上げとも30〜35歳の間に8割以上が分布している。
入居年数では、「5年まで」(社有30.6%、借り上げ25.0%)や「10年まで」(同25.0%、27.8%)とするところが多い。
また、「通勤時間」を入居条件とする場合、何時間以上であれば入居を認めるかについても尋ねた[図表6]。「1.5時間」や「2時間」とするところが多く、社有・借り上げともこの2区分が大多数を占める。
なお、「通勤距離」の内容に関しては、[図表6]の脚注に示しているので参照いただきたい。
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