パートが辞める本当の理由
岸川 宏(きしかわ ひろし)
教育担当は厳選したい
そのためには、教育担当となるパート・アルバイトの人選が重要です。教育担当者を「仕事が早い・熟知している」「勤続期間が長い」などの理由だけで選んでしまうと逆効果になりかねません。会社(お店)の考える方針に沿って仕事を行える人で、人格的にも問題がなく、バランス感覚に優れている人。そして何よりも、自分(管理者)が信頼できる人を選びたいものです。
教育担当者選びは重要……現場で板挟みのパート・アルバイトの声・パートの社員と正社員との人間関係があまりに悪く追い込まれている。正社員の述べる方向性と古くからいるパート上司の方向性が違うので、仕事が円滑にできない。自分の仕事の失敗を棚に上げて、部下を罵倒するパートの先輩上司にはもう我慢できない。(女性46歳・主婦)・自分の部署で一番長く働いているのが年配のパート勤務者で、正職員よりも仕事を熟知し顔も広いため、色々なことに口を出してくる。正職員がその人に気を使いすぎて、言われるままになっている。(女性38歳・主婦)・上司の指導と現場の先輩の指導に違いがあり、戸惑うことがある。できれば上司の指導を受け入れたいが、現場の先輩からは「そんなやり方ではいつまで経っても仕事が片付かない」という、無言の圧力を感じる時がある。サービス業なので、私自身は「丁寧な接客・対応」を心がけているが、とにかくサッサと済ませてしまいたい先輩とのギャップに悩む。上司と先輩、どちらに従えばいいのか……。(女性35歳・主婦)(パートタイマー白書 平成20年版から抜粋)
管理責任者は、こうして教育担当に任命したパート・アルバイトと、積極的なコミュニケーションを心がけることによって、隠れていた問題が見え始め、現状把握が行えます。
しかし、教育担当者の育成やコミュニケーションをとることを怠ると、悩み事の汲み上げにならないばかりか、会社(店)のサービスの低下にもつながりかねません。
こうした取り組みをパート・アルバイト間から積み上げて行くことで、店長や社員の負担を軽減しつつ、新人が悩み事を相談しやすい雰囲気を作ることができるのではないでしょうか。さらには、教育担当者に任命された者のモチベーションの向上や、責任感の醸成につながることも期待できそうです。
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●文/岸川 宏(きしかわ ひろし)
【担当分野】労働関連法。賃金統計・アンケート調査等の作成、分析。[社会保険労務士]
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