『ビジネスガイド』提携

職場のメンタルヘルス最前線
増加する“新型うつ病社員”への対処法 (2/5ページ)

オフィスプリズム/臨床心理士・社会保険労務士 涌井美和子

2.「うつ病」は1つのタイプだけではない

そもそもうつ病とは、どのような病気なのでしょうか。米国精神医学会のDSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引)によると、うつ病は「感情障害」の中に分類され、資料のようなカテゴリーに分けられています。

前述のように典型的なうつ病のケースは、主に「大うつ病性障害」などにあるような、大うつ病エピソード――ほとんど毎日の抑うつ気分、ほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退、疲労感または気力の減退、無価値観や罪悪感など――が見られるケースと思われます。

ところが、うつ病の中には、「気分変調性障害」や「気分循環性障害」など、大うつ病エピソードの基準を満たさない症状が少なくとも2年以上続くなど、典型的なうつ症状があまり多く見られないケースもあります。

また最近、臨床の場で注目を集めつつあるのは、「非定型うつ病」と呼ばれるケースです。これは、資料のようなカテゴリーにすっきり当てはまらないケースです。そもそも心の病気は、「ここまでが健康」「ここからが病気」と線引きすることができません。便宜上、線を引いた枠の中に当てはまらないケースが存在するのも、当然といえば当然でしょう。「非定型うつ病」も、そのような状態の1つといえるかもしれません。もちろん、今後の研究によって1つの病気として診断基準が明確になる可能性はあるでしょう。

「非定型うつ病」の特徴は、主に次の通りとされています。

【 「非定型型うつ病」の特徴 】
  1. 自分にとって好ましいことがあると気分が良くなる。
  2. 人間関係において過敏な傾向があり、特にプライドを傷つけられるような言葉には激しく反応する。
  3. 過食や過眠が見られる。
  4. 身体的重圧感や疲労感がある。

「非定型うつ病」と呼ばれるくらいですから、症状改善のためには投薬治療が必要ですが、もともと家族関係や生い立ちに恵まれなかった人も少なくないと言われていますので、カウンセリングと並行することもあります。

うつ病に限らず、発症前の本人の性格も症状に影響を与えます。最近は、自己中心的でわがまま、依存心が強い、自己顕示欲・自尊心が強く傷つきやすい、思ったことをハッキリ口にする、などの特徴が目立つ人が増えてきたこともあり、そのような従前の性格傾向を反映して、一筋縄でいかないケースが増えた面もあるでしょう。

もちろん、ここで紹介した分類や定義は、時代とともに書き換えられ、絶対的なものではありませんが、一口に「うつ病」と言ってもさまざまなタイプがあることが理解できるでしょう。

資料

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

  • 1

5件中 15件を表示

1. 縁さん 商社(専門) 東京都
新型うつ病も結局は真面目な人がなりやすい、という所がちょっと驚きでした。しかし、実際今休職中のスタッフはそれにあたるのかもしれません。復職後の対応に参考になりました。
2. TNOKさん 半導体・電子・電気部品 栃木県
同僚に症例と同じ方が居たので、理解の参考になりました。
新型鬱病というのは仕事を一方的に与える会社側の責任という印象があります。
適切な納期で、残業を極力少なくという努力を怠っている企業に多いのではないでしょうか?
私はNo.1のコメント(引用してごめんなさい)の方が言っている"会社のためになるのか"という言葉が非常に気になりました。
修羅場は極力減らすのが管理する側の仕事で、仕事も残業前提のスケジュールで組んでいる現状はおかしいと思います。
景気が悪いことを理由に、適切なリソースも与えずに仕事をさせているのでは人は折れますよ。
"会社のために生きる力を出し切らせる"という考え方には到底同意できません。
人材を疲弊させて、"劣化"させているのは企業の側ではないでしょうか?
3. kennichiさん 運輸・倉庫・輸送 東京都
わが職場にも一人おり、対処方法は大いに参考になりました。
新型うつ病は、日本の人材劣化のサインではないかとも思います。無理はしなくともいいのですが、どんな仕事でも修羅場に出会う場面は出てくると思うのですがそれを病気ということで一旦離れることが果たして社会のため、会社のため、本人のためになるのか(当然病気だからまずは治療して回復することが必要であり、仕方のないことですが)。人間として必要な「生きる力」が日本人に徐々になくなりつつあるのかなと感じます
4. たかぽんさん 機械 滋賀県
未だこのようなケースは出ていないが,今後の参考になると思う。
5. *****さん 人事BPOサービス 静岡県
非常に役に立ちました。従来型うつと新型うつについての相違、また対応方法も明快で、読んでいてすぐに実践できそうに感じました。社会、会社のせいと他罰的な人材が多いのも事実ですが、彼らも貴重な戦力になると信じて、対応していく元気が湧きました。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

人事・労務関連コラムのバックナンバー

小規模事業者も5月30日から適用対象に!
個人情報保護法ガイドライン 会社の現状チェックと対策
個人情報保護法改正の施行日が平成29年5月30日に迫っています。今回の改正により、今まで除外されていた小規模事業者も適用対象となるため、多くの中小規模事業者がそ...
2017/05/11掲載
行橋労基署長事件(最高裁判決)が与える影響は?
宴会への参加は労働法上どう位置付けられているか
昨年7月、歓送迎会に参加していた労働者が帰社する過程で交通事故死したことは、労災保険法上の業務災害に当たるとする最高裁判決が出され、法律家にとどまらず広く関心を...
2017/03/17掲載
採用活動で自社をいかにアピールする?
効果的な「求人票・求人情報」の作成方法
現在、企業における人材不足は非常に深刻であり、今後の企業経営に大きな影響を与える可能性があります。求人媒体は多様化しましたが、求人情報そのものの役割や作成時の留...
2017/01/06掲載

関連する記事

働きやすさだけでなく、働きがいも大切
不調者が輝きを取り戻すメンタルヘルス対策とは
2012年11月に独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が実施した調査結果によると、過去3年間にうつ病などメンタルヘルスの不調を理由に休職制度を利用した社員の退...
2016/05/23掲載注目の記事
キャリア支援によるメンタルヘルス不調者を出さない職場作り
一人ひとりの強みを活かし、組織を活性化させることで生まれるメリットとは?
近年、職場におけるメンタルヘルス対策が注目されています。特に、病気にならないためにはどうするのか、病気になった人をどうするのかについて考える、従来の「病理モデル...
2016/02/22掲載注目の記事
厚生労働省発! 予防から事後対応まで
「パワーハラスメント対策導入マニュアル」の具体的活用法と留意点
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組みを推進するため、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を作成・公表しました。 重要課題と認識...
2016/01/08掲載人事・労務関連コラム
改正労働安全衛生法12月1日施行
ストレスチェック制度義務化に伴う企業の対応状況
平成27年12月より、ストレスチェックの実施が従業員数50人以上の事業場に義務づけられる。多くの企業にとってストレスチェック制度の運用は初めての試みであり、情報...
2015/12/09掲載人事・労務実態調査
厚労省・ストレスチェック制度に関するマニュアル作成委員に聞く!
ストレスチェック義務化対策――見過ごされている「経営リスク」とは
「マイナンバーは待ったなし。女性活躍推進の行動計画も作らなければいけないのに……これも!?」――今年12月に施行される「ストレスチェック義務化」への対策に、多く...
2015/11/25掲載注目の記事
新卒採用支援/内定者フォロー特集
会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。会員ができること
ミスマッチの応募にお困りの採用担当者様へ

記事アクセスランキング

注目コンテンツ


新卒採用支援/内定者フォロー特集

新卒採用から内定者フォローまでを支援するサービスやソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


管理職1年生日記 (第3回)

管理職1年生日記 (第3回)

ほとんどの会社では、新任管理職を対象とした「管理職研修」を行っているこ...


「コンプライアンス」が企業に求めているものとは何か?<br />
~法令順守から「期待に応えること」へ

「コンプライアンス」が企業に求めているものとは何か?
~法令順守から「期待に応えること」へ

「コンプライアンス」という言葉が、盛んに使われるようになった。それは近...