社員の債務弁済について
お世話になります。
ある社員に貸付を行っているのですが、その社員が退職を申し出た場合、退職金で弁済することは可能でしょうか。おそらく同意は得られると思っているのですが、その際の注意点をお聞かせ願えればと思います。
例えば、「一旦退職金を全額支給して、その後返済してもらうのか」または「退職金との相殺で問題ないか」などです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2014/01/21 11:59 ID:QA-0057512
- hamatakさん
- 群馬県/機械(企業規模 101~300人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件ですが、退職金も賃金に該当しますので、原則としまして貸付金と相殺する措置は賃金全額払いの原則に反し認められません。
従いまして、基本的には一旦全額支給されてから返済してもらうというのが妥当といえるでしょう。但し、当人の完全な自由意志による同意の証明があれば差し支えないとの最高裁判例も出されていますので、文面のような場合ですと自発的な同意を得た上で当人署名の同意書も得る事が出来れば、現実的にも相殺支給されて問題は生じないものと考えられます。
投稿日:2014/01/21 13:33 ID:QA-0057514
相談者より
早々にご回答頂きありがとうございました。
本人の同意を得られるよう進めたいと思います。
投稿日:2014/01/21 14:21 ID:QA-0057516大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
チェックポイント3点、 但し、安全を期して、退職金支給後、返済の方式がお勧め
一般法である民法505条では、 相殺適状にある債権同士の相殺を認めていますが、 特別法である労基法のチェックが必要です。 3点あります。 (1) 前借金相殺の禁止 (17条) ⇒ 当該貸付金が、 「 労働することを条件とする前貸の債権 」 であれば抵触します。 然し、 返済前であっても退職の自由が制約されていなければ、 抵触しません。 (2) 全額払いの原則 (24条) ⇒ 退職金も賃金ですから、 本条の対象になります。 但し、 書面による労使協定 (通称、24協定) で、 「 退職時に貸付金等の未返済債務を退職金から一括控除する 」 という旨の明確な定めがあれば、 抵触しません。 (3) 相殺する場合の限度額 ⇒ 協定に基づく控除についての限度額を設けることは要求されていません。 以上の、 諸観点から、 退職金の範囲内で全額相殺は可能だと思いますが、 何処で問題が発生するやも知れず、 安全を期して、 「 一旦、 退職金を全額支給して、 その後返済してもらう 」 ことが無難な方法だと考えます。
投稿日:2014/01/21 14:24 ID:QA-0057517
相談者より
早々にご回答頂きありがとうございました。
投稿日:2014/01/21 15:09 ID:QA-0057518大変参考になった
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