派遣契約から雇用契約への切り替えによる人件費増について
派遣契約が3年を迎え、業務が継続するため、雇用契約に切り替える必要が生じました。しかし、雇用契約とするには、社内で賃金が一番安価な嘱託契約においても同一労働・同一賃金の原則から、同等の正社員の8割程度の賃金に設定する必要があるため、社会保険料負担などを含めると1人あたりの人件費が年間100万円程度、増加してしまいます。人件費の増加を抑える策があればご教示ください。なお、業務は工場のライン作業および事務です。
投稿日:2009/06/09 19:14 ID:QA-0016373
- *****さん
- 東京都/電機(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣から直接雇用への切り替えに伴う人件費増
■ 使用者側にとっての派遣契約の狙い目が、《 安い人件費 》と 《 容易な雇用調整弁 》 にあったことは周知のことですが、派遣法の目的とは一致しているとはいい難いのも事実です。そのような現実の中で行う、雇用契約への切り替えでは、この格差要因問題は直ちに顕在化してきます。
■ 統計やアンケート調査資料が分散していて決め手になるものは少ないのですが、《 人件費 》 だけについていえば、有期契約、短時間労働契約、派遣契約など、いわゆる「非正社員」から「正社員」への切り替えコストは、約1割増加すると云われています。ご相談の事例の、年間100万円程度の増加もはやや多いようですが、範疇外とも云えません。
■ 他方、「同一労働・同一賃金の原則」は、現実の賃金決定の局面で、何割の格差までなら、均等待遇の理念に沿い、公序良俗と看做されるかに就いて一律の決め手を示してくれる訳ではありません。結局、「同じ勤務年数の正社員の賃金格差 《 8割以下 》 は裁量の許容範囲を超えており、公序良俗違反として違法である」とした判例を参考にするしかありません。
■ ご説明によりますと、「同等の正社員の8割程度(判例の8割とは偶然の一致)の賃金に設定する必要であるが、その場合でも年間100万円程度の増加は避けられない。然し、《 それも抑制したい 》 」というのは、「同一労働・同一賃金」の看板を掲げる限り、受忍しなければならない、最低限の使用者義務だと考えるべきだと思います。
投稿日:2009/06/10 10:40 ID:QA-0016385
プロフェッショナルからの回答
派遣労働者雇用安定化特別奨励金
平成21年2月6日~派遣労働者雇用安定化特別奨励金が創設されました。ご参考に紹介させていただきます。
●概要
派遣労働を直接雇用した場合に奨励金が支給される。
●金額
○期間の定めのない労働契約の場合:
6ヶ月経過後に50(25)万円、1年6ヵ月経過後、2年6ヶ 月経過後に各25(15)万円、計100万円(50万円)支給。
○6ヶ月以上の有期契約で更新有の場合:
6ヶ月経過後に30(15)万円、1年6ヵ月経過後、2年6ヶ月経過後に各10(5)万円、計50万円(25万円)支給。
*( )内は大企業。
●助成金とは、厚生労働省から支給され、返済不要です。
投稿日:2009/06/16 10:25 ID:QA-0016420
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