行政書士法改正に合わせて登録支援機関の在留資格書類作成
弊社は登録支援機関ではあり、今までサービスとして顧客の代わりに在留資格の変更/更新申請を作成してきました。顧客側・特定技能本人に情報収集し、書類作成、入管提出の大まかな流れでしたが。
2026年1月の行政書士法改正によって、このような作業ができなくなる理解はあります、あっていますでしょうか?
書類作成を開発するシステム会社に聞いてみましたが、作成ではなくあくまで情報取集だけという解釈でいかがでしょうか?との説明がうけました。
あくまでも顧客へのサービスの一環として維持していきたい考えもありますが、行政書士法に抵触することもできません。どのような対応あるいは準備をすればよろしいでしょうか?
投稿日:2025/12/10 17:21 ID:QA-0161827
- TARAKIDAさん
- 東京都/その他業種(企業規模 10001人以上)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
・特定技能に係る支援に対し包括的に月額支援委託料(報酬)を得ている登録支援機関が、そのサービスの一環として入管申請書類の作成を無償(0円)で行う行為は、
行政書士法に違反していると見なされるリスクが極めて高いといえます。
・行政書士法違反と判断されないためには、書類作成は行政書士又は受入先に依頼し、登録支援機関は次に解説する「補助的な行為」に留めることが重要です。
・取次業務は認められていますが、
取次業務とは、原則として外国人本人が行う、「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」などを特定の職員が代わって代わりに申請することです。
ただし、登録支援機関の職員が行う申請取次は在留資格「特定技能1号」として受け入れている外国人、受入れ予定の外国人に関する申請であることが原則となります。
投稿日:2025/12/10 18:52 ID:QA-0161833
相談者より
小高先生
ご回答ありがとうございます!参考になりました!
投稿日:2025/12/11 09:44 ID:QA-0161856大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
ご理解のとおり、2026年1月の行政書士法改正後は、登録支援機関が顧客のために在留資格申請書類を作成することは、原則として行政書士法に抵触する可能性が高いというのが政府の説明です。
法改正では、
報酬を得て
官公署に提出する許認可申請等に関する書類を作成する行為
は行政書士の独占業務であることが明確化され、登録支援機関などの「業として行う書類作成代行」が禁止される方向です。
したがって、顧客(雇用企業)・特定技能本人のために、申請書類をあなたの機関が作成代行することは難しくなるという理解は正しいといえます。
2.よくある誤解:情報収集だけならOK?
システム会社が言う
「情報収集だけなら問題ないのでは」
は半分正しく、半分誤りです。
行政書士法が禁止しているのは「書類の作成」および「申請手続の代理」です。
●情報収集が許される範囲
本人・企業が自ら記載するための材料集め
本人が入力する画面の提供
単なる事務的な受付・転記(※法的判断が介入しない範囲)
●NGとなる可能性が高い行為
あなたの機関が申請書・理由書・添付書類を作成する行為
事実関係を評価し、在留資格要件に照らして文章を構成する行為
代理提出
申請に関して顧客の代理人として機能する行為
行政書士法は「作成」の概念を広く捉えます。
「ヒアリングした内容を職員が入力し申請書を完成させる」=典型的な違法行為に該当します。
3.登録支援機関として許される実務の範囲(改正後)
法改正後、登録支援機関が維持できるサービスは次のとおりです。
(1)「情報収集のみ」
顧客・本人へのヒアリングは可能。
ただし書類を完成させてはいけない。
(2)「入力補助(本人の指示どおりに文字を代筆する)」
本人が主担当で、あなたは単にパソコンに入力するだけの「物理的補助」の場合、理論上はグレーながら許容される範囲とされています。
しかし実務上はどこまでが補助でどこからが作成かの線引きが極めて曖昧で、監督官庁も慎重姿勢です。
(3)「行政書士の紹介」
登録支援機関が行政書士を紹介し、申請書作成は行政書士が担当する。
支援機関は支援業務(生活支援・就労支援)に集中する流れが主流となる見込みです。
4.御社が準備すべき対応(最も実務的な提案)
御社が「サービスを維持したい」かつ「法令違反を避けたい」場合、次の手順が最も安全です。
(1) 行政書士(外部または社内)との提携
最も確実でリスクがない方法です。
書類作成・申請代行は行政書士が行う
御社は「情報収集」「書類の準備補助」「支援業務」を担当
顧客へのパッケージサービスとして提供可能(紹介料設定も可)
行政書士法人との包括提携も増えています。
(2)社内に行政書士資格者を置く(または取得を促す)
貴社社員が行政書士資格を有すれば、
その者が行う書類作成は適法になります。
登録支援機関+行政書士事務所の併設形態も多数存在します。
(3)自社の関与範囲を明文化した「業務フロー・社内ルール」を作成
以下の点を明確にしておく必要があります。
当社は申請書を作成しない
当社は法的判断をしない
顧客本人が最終入力・作成者となる
行政書士が必要な事項は行政書士に依頼する
これにより、違法性を指摘されるリスクを相当程度低減できます。
5.まとめ
(1) 2026年1月以降、登録支援機関が在留資格申請書類を作成することは原則不可(行政書士法違反)
(2) 「情報収集のみ」であれば許容されるが、実務は非常に線引きが難しい
(3) 最も安全かつサービス品質を維持できるのは
1.行政書士との提携 2.社内行政書士の設置
(4)自社の役割を「情報収集・支援業務」に限定し、作成は行政書士へ委託する体制を構築することが望ましい。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/10 20:58 ID:QA-0161838
相談者より
井上先生
ご丁寧に回答いただきありがとうございます!
大変参考になりました!社内検討させていただきます
投稿日:2025/12/11 09:46 ID:QA-0161857大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、当該行政書士法の改正内容を拝見する限り、お尋ねされた部分の改正については制限業務に関わる報酬の明確化がなされた点にあるものといえます。
つまり、新たな制限業務内容が定められたというわけではございませんので、従来から作成業務に関わる報酬を得られてはおらず既存の行政書士法にも抵触されてはいなかったという事でしたら、この度の改正で違法性を問われる事にはならないものといえます。
但し、人事労務の範疇の問題ではございませんし、適切な現状判断をされる上でも地元の都道府県行政書士会等にご確認される事をお勧めいたします。
投稿日:2025/12/10 21:08 ID:QA-0161839
相談者より
ご回答ありがとうございます!参考になりました!
投稿日:2025/12/11 09:50 ID:QA-0161859大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
2026年1月の行政書士法改正により、行政書士以外が報酬を得て官公署に提出
する書類の作成を行うことが明確に禁止されます。
そのため、登録支援機関が特定技能の在留資格変更・更新申請書類を作成・
提出する従来の運用は、違法となる可能性が高まります。
情報収集のみという名目でも、実質的に作成代行と判断されれば抵触リスク
があります。
今後は、申請書類の作成・提出業務は行政書士に委託する運用体制がリスク
回避策となります。
投稿日:2025/12/11 08:41 ID:QA-0161844
相談者より
ご回答ありがとうございます!大変参考になりました!
投稿日:2025/12/11 09:51 ID:QA-0161860大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
人事マターとは異なりますので、必ずシステム会社ではなく行政書士の所轄である総務省の確認をして下さい。法令改変では、一般論には意味がありませんので、直接所轄官庁への確認が必要でしょう。
投稿日:2025/12/11 09:46 ID:QA-0161858
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。