私傷病を理由とした異動拒否について
いつも拝見しております。
さて私どもの組織は、配送を中心とした事業を行っております。また、顧客拡大のための営業活動にも力を入れてきています。昨今の景気を反映して、事業もだんだんと厳しくなってきており、本部の人員を減らして、現場への人事配置(主に営業)を積極的にすすめています。ところが、人事異動を内示したときに、医師の診断書を添えて苦情を申し立てるケースがあります。その診断書にはきまって「軽作業ならば可」という内容が記入されています。私どもの組織では、すべて総合職として賃金を支払っています。事務系の仕事はあるにはありますが、一部の管理者と専門スタッフ及び定型業務はパートで行っており、主力事業である配送や営業に従事できなければ、組織がもたなくなることは明白です。お聞きします。「軽作業なら可」との診断書を免罪符のように持参して人事異動に苦情を申し立てるケースを解消できる方法はないものでしょうか?例えば、賃金を下げる、雇用区分をパートにする、異動が可能となるまで休職を申し渡すなど。現場で頑張っている職員に対し、示しがつかない思いです。よろしくご指導ください。
投稿日:2008/09/09 15:57 ID:QA-0013650
- 人事労務ばたけさん
- 滋賀県/その他業種(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
異動命令につきましては、それが恣意的・差別的な措置でない限り、会社の持つ人事裁量権として幅広く認められています。(※但し、賃金が下がったり労働時間が増える等労働条件の不利益変更を伴う場合は、本人の同意を得ない限り原則として認められません。)
異動命令を従業員が拒否する為には、勤務地や職種限定の特約を労働契約の際に結んでいるか、または異動が客観的に見て困難と思われる重大な事由が存在するかのいずれかが必要になります。
そこでご相談の件ですが、「軽作業ならば可」との診断書を「免罪符」のように提出される―という箇所が最大のポイントとお見受けいたします。
このような状態を招く私傷病というのは相当程度が重いものといえますので、通常それ程頻発する類のものではないと考えられますよね‥
となりますと、当然診断書内容の真偽が問題になりますので、従業員の様子から明らかに不自然と推察される場合には、会社指定の医師の診断を受けることを勧められてはいかがでしょうか‥
本当に免罪符代わりのものであれば、その結果からもすぐに虚偽が判明するように思われます。
また診断を拒否された場合でも、本人の希望によりやむを得ず軽易な業務に就かせた場合には、通常であれば業務内容によって賃金が変わる仕組みになっているものと思われますので担当職務に応じた賃金に減額する事も可能といえます。(※万一そのような仕組みになっていなければ、今後を見据えて賃金制度の見直しを図られるべきです。)
さらに、担当できる業務への配置努力を行なった上でそれでも現状困難であれば、新たな業務を創出してまで就業させる義務はございませんので、御社の休職規定に基き本来の職務に復帰可能となるまで休職を命じる事は可能といえるでしょう。
要約しますと、根拠の無い異動拒否を認める必要は全く無く、上記のように会社として適切な対応をすれば困るのは有利な労働条件を不正に得ようとした従業員の方ということになります。
ただ、本質的に現場よりも本部業務の方が適している人材は必ずいますので、ただやみくもに異動発令を行なうのではなく、そうした適正資質も十分見極めた上で公正公平な人事配置を考えなければならないといった点にご注意頂ければ幸いです。
投稿日:2008/09/09 23:25 ID:QA-0013655
相談者より
投稿日:2008/09/09 23:25 ID:QA-0035424大変参考になった
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