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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社日本マンパワー 代表取締役社長

加藤 智明さん

顧客の人材開発課題に的確に応える
「キャリア開発支援ナンバーワン企業」を宣言[1/3ページ]

(2015/7/29掲載)
加藤智明さん
日本マンパワーは、「キャリア開発の研修プログラム」「キャリアカウンセリングを活用した事業」に特徴を持つ人材開発の会社として知られ、教育・研修サービスや人材サービスを日本全国で展開しています。厚生労働省がキャリア・コンサルタント10万人養成計画を発表したこともあり、同社のCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の養成講座には、特に大きな期待と注目が集まっています。「キャリア開発支援ナンバーワン企業」を宣言した日本マンパワーの加藤智明社長に、ご自身の経歴、現在の事業戦略や具体的な取り組み内容、業界の課題などについて、詳しいお話を伺いました。
プロフィール

加藤智明(かとう・ともあき)●1951年生まれ。1975年大学卒業後、証券会社に入社。1978年に日本マンパワーへ転職し、営業責任者として13年間勤務した後、退職して教育研修の技法や手法を開発するベンチャー会社を起業。同時に、情報通信会社の社外取締役に就任する。情報通信会社の経営が悪化したため、教育研修企画の会社を友人に譲渡し、株主や債権者の協力を得て事業再生に取り組むが、最終的にコア事業を売却し、会社を清算。そのような状況下、日本マンパワーの創業者である小野憲会長(当時)から入社の誘いを受け、1999年に契約社員で再入社する。中途入社時は新卒の教育担当者として新人を育成し、戦力化に貢献する。その後、営業ライン長として本社東京営業部の責任者を経て、人材教育の法人営業部門である人材開発営業本部の責任者となる。取締役、常務取締役、代表取締役専務を経て、2006年4月に代表取締役社長に就任し、現在に至る。

いったん退職し契約社員として復帰した後、2006年に社長に就任

―― 加藤さんは証券会社から日本マンパワーに転職し、その後起業され、再び日本マンパワーに戻られて、後に社長に就任されました。この間の経緯についてお聞かせください。

1975年に大学を卒業した後、証券会社に就職しました。新規開拓のセールスを担当したのですが、3年4ヵ月勤めた後、7年間交際していた彼女と結婚するために証券会社を辞めることになりました。彼女は一人娘で、先方の親は近くで生活してほしいという思いが非常に強く、私は、仕事を選ぶのか、彼女を選ぶのかを迫られたのです。証券会社は転勤が多く、海外勤務の可能性もあります。私はどうしても彼女と結婚したかったので会社を辞めることにしました。

彼女の実家は東京・赤坂にありましたので、業種を問わず、赤坂近辺に本社がある会社を探すことにしました。当時、当社は赤坂に本社があったので、中途採用の試験を受けることになりました。40~50人くらいの応募があったのですが、私の筆記試験の成績は最低だったそうです。ただ、何となく面白そうな感じがしたので、役員面接に上げると言われました。面接での対応が創業者の当時の社長に気に入られたのでしょうか、縁があり採用されることになりました。1978年8月のことです。入社後は、課長、部長、副本部長などを任せられ、1992年2月まで13年間あまり勤めました。

バブル経済が崩壊し始めた1992年ごろ、売り上げが上がらない、事業計画の8割も達成できないといった状態が続きました。当時、営業の副本部長の任にありましたので、いろいろな意味で責任を感じていたので思い切って会社を辞め、独立することにしました。

加藤智明さん インタビュー photo

会社の仲間二人を引き連れ、教育研修の技法や手法を開発する企画会社を立ち上げたのですが、会社には知名度がなく営業力・販売力も弱かったので、最初はなかなかうまくいきませんでした。そこで、知名度を上げるため、新聞社にいた友人に「当社を記事に取り上げてくれないか」と頼んだところ、「1社だけでは無理だが、他社も含めて新入社員向けのユニークな研修プログラムの情報の提供になれば可能かもしれない」との返事があり、結果的に記事に取り上げてもらうことができました。記事が掲載されると、会社の電話やファックスが鳴りっぱなしの状態で、実に320社ほどからオファーがありました。

会社が軌道に乗る一方で、他の情報通信会社の社外取締役も務めていました。その会社から、「情報通信の世界では自由化が進んでいるので、新しいサービスを手掛ける必要がある。そのために営業組織を改革したいので、コンサルティングをしてくれないか」という相談を受けました。立ち上げた研修企画会社を一緒にやってきた仲間に譲渡し、私は情報通信会社の副社長として会社を移ることにしました。

その後、いくつかの情報通信会社を渡り歩いたのですが、それらの事業に段々と興味や関心が持てなくなっておりました。そんな時、日本マンパワーの会長から「いい社会勉強をしているみたいだから、また、戻ってきて一緒にやってくれないか」と連絡をもらったんです。とても嬉しかったのですが、一度は辞めた身ですので、契約社員という形で再入社することになりました。最初に日本マンパワーを辞めてから、8年近くの月日が経っていました。

―― 再入社されてから、どのような仕事を担当されたのですか。

最初の仕事は新入社員の育成担当で、半年間務めました。その後、営業のライン長となり、ただ、依然として契約社員のままで、東京エリア部長、営業本部長などを任されました。そして契約社員から取締役営業本部長となり、常務取締役、専務取締役を経て、2006年4月1日に社長に就任することになりました。

ところで、脳医学者の加藤俊徳さんは「40歳定年制」を奨励しています。曰く、30~60歳の働き方が非常に重要で、この期間にいかに自分の頭と体を動かし、さまざまな環境で新しいことに挑戦し自己表現したか、それで60歳の脳の成長が決まる、と。ところが、会社員の多くが30~60歳の期間、変化を好まず、組織に居続けるために、自分を抑えて過ごそうとします。現状の60~65歳定年制の下では、“認知症”に打ち勝つ脳は生まれにくいと仰っています。

「40歳定年制」ならば、この期間、否応なしにさまざまな環境で挑戦し、自己表現を続けることになります。今や100歳まで生き続ける“リスク”を誰もが持っています。65歳まで一つの会社に勤めて残りの35年間を惰性の日々で過ごすのと、40歳を転機として、“人生二毛作”を送るのと、どちらが幸せと言えるでしょうか。私自身、40歳を過ぎた頃に日本マンパワーを辞めて、違う環境に飛び出していきました。そこで、成功や失敗を含め、いろいろと“修羅場”を経験したことが、現在の自分に結び付いているように思います。

同じ組織の中にずっといると、同じことを繰り返す毎日になってしまいがちです。私の場合、一度辞めたことが本当に良かった。また戻ってきて、会社に貢献できることを嬉しく思っています。

―― 加藤さんの場合は、“人生三毛作”ということになりますね。

会社員がダメだというわけではありませんが、テレビ番組を見ていた時にある老舗料亭の料理人が「サラリーマンはやればやるほど、だんだんとダメになるか、怠け者になる。ところが、プロや職人は、やればやるほど、時間が経てば経つほど、スキルや能力が高まる」と言っていました。プロや職人は誰も助けてくれませんが、それに対して会社員は守られる環境にいます。実際、私も自分で起業して独立した時、誰も助けてくれませんでした。こうした誰かに依存しないというプロ意識は、とても大事なことだと思います。

「人の成長」において、「専門能力や専門性の向上」はあくまで一面に過ぎません。本質的な視点からすれば、「社会や会社の中にある矛盾や不条理と向き合い、それらを抱えながら前向きに物事を捉えることが徐々にできるようになること」こそが「人の成長」と言えます。


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