コストコ ホールセール ジャパン株式会社:
正社員とパートタイムを同じ「時給制」の下で処遇
「社内公募制度」でキャリアアップを図り、
管理職の早期育成を実現(後編)[前編を読む]
コストコ ホールセール ジャパン株式会社 人事・総務 マーケティング 部長
中川 裕子さん
二つのパターンによる「学生就職プログラム」で、お互いに見極めを行う
新卒応募者に推奨している「学生就職プログラム」についてお聞かせください。
「学生就職プログラム」には、二つのパターンがあります。一つは、新卒から正社員採用を行う際に、短期アルバイト扱いで有償の「インターンシップ」を採用選考の間に設けたものです。一般的には、「インターンシップ」が先に行われ、その後に採用選考という流れになると思いますが、コストコでは採用選考を先に行い、「インターンシップ」がその後に用意されることが、大きな特徴です。この段階で、「実際に仕事をしてみてどうでしたか」「このまま採用選考を続けていきたいと思いますか」「コストコの仕事に興味がありますか」といったことを本人に見極めてもらうと同時に、我々も見極めさせてもらうのです。このように、あえて採用選考の途中にインターンシップを挟むことによって、お互いをより的確に見極めることができます。そして、両者の間でOKとなれば、「倉庫店面接」「本社最終面接」へと進み、「内定」という流れになります。
そして、新卒には入社後18ヵ月に及ぶ、「 管理職候補養成プログラム」を用意しています。この期間中に、運営のコアとなる四つの部門の仕事を、ローテーションによって身に付けてもらうのです。修了後には、「社内公募制度」を利用して他部署へ異動したり、場合によっては管理職へ応募したりすることも可能になります。
もう一つは、既にコストコでアルバイト経験のある学生を対象とした「学生就職プログラム」です。これには春休みや夏休みなど、学校の長期休暇を利用して短期アルバイトを経験した4年制大学生を対象としたものと、長期アルバイト・パートタイムとして継続して勤務した経験のある学生を対象としたものがあります。要は、学生時代にコストコでアルバイトを経験した人に、改めて就職先として考えてもらおう、ということです。既にコストコでの業務知識や能力を身に付けているわけですから、正社員として入社後は、将来の管理職候補として、早く成長してくれることを期待しています。実際、大学1年から4年にかけてコストコでアルバイトとして働いた経験のある学生が、入社した数ヵ月後に「スーパーバイザー」に昇格したというケースもあります。
人材育成という側面から見ると、非常にスピード感のある仕組みですね。
コストコが正社員に「時給制」を用いることに対して、違和感を覚える学生がいます。しかし、そうした学生に対しては、スピード感を伴ったキャリアアップを実感してもらうため、「他社で3年後、どのポジションにいるかを考えて欲しい」と話しています。そして、「コストコだったら3年後、このポジションにいる可能性がありますよ」「いきなり20人の部下を持つことができますよ」と具体的に明示します。本人の努力と成果次第で、同期社員をポジション・給与面で大きく飛び越えることが可能だと伝えるのです。実際、「学生就職プログラム」を開始して6年が経過しましたが、当初の参加メンバーで、現在管理職となっている人は非常に多い。他の企業ではあまり見ることのできない“ファストトラック”が実現できていると言えるのではないでしょうか。