自社の魅力、しっかり語れますか？
人材紹介会社が「コンサルティング」に積極的でない理由
採用難の時代が続いている。とりわけ優秀な人材については「売り手市場」が完全に定着。そうした中で採用を成功させるには、企業が自社の魅力をアピールできることが極めて重要だ。しかし、誰もが知っているような有名企業や人気企業ならともかく、一般の会社はそう簡単に他社との違いを打ち出せるわけではない。求人メディアの営業などは、企業の魅力を人事担当と一緒になって考えるコンサルティングサービスまでセットで提供していることが多いようだが、人材紹介会社では取り入れづらい事情がある。
大切な人材紹介会社へのプレゼン
「同業他社にはない、貴社の強みとは何でしょうか？」
「経営者の方の考え方や人柄を教えていただけますか？」
求人企業に、よくこんな質問を投げかける。人材紹介会社にとって、転職希望者に紹介した企業の特色や魅力を伝え、応募や入社へのモチベーションを上げていくことは大切な業務。そのためには、求人企業の詳しい情報が必要になる。人材紹介会社を利用する転職希望者には、一般的な求人メディアには書かれていない情報を知りたくて登録する人も少なくない。当然、私たちもその期待に応えようと準備する。
そんなわけで、それぞれの会社の魅力や経営トップの情報などを引き出そうとするのだが、すらすらと答えてくれる人事担当者ばかりではない。
「会社概要はホームページにまとめてあるので、それを見てください」
「社長の人柄ですか？ そうですねえ、すごくリーダーシップのある人です」
このように具体性のない答えは当たり前だし、逆に質問されることもある。
「人材紹介会社さんから見て、弊社の魅力はどこだと思われますか？」
ついつい、「人事が自社の魅力を語れない会社に入社したい候補者はいるでしょうか」と返したくなってしまう。実際、そういう企業はハローワークや求人メディアなどを一通り利用したけれど、どうしても応募者が集まらなかったので、次は人材紹介会社を使ってみた、というケースが往々にしてある。会社の魅力を打ち出せないと応募者が集まらないのは人材紹介でも全く同じなのだが。
待ってましたとばかりにプレゼンしてくれる人事担当者もいるが、いまひとつピントがズレていることもよくある。その会社が自社の魅力だと思うものを勝手に改変はできないので、基本的にはそのままの情報を転職希望者に伝える。
ただ、「難しいとは思いますが、お知恵を貸してもらえませんか」と相談してくれる人事担当者もいる。そんなときは力になりたいなと思うのだが……。
