新卒の時の景気で人生が決まる? リベンジ転職人手不足感の強い新卒採用の影響か 再チャレンジを考える氷河期世代も
ここ数年売り手市場が続く、新卒採用。多くの企業が「人手不足」を訴えるのを見て、複雑な気持ちになっている人も多いのではないだろうか。特に、1990年代中盤から2010年代まで、断続的に就職氷河期が続いた時期に新卒で就職活動を行った世代。そんな彼らが、「人手不足の今ならキャリアアップが可能ではないか」と考えたとしても、決しておかしくない。
就職氷河期のリベンジ?
「すぐに転職したいわけではないのですが、今の転職市場の状況を知りたいと思いまして」
人材紹介会社には、こういった打診含みの転職相談が寄せられることも少なくない。すぐに転職したい人はもちろん歓迎だが、こういう「自分の市場価値を知りたい」というタイプの人も同じくらい歓迎している。そういったタイプには、めったに出会えないような素晴らしいキャリアの人材がいるからだ。
転職市場の状況を教えて欲しいという人たちの中には、「就職氷河期経験者」も少なからずいる。一般に就職氷河期とは、バブル崩壊後の1990年代から2000年代前半をいうことが多いが、2000年前後にはITバブルの好景気があり、2008年のリーマンショック以後にもちょっとした氷河期が訪れたことがあるなど、実際は「まだら模様」だ。同じ大学の卒業生でも、一年違うだけで就職活動の内容や内定取得状況が大きく異なることもある。
Cさんが卒業したのは2000年代前半。かなり苦労したものの、なんとか正社員として就職することができた。しかし、その後景況感が改善し、新卒採用は売り手市場へと変化。自社の人事が「新卒がなかなか採れない」とぼやいているのを聞き、釈然としないという。
「新卒の能力なんて、毎年そんなに変わるはずがありません。しかし、同じくらいの能力の学生でも、ある年は大企業に就職できたり、その数年後はまったくできなかったり、といった差が生まれています。自分たちの年は特に悪い方でした。それだけに、もし今、人手不足でいい転職先があるなら、再チャレンジしてみる価値はあるんじゃないかと思ったんです」
もともと氷河期世代の人たちは、転職に積極的だった。新卒の時に非正規での就職を余儀なくされた人は、正社員として転職できないか模索を続けてきた。Cさんの場合はそれとは違って正社員から正社員への転職だが、根底にある思いは同じということだろう。
「氷河期に採用を絞った企業は年代別の社員構成がいびつで、それを中途採用で修正したがっているという話を聞いたことがあります。実際はどうなんでしょうか」
Cさんはいくつかの人材紹介会社をまわって話を聞いているようで、現在の企業の中途採用ニーズにも予想以上に詳しかった。