人材の意に沿わない紹介は、信頼感を失うことにつながりかねない
いろいろなパターンがある なかなか紹介できない会社の存在
人材紹介会社への依頼を終えると、企業は候補者が紹介されるのを待つだけとなる。しかし、候補者がなかなか紹介されない場合もある。欠員などの理由で急いで採用したい時なら、採用担当者のイライラも募ってくることだろう。時間の経過とともに、社内から「どうなっているんだ?」「ちゃんと募集しているのか?」といった声も届くようになる。こんな時、人材紹介会社にプレッシャーをかけて無理やりに候補者を出させようとする企業もあるようだが、それでうまくいったという話はあまり聞いたことがない。
やる気がないんじゃないですか?
「どういう状況でしょうか。お願いしてからもうかなり経ちますが、まだ一人もご紹介いただいてないんですが」
人材紹介会社には多くの転職希望者が登録している。各社とも「○万人以上の登録者」「経験者、有資格者多数」などと人材の豊富さを売りにして営業しているから、「求人票を出せばすぐに紹介してもらえる」と企業が考えるのも当然だろう。
しかし、現実はそう簡単ではない。企業の要求する条件(スペック)がピンポイントな場合や、条件は緩いが転職希望者に不人気な業種・職種の場合は、すぐに紹介できることのほうが、まれだったりするのである。
そんなわけで、「さっそく条件に合う人材を探してみます」と求人依頼を引き受けても、冒頭で紹介したように、企業から「まだですか?」という催促の連絡をいただくことも珍しいことではない。
こういう場合にはまず状況を丁寧に説明する。採用条件が厳しい場合や完全に売り手市場でめったに人材がいない職種の場合などは、企業側もそのことを十分理解しているので、 ある程度は納得してもらえる。しかし、条件は緩いのになかなか紹介できない、いわゆる「不人気業種、職種」の場合は、やや反応が違うこともある。簡単な募集なのに紹介してこないのは「手を抜いているからではないか」「紹介する気がないからではないか」といった、クレームに近いような問い合わせがくることもあるのだ。

その日、電話で問い合わせをしてきたA社がそうだった。A社が募集しているのは営業職。しかも商品は一般向けの高額なもので、給与システムは固定給+歩合給制だ。経験はほとんど問わないというが、求人広告を出しても採用がかなり難しいパターンである。キャリア志向の転職希望者が多い人材紹介会社の登録者には、そもそも希望する人がほとんどいない分野といえる。
「申し訳ありません。対象になりそうな方に積極的にお声はかけているのですが……皆さん自信がないとおっしゃるんです」
苦労しながら状況を説明するが、この日のA社の担当はなかなか納得してくれない。
「それにしても、一人も紹介がないというのはおかしいでしょう。やる気がないんじゃないですか?」
やがて話はさらにエスカレートしていく。
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