「2度目の五月病」をきっかけに転職する第二新卒
転職後の可能性は大きいが、迷いも生じる 決断させるには、時間と手間がかかるケースも――
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第二新卒は定額紹介料でお願いします
「もう内定が出たんですか。随分早いですね」
面接を受けた企業からの内定を伝えると、Kさんは驚いていた。説明会や面接などで何度も接触を繰り返してやっと内定が出る新卒の就職活動に比べると、中途採用のプロセスはものすごくシンプルに感じられても不思議ではない。Kさんが不安にならないように、その違いを詳しく説明する。
「中途採用の場合、第二新卒クラスだと面接は1回か2回が一般的ですよ。キャリアのある方やマネジャークラスの採用でも3回、多くて4回くらいですから」
今回は、企業の実態をよく知りたいというKさんのために、企業訪問の機会を設けるなど、私もいろいろ工夫してみた。また、多くの企業にチャレンジしたいという希望にも応えて、スペック的に合わないと思われる企業に履歴書を見てもらったりもした。その結果、Kさんはめでたく3社から内定を獲得した。それでもKさんにはいろいろと迷いがあるようだ。
「いつまでに返事をしたらいいのでしょうか。少し考えたいので……」
これまでの経験やスキルがベースになるキャリア人材と違い、第二新卒の場合は「可能性が大きい」からこそ、本人も進むべき道がよくわからないというケースは珍しくない。しかも、Kさんの場合、今の仕事を続けるという選択肢もあるのだから、迷うのは当然かもしれなかった。
「食事でもしながら、じっくりお話ししますか?」
オフィスのような場所で話していては進展しないことでも、居酒屋などで本音を語ってもらうと案外解決することがある。二人きりだと気まずいかもしれないと思い、私はKさんと同じ20代の後輩社員も誘い、ざっくばらんに話をしてもらうことにした。アルコールも入ったKさんとは腹を割った話ができた気がした。その数日後「考えがまとまりました」という連絡があった。無事に紹介した企業に転職することになったのである。
「先日は、ありがとうございました」
私は、Kさんが快諾してくれたことを伝えるため、採用企業に電話をかけた。
「こちらこそお世話になりました。おかげで何とか欠員が埋まりました」
先方も喜んでくれている。
「今回のKさんは第二新卒なので、通常の人材紹介とは別枠の紹介料でお願いするということでよろしいですか。他の紹介会社にもそれで承諾してもらっていますし」
それは、年収を基準に計算する通常の紹介料よりも大幅に低い一律料金だった。よくあるケースだが、すでにKさんの気持ちが決まっている以上、安いからという理由で破談にするわけにもいかない。私は苦笑いしながら了承するしかなかった。
先にも述べたが、第二新卒の紹介が簡単なわけではない。むしろ、相談やアドバイスには余計に時間や手間がかかるケースが多いだろう。しかし、採用企業側にそのロジックは通じないのが、第二新卒の紹介なのである。
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