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キーパーソンが語る“人と組織”

小学生を「学び続ける自走集団」に変える
ぬまっち先生流・やる気を引き出すしかけづくりとは(後編)

沼田 晶弘さん
(東京学芸大学附属世田谷小学校 教諭)

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やりたいことがわからないのは、自分でブレーキを踏んでいるだけ

―― 沼田先生のクラスでは、児童がそれぞれ目標を決め、やりたいプロジェクトを立ち上げていますが、世の中には「自分のやりたいことがわからない」という人も多いと思います。

自分のやりたいことなんて、ボク自身もあまりよくわかっていないですよ。よく「将来のビジョンは何ですか」と聞かれますが、普通に暮らして、家のローンを払いながら、月1回はゴルフに行って、居酒屋で飲めればいい。「日本の教育をどう変えたいですか」と言われても、別に変えるつもりはありません。

おそらく多くの人は「やりたいことがわからない、見つからない」のではなく、自分でブレーキを踏んでいるだけなのだと思います。「恥ずかしい」とか「失敗するんじゃないか」と考えているんですね。だからボクは、いただいた仕事をできる限り断らないようにしています。断ったり、選んだりすると、自分の好みに偏ってしまいそうなので。実はいろいろな理由で断った仕事にこそ、チャンスが隠れているのではないかと思うんです。

―― ブレーキを踏まず、目の前の仕事に取り組んでいるうちに、やりたいことが見えてくる、ということですね。

実際、ボクがそうでしたからね。取材を受けるようになり、本を出版したことで、いろいろな人と出会い、できることも広がっていった。それを少しでも子どもたちに還元したい、と思っています。人事部の方も、他の会社の方と交流することで自社を客観視できるようになったり、新しい気付きを得られたりするのではないでしょうか。

教師を始めて10年以上経って、直接担任した子どもは述べ200名ほど。彼らの活躍は、ボクの刺激にもなっています。先日、系列の中学校でスピーチコンテストが行われた際、ボクのクラスの出身者が1、2、3位を独占したそうです。中学校から外部入学した優秀な生徒も多い中で、学力上位にも名を連ねているようです。そんな話を聞くと、がんばっているなと感心しますし、ボク自身も「もっとがんばらなければ」と思います。ボクのクラスでは学期末ごとに、子どもたちからボクへ通信簿を書いてもらっているんです。読んでみると、かなり注文が多い。「ぬまっちは最高です。でも、私たちはこの最高に慣れました」などと。子どもたちが成長しているぶん、ボクも成長していかなくてはならない、と実感します。

子どもは、もともとすごい力を持っています。ボクは感覚的に環境づくりをしているけれど、その力を少しでも引き出したいと思うし、その結果、彼らがいつか大きなことを成し遂げてくれたらいい。だからボクはできるだけ長生きして、50年後くらいに「今、活躍している人たちは、みんな同じ先生のクラスだったらしいよ」と言われるようになりたい。そして365日、偉くなった教え子たちにごちそうしてもらえたらいいな、と思っています(笑)。

沼田 晶弘さん 東京学芸大学附属世田谷小学校 教諭

(取材は2017年10月4日、東京・世田谷区の東京学芸大学附属世田谷小学校4年3組教室にて)


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