人事担当者157人に聞いた「メンタルヘルス対応の実際」
一般財団法人 労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、メンタルヘルス対応に関して、企業の現場はどう変化しているのか、人事担当者はどういうことに悩んでいるのか、どんな点が課題なのかを浮き彫りにするため「メンタルヘルス対策“本音”アンケート」を実施。本記事では、その調査結果の中から「メンタルヘルス不調による休職者の有無、人数、増減傾向」「メンタルヘルス対応で苦慮した場面やケース」を中心に、取り上げます。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
◎調査名:「メンタルヘルス対策“本音”アンケート」
1. 調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務・総務担当者5281人と、弊所で展開するセミナー「労政時報カレッジ」に参加いただきアンケートにご協力いただいた方16人の計5297人
2. 調査期間:2012年10月2日~11日
3. 調査方法:WEBによるアンケート
4. 集計対象:157人(1社1人)。今回のアンケートは300人以上の会社の回答が多いのが 特徴である
メンタルヘルス不調による休職者の有無
休職者がいる企業は84.7%
2012年9月時点でメンタルヘルス不調を理由に休職している社員が「いる」企業は、全体で84.7%に達しており、「いない」の15.3%を大きく上回りました。前回の10年調査(63.5%)と比較すると21.2ポイント増えています。
規模別に見ると、1000人以上98.4%、300~999人75.9%、300人未満66.7%というように、規模が大きいほど休職者の「いる」割合が高くなっています。
メンタルヘルス不調を理由とした休職者の人数
人数は1~2人に半数が集中している
メンタルヘルス不調を理由とした休職者のいる企業133社を対象に、具体的人数を集計しました。規模計の分布を見ると、「1人」が27.8%と約3 割を占めます。以下「2人」が22.6%、「3人」が6.0%と続き、「5人」で12.8%となっています。「1人」と「2人」の割合を足し上げると 50.4%となり、この階級に半数が集中しています。規模計の平均は8.5人です。なお、前回10年調査の平均(5.5人)と比較すると3.0人増えてい ます。
休職者の人数は企業規模によって幅広く分布しているため、平均を算出すると、より高いほうに引っ張られ、実感より高めの数値になってしまいます。そこで、全数値のちょうど真ん中に位置する「中位数」で見てみると、2.0人となりました。
規模別に見ると、1000人以上では平均が15.4人、中位数が5.0人で、休職者が「20人以上」という企業も15.9%に上ります。300~999人と300人未満の平均はともに2.3人となっています。規模の大きいほうで休職者数も多いことが分かります。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。