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社長の日当は?課長の宿泊料は?「出張」旅費の最新実態を探る

電話の打ち合わせは相手の顔や資料が見えないし、またメールでは微妙なニュアンスが伝わりにくい。さらにテレビ会議でも談論風発の雰囲気になりにくい――ということで、「出張」はいつの時代も仕事を円滑に進めるための重要なシステム。でも、企業の経営環境は依然厳しく、経費節減のムードが漂う中で、出張時に支給される日当や宿泊料も標的になりつつあるようです。地方自治体の中には、日帰り日当を全廃したり、特別職のグリーン車料金の支給をやめたりするところが出てきましたが、企業の国内出張旅費の実態はどうなっているのでしょうか? 経営トップから一般社員まで役職別の支給水準や新幹線「のぞみ」の利用の認否状況について、労務行政研究所の調査結果をもとに探ってみます。

4社に1社は7年以上「出張旅費」の見直しをしていない

まず、表1をごらんください。

表1

これは、現行の国内出張旅費の設定年を調査した結果ですが、部長以下の従業員クラスの設定について見てみると、「1996年以前」が24.4%と、7年以上の間、宿泊日当や宿泊料の見直しを行っていない企業が4社に1社に上ることがわかります。97年以降の各年は、それぞれ1割前後の改定となっており、直近の1年間で見た2003年5月以降に見直した企業は12.2%となっています。

宿泊日当を支給する企業(役員172社、従業員237社)において、「日当」を出張地域や距離などによって差を設ける企業の割合は、役員8社(4.7%)、従業員22社(9.3%)といずれも1割未満。地域差などを設けずに、一律に設定している企業がほとんどです。

「宿泊料」については、(1)宿泊地による地域差がない(全地域一律の)場合と(2)宿泊地によって格差を設ける場合の2つに分かれます。結果は、大都市圏と地方都市での実際の宿泊料の差を考慮して、役員の場合、145社中61社(42.1%)、従業員の場合、222社中118社(53.2%)が地域差を設けており、とくに従業員では役員より約10ポイント高く、過半数に及んでいます。

「日当」の平均額は社長5500円、従業員2200円

次に、表2をごらんください。

表2

ここでは、出張1日当たりの「日当」と「宿泊料」について、「地域差のない」企業の平均支給額をまとめています。

「日当」の平均支給額は、社長が5494円で、以下、専務4473円、常務4323円、取締役3915円、部長級2897円、課長級2642円、係長級2383円、一般2233円となっています。おおまかに見ると、役員では社長が5500円、役付役員が4300~4500円、平取締役が3900円と役位によって格差が見られますが、従業員クラスでは役職にかかわらず、2000円台の水準になっています。

ちなみに、国家公務員の出張旅費を定める「国家公務員等の旅費に関する法律」によると、日当は内閣総理大臣で3800円、各省庁の事務次官3000円、本府省の室・課・部長2600円、係員・主任1700円などとなっていて、どの階層も今回集計した民間企業の水準よりも低くなっています。

また、「宿泊料」の平均支給額を見ると、社長が1万4921円で、以下、専務1万3061円、常務1万2674円、取締役1万1777円、部長級9722円、課長級9388円、係長級8915円、一般8678円となっています。役員の宿泊料は、日当の傾向と同様に、役位による格差が認められます。従業員クラスでは、管理職層である部・課長が9000円台、非管理職である係長・一般が8000円台となっていますが、職階間の格差は役員ほど大きくありません。

「最高地」と「最低地」の宿泊料の格差は2800~1800円

では、表3をごらんください。

表3
表3

こんどは、出張1日当たりの「日当」と「宿泊料」について、「地域により格差のある」企業の平均支給額をまとめています。

「宿泊料」では、最低地の水準を見ると、社長1万5715円、専務1万2819円、常務1万2520円、取締役1万1595円、部長級9281円、課長級8815円、係長級8377円、一般8195円となっています。一方、最高地の平均を見ると、社長1万8464円、専務1万5412円、常務1万5049円、取締役1万3986円、部長級1万1165円、課長級1万673円、係長級1万184円、一般9998円です。

最低地と最高地の金額を比較すると、社長が2749円、専務2593円、常務2529円、取締役2391円、部長級1884円、課長級1858円、係長級1807円、一般1803円の格差があります。

また、さきほどの「地域差のない」企業の水準と比べると、最高地では役員で18~24%、従業員クラスで15%前後、地域差のない企業の水準より高くなっていますが、最低地は社長を除く役員で2%弱、従業員で5%前後低くなっています。

「日当」では、格差を設ける企業は少ないですが(8社)、最高地では、社長7750円、専務4838円、常務4713円、取締役4375円、部長級3377円、課長級3002円、係長級2664円、一般2423円となっています。

9割を超える企業が「のぞみ」利用を認めている

最後に、表4をごらんください。

表4

これは、従業員クラスに新幹線「のぞみ」の利用を認めるか否かを調査した結果をまとめたものです。

2003年10月、JRのダイヤ改正に伴い、新幹線のぞみが値下げされるとともに、指定席だけだったのぞみに自由席(3両)が新設され、自由席特急料金はひかりと同額となりました。のぞみの運行本数も東海道新幹線では1時間に3本→7本(最大)と大幅に増え、逆にひかりは6本→2本に減りました。

この改正では、東京―大阪間の「のぞみ指定席料金」も値下げされ、ひかりとの差額は970円から300円に圧縮されました。しかし実際には、多くの企業は同区間で1080円の「実質値上げ」になっています。というのは、企業がこれまで利用していた、のぞみには乗れないが割引率が最も高い回数券「新幹線ビジネスきっぷ」が廃止されたことが理由です。それに代わって、のぞみ、ひかり・こだま共通の「新幹線回数券」に原則一本化されましたが、これまで片道1万2160円だった交通費が1万3240円にアップしてしまいました。

こうした状況の中で、今回、のぞみ利用の認否状況を調べたところ、条件を問わず「認める」企業は32.2%と3社に1社に上り、「条件つきで認める」企業も60%を超え、合わせて90%を超える企業がのぞみの利用を認めています。

労務行政研究所では2003年のダイヤ改正前にも同様の調査を行っていますが、そのときはのぞみ利用を認めない企業が4割に上っていました。今回、のぞみ中心のダイヤ編成になったことで、ほとんどの企業がのぞみの利用を解禁したと言うことができそうです。

注) * ここでは、労務行政研究所が2004年4月5日から5月26日まで「国内・海外出張旅費に関する実態調査」と題して行った特別調査のうち、「国内出張」に関する結果をもとに、「日本の人事部」編集部が記事を作成しました。同調査の内容については、『労政時報』第3634号(2004年7月23日発行)に掲載されています。* 同調査の対象は、全国証券市場の上場企業および店頭登録企業3626社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)360社の合計3986社です。* 表1は同調査の内容を掲載している『労政時報』第3634号から転載させていただきました。また表2~4は、労務行政研究所の調査結果をもとに「日本の人事部」編集部が作成しました。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください→ 「WEB労政時報」体験版

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