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人事の現場で活きる法令実務Tips―障害者雇用

三菱UFJリサーチ&コンサルティング HR第2部 マネージャー 吉田 英里氏

2020年に人材版伊藤レポート(経産省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」)が公表されて以降、「人的資本経営」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。2023年1月に公布・施行された内閣府令で、人的資本情報が有価証券報告書において開示義務となり、本格的に自社の人的資本経営を検討し始めている企業もあると推察します。人的資本経営を進めるにあたり、その重要な要素であるダイバーシティ&インクルージョン促進の重要性が高まっています。

この流れを受け、障害者雇用も、「量」から「質」へ変わろうとしています。
コラムシリーズ「人事の現場で活きる法令実務Tips」では、直近の法改正を含む障害者雇用を取り巻く法律解説、これからの障害者雇用のあり方・実務の要点について解説していきます。
※本コラムでは、厚生労働省の記載通り、「障害者」と表記します。

障害者雇用に関する直近の動向

障害者雇用に関する直近の動向として、2022年12月10日、障害者総合支援法等の一部を改正する法律(「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律」)が成立し、これに伴い、障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、「障害者雇用促進法」)も改正されました。また、法定雇用率の段階的引き上げも決定しています(2024年4月~)。

今回の改正で注目すべきは、「障害者雇用と障害者福祉の連携をさらに進めること」、「雇用義務の対象となる障害者の範囲を拡充すること」に加え、「障害者雇用の質の向上を進めること」が言及されている点です。

「量的観点を重視した」これまでの障害者雇用

そもそも、障害者雇用促進法の目的は、「障害者の職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ること(第一条)」です。

従来は、企業に対し、法定雇用率を定め雇用義務を課すことで就労機会の確保・拡大の実現を目指す、“量的観点”が重視されてきました。法定雇用率を上回った場合には「障害者雇用調整金」を支給し、下回った場合には「障害者雇用納付金」を徴収するという、いわばアメとムチの両施策をもって雇用義務の実効性を高めてきたのです。法定雇用率未達成が続き、公共職業安定所長による「雇入れ計画の適正実施勧告、及び特別指導」を受けてもなお改善が見られない場合には、企業名公表に至ることもあります。

このように、企業の障害者雇用への取り組み態度・実施状況は、社会的信頼や企業価値に関わる重大な問題ともなり得るため、いかに障害者雇用「枠」を確保するかが最大の課題でした。

そこで企業の悩みとなっていたのが、障害者雇用を進めるにあたり「新たに業務を創出する必要がある」ということでした。企業は、社内の業務を棚卸ししたうえで、判断要素が少なく、安心・安全に従事しやすい反復定型業務を切り出して再構成し、業務を創出することから始めなければなりません(いわゆる「切り出し・再構成モデル」[ⅰ])。そして、法定雇用率が上がるたびに企業はこれを繰り返し、辛うじて雇用枠を確保してきました。

近年では、自助努力での雇用枠確保が難しくなった場合、いわゆる「農園型障害者雇用」等の施策を取り入れる事例も見受けられます。このように、これまでの“量的観点”を重視した障害者雇用では、法定雇用率を満たすこと自体が目的となっていた企業も少なくなかったのが実態といえるでしょう。

「量」から「質」へ

この実態に対し、今回の法改正では、努力義務とはいえ “職業能力の開発及び向上に関する措置”が含まれることが明確化されました。つまり、“質の観点”が求められるようになったということです。これからは、企業が個々の障害特性を理解したうえで適性に合った業務・役割を付与する等、キャリア形成を支援しつつ、障害者が安定的な就労を得る機会に加え、能力発揮に応じた適切な賃金を得る機会を検討していく必要があります。

では、どのように“質”を高めていけばよいのでしょうか。

これからの障害者雇用について考える

障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、「障害者雇用促進法」)の直近の改正では、障害者雇用の「質の向上」が努力義務に定められました。分かりやすくいうと、「障害者一人ひとりの個性に適した職務・環境を提供し、働きがいを高められるように支援すること」となります。この視点に立って、実務の要点およびこれからの障害者雇用のあり方について解説します。

障害者雇用の質を高める観点とは

障害者職業総合センターによる「障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究」では、障害者雇用の質的要素には、7つの項目、233の視点、392の捉え方があると言及されています。そのうち、7つの項目は、「①社会からの期待への対応(より良い働き方、企業経営等)、②障害者雇用の位置づけと全社的な取組、③障害者のキャリア形成と能力の発揮(戦力化)、④障害理解に基づくきめ細かな対応、⑤働く価値や意味-賃金、自己実現等(障害者から見た雇用の質)、⑥障害者雇用の波及効果(障害者雇用と企業経営・共に働く労働者の雇用との相互作用)の6分類と、⑦その他」に整理されています [1]

この研究は、今後視点の妥当性・有用性の検証が必要と述べられてはいますが、当該研究と前述した法解釈に鑑みると、③・④・⑤に関連する“障害特性の正しい理解”、①・②に関連する“全社取り組み化”が実務における要点であり、質の向上の第一歩であると考えます。

関係者を巻き込み、深める。障害特性の正しい理解

障害特性の正しい理解とは、障害に起因する障害者個人の「苦手なこと」「助けが必要なこと」を、正しく把握することです。これが、障害者一人ひとりの個性に適した職務・環境の提供の前提となります。

障害特性を正しく理解するには、本人からの申し出だけではなく、就労移行支援事業所や家族等本人を取り巻く関係機関・関係者との連携が有効です。筆者の経験では、入社後半年間定期面談を行い、障害特性に配慮した業務指示等コミュニケーションの方法、業務量・範囲拡大の進め方について、就労移行支援事業所から助言をいただきました。社内に専門家がいない状態で障害者雇用を進める場合は、外部の専門機関に頼ることも肝要です。

さらに、直属の上司や同部署内の部員だけではなく、関わる可能性がある部署の特に管理職に対しては、本人了承のうえ、障害特性と合理的配慮事項をあらかじめ共有しておくことが望ましいでしょう。たとえば、「大きな音・振動に対して過度に敏感」という特性は、業務中のヘッドホン着用を認めるといったことも、実際に想定される合理的配慮のひとつです。これが特別扱いではなく、社会的障壁を緩和し、安心・安全に働くために必要な配慮であるということを理解してもらう必要があります。

障害特性というと、「できないこと」というネガティブな部分のみにフォーカスしがちですが、あわせて「得意とすること」「助けがあればチャレンジできること」というポジティブな部分についても本人と周囲の間で共有しておくと、職務の拡大というキャリア醸成、存在意義の実感によるモチベーション・働きがいの向上につながることも期待できます。

このように、障害特性の正しい理解とそれに基づく適切な対応を進めるには、もうひとつの要点である、障害者雇用の“全社取り組み化”も同時に必要となります。

企業の「社会的責任」と「自社の魅力」の両軸で考え、戦略的に全社で取り組む

障害者雇用の「量」から「質」への変化は、企業における障害者雇用の意義に変化をもたらすと考えられます。これからの障害者雇用に対する企業の取り組みは、従来のような、企業に課された「社会的責任」に基づく都度対応・最低限の取り組みにとどめず、「自社の魅力」向上施策のひとつとして捉え、戦略的に実行することが大切です。

そのために、障害者雇用を、自社の多様な人材活躍促進、ダイバーシティ&インクルージョンの一環として再認識することから始める必要があります。インクルージョンとは、「包摂」を意味する言葉です。包摂力の高い企業は、強く、魅力ある企業と言えます。また、ダイバーシティ&インクルージョンは、人材版伊藤レポートにおいて「人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素」となっているだけでなく、国際規格ISO30414(人的資本情報開示の評価指標)にも含まれる、これからの企業価値を測る重要な指標のひとつです。そして、障害者雇用もこの要素(指標)のひとつなのです。

なお、今後、「もにす認定制度」(従業員数300人以下の中小企業の障害者雇用に対する取り組みを評価・認定する制度)[2] も、「くるみん認定」のように、企業の魅力を示すもののひとつとして、取得を目指す企業が増えていくことも想定されます。

この機会に、障害者雇用を人的資本経営の重要なテーマと捉え、「障害者雇用のあるべき姿」の再考をおすすめします。

[ⅰ] 『調査研究報告書No.133「精神障害及び発達障害者の雇用における職務創出支援に関する研究」』独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(最終確認日:2023/6/20)
[1] 障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究|障害者職業総合センター NIVR (jeed.go.jp)(最終確認日:2023/7/10)
[2] 障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度 (mhlw.go.jp)(最終確認日2023/7/10)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループのシンクタンク・コンサルティングファームです。HR領域では日系ファーム最大級の陣容を擁し、大企業から中堅中小企業まで幅広いお客さまの改革をご支援しています。調査研究・政策提言ではダイバーシティやWLB推進などの分野で豊富な研究実績を有しています。未来志向の発信を行い、企業・社会の持続的成長を牽引します。
https://www.murc.jp/

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【用語解説 人事辞典】
エクイティ(Equity)
就労継続支援A・B型事業所