代表取締役との委任契約
代表取締役との委任契約(職務・報酬ほか)を締結したいのですが、この場合、会社側の締結者はどのように記載すべきでしょうか?(いくつか考えてみました)
①委任者、被委任者とも同一(代表取締役が一人二役)
②委任者は、代表取締役以外の任意の取締役
③委任者(会社側)の個人名は記載せず、社名のみ
④上記以外の何らかの方法で相互確認
⑤委任契約は不要
妥当な方法及び留意すべき点をご教示いただけると助かります。
投稿日:2025/04/10 11:28 ID:QA-0150752
- 労務管理担当さん
- 埼玉県/その他業種(企業規模 301~500人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
結論(おすすめの対応)
2.委任者は、代表取締役以外の取締役が会社を代表して締結する。が、最も妥当かつ法的にも適切な方法です。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
代表取締役との間で委任契約(職務・報酬など)を締結する際の「会社側の契約締結者」の扱いについての契約は「会社とその代表者との自己契約・双方代理」に関わるため、会社法上も実務上も慎重な処理が必要です。
結論(おすすめの対応)
2.委任者は、代表取締役以外の取締役が会社を代表して締結する。が、最も妥当かつ法的にも適切な方法です。
背景と法的根拠
自己契約・双方代理の禁止(民法第108条)
代表取締役が「会社と自分自身との契約」を結ぶ行為は、原則として自己契約・双方代理に該当し、無効となるおそれがあります。
そのため、代表取締役本人が「会社側」と「個人側」の両方を兼ねて契約を結ぶこと(1)は不可または無効のリスクが高いと思います。
各案の解説と妥当性評価
案内容 妥当性 補足
1, 代表取締役が一人二役自己契約となり無効の可能性あり×NG民法108条違反の可能性
2, 他の取締役が締結者になる法的に妥当で安全〇推奨議事録による権限付与が必要
3. 会社名のみで締結誰が会社を代表しているか不明確△注意法的効力が不安定
4. 相互確認(覚書等)契約としての形式を欠く △慎重に補足資料にはなり得るが主契約には不十分
5. 委任契約は不要実務で放置されがちだが好ましくない△報酬・業務範囲を明文化することは望ましい
【実務対応の流れ(2を選択する場合)】
1. 取締役会決議または株主総会決議を行う
委任契約(業務範囲・報酬)の内容を確認・承認
取締役会設置会社の場合:取締役会で承認
非設置会社の場合:株主総会で承認
2. 他の取締役を「契約締結権者」として決議
例:「取締役〇〇をして、会社を代表して本契約を締結させる」
3. 委任契約書の記載例
【委任者(甲)】
株式会社〇〇
取締役 〇〇〇〇(代表取締役を除く他の取締役が署名)
【被委任者(乙)】
氏名:〇〇〇〇(代表取締役)
注意点(チェックリスト)
取締役会議事録 or 株主総会議事録の整備
報酬額が公正であること(著しく高額でない)
就業規則や役員報酬規程との整合性
締結者の印鑑・署名の明確化(社判+取締役印)
まとめ
質問 回答
代表取締役との委任契約時の会社側の締結者代表取締役以外の取締役(案2)を選任し、契約締結者とする
自己契約の回避方法取締役会等で承認・他の取締役に代表権限を与える
留意点契約の整合性・議事録の整備・契約書の記載者明確化
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/04/10 16:23 ID:QA-0150786
相談者より
明快なご見解とその根拠についてご教示いただきましてありがとうございました。
頭がスッキリしました。
社内で協議する際、説得力のある説明ができます。その上で結論を出したいと思います。
投稿日:2025/04/11 09:30 ID:QA-0150842大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、契約の当事者ですので、委任者は法人、被委任者は代表取締役になります。
尚、人事労務の問題ではございませんので、その他詳細に関しましては、会社法務に精通した弁護士等の専門家にお尋ね頂ければ幸いです。
投稿日:2025/04/10 23:06 ID:QA-0150822
相談者より
ご回答ありがとうございます。
基本事項とはいえ、自分の未熟さから、法務契番越しに相談する前に、労務管理目線でのアドバイスをいただきたく、このサイトをお借りしてご質問させていただいた次第です。
お手数をお掛けし、申し訳ございませんでした。
投稿日:2025/04/11 09:33 ID:QA-0150843大変参考になった
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