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HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

松園健さん(株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント):
人材紹介専業の企業として唯一、東証一部に上場
「両面型」ビジネスモデルのプロフェッショナル集団を率いる

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松園健さん

1975年にイギリスで設立されたジェイ エイ シー リクルートメントは、1988年に日本法人を設立し、長年に渡って日本の人材紹介業界をけん引してきました。特に、日系企業と外資系企業の双方に対する、管理職から経営幹部層、またグローバル関連や専門分野の職種などの人材の紹介で高い実績を誇っています。同社の特色として、企業の人材ニーズのサポートと求職者に対する転職サポートの両方を一人のコンサルタントが行う「両面型」のビジネスモデルを導入していることが挙げられます。企業担当と求職者担当を分ける「分業型」のビジネスモデル(人材紹介業界では一般的な形)よりも、質の高いサービスの提供が可能になるのです。そして2015年には、人材紹介専業の企業として初めて東証一部へと上場。人材紹介業界ではコンサルティングの質の高さと組織規模の拡大の両方を実現するのは難しいと言われていますが、同社はそれを見事に実現し、業界屈指のプロフェッショナル集団を形成しています。しかし、ここに至るまでには、困難な道程や課題もあったはずです。いったい、どのようにして今日の姿を築いていったのでしょうか。リクルート出身で、2011年から代表取締役社長を務める松園健さんに、詳しいお話を伺いました。

プロフィール
松園 健さん
株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント 代表取締役社長

まつぞの・たけし/1958年広島県生まれ。1980年駒澤大学法学部卒業後、株式会社コーユーコーポレーションに入社。1983年株式会社就職情報センター(現リクルート)に転職し、中途採用情報誌事業部の営業職、HR事業及びICI(海外事業のグループ会社)各営業部長を歴任する。2003年株式会社リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)へと転籍し、製造業、メディカル、大手企業、事業開発部など各部の部長を務める。2006年株式会社リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長に就任。そして2008年ジェイ エイ シー リクルートメントに営業本部副本部長として入社、営業本部長、専務取締役を経た後、2011年代表取締役社長へ就任する。

「自分の意志」で就職、転職を決めることの重要性を知る

 松園さんは、リクルートご出身ですね。大学卒業後、人材業界に入られた経緯について、お聞かせいただけますか。

就職活動をしていた際、父親から地元の広島に戻って就職するよう言われました。私は東京で就職したかったのですが、父親の意向に逆らえず、地元の金融機関に内定をもらいました。しかし、年末になったころ、自分の意に反した地元に就職することに対して違和感を覚え、「自分のことは、自分で決めたい」と父親に希望を伝えて、再び東京で就職活動を開始。既に年が明けていましたが、会員制のリゾートクラブを経営するコーユーコーポレーションという会社から内定をもらい、入社することになりました。

この時、「自分の意志で物事を決めること」の重要性を知りました。就職は、限られた期間の中で「自分が何をやりたいのか」を問われる人生の重要なイベントです。親には迷惑をかけましたが、自分の意志を貫いたことは良かったと思っています。コーユーコーポレーションでは、ひたすら営業活動をする日々。ハードワークで鍛えられました。

 リクルートには、どんな理由で入社されたのですか。

大学時代の友人の妹がリクルートで働いており、とても面白い会社だと話してくれたのです。「自由闊達(かったつ)な雰囲気があり、独立心の旺盛な人が多く、大学のサークルに近い職場の雰囲気がある。古いヒエラルキーがなく、皆が生き生きとして主体的に働き、世の中を本気で変えよう思っている若い人たちの集団がリクルートだ」と教えてくれました。非常に興味を持ち、そんな会社で働きたいと思い、当時は別会社だった中途採用部門に転職したというわけです。

またこの時、転職活動をしたことが今のビジネスを始めるきっかけになっています。人生の中で仕事の占める割合は非常に大きい。限られた時間の中で、重要な意思決定をしなければなりません。親からは反対されましたが、私は自分の意志で最初の就職先を決め、そして転職先を決めました。大変だったけれど、とても充実感がありました。そして、こういうことが誰にも、もっと自然にあっていい、と思うようになったのです。

当時は、三種の神器と言われた年功序列、終身雇用、労働組合が当たり前で、「転職する人はろくでもない人」という風潮でした。ほとんどの大手企業は新卒採用のみで、中途採用をする企業はあまりない時代。そんな時に私は転職してリクルートに入り、中途採用の営業の仕事をしていたのです。人事責任者や中小企業の経営者の方に直接会って、新卒採用だけでなく中途採用に目を向けてもらうこと(就職情報誌への出稿)を、毎日のように行っていました。ひたすら啓もう活動に近かったです。

新卒採用の重要性は分かりますが、時代の変化が速くなってくると、必要に応じて中途採用をしなければ、変化に対応できません。即戦力や適材適所の人材だけでなく、自社のカルチャーを変えるような人材も採用しないと、これからの企業の成長は難しくなる。そこに、当時の就職情報センターの存在意義を感じました。

その後、九州支社の部門責任者になり、活動エリアが九州に移りました。周囲の仲間、協力会社の方に恵まれて、九州での中途採用事業を何とか黒字化することができました。そんな中、1988年にリクルート事件が発生。事件の影響はとても大きくて、就職情報誌がみるみるうちに薄くなっていき、正直、会社がつぶれるのではないかと思いました。

松園健さん インタビュー photo

ただし、我々の仕事は世の中のためになることであり、顧客に支持される事業であるという自負は持っていました。それまで社章を付けたことはなかったのですが、「経営層が起こしてしまったことは事実として受け止め、襟を正さなくてはならない。一方で、我々を必要とし、支援してくれるお客様がたくさんいる。その方たちの期待に応えなくてはならない」と考え、私は全てのメンバーに社章を付けるよう指示しました。

我々を必要とし、支持してくれた顧客を信じていたからでしょうか、この後、神風が吹きました。バブル景気です。あらゆる業界で人材不足が起こり、企業の求人意欲が急激に高まっていきました。求人情報の掲載がどんどん増えて、リクルートにも活力が芽生えてきました。

この後、求人広告のモデルが変わっていくことになります。徐々に紙媒体からインターネットに求人・求職のスタイルが移っていきました。そして、バブル景気がはじけ、求人メディアに頼った事業形態では経営が厳しい状況になりました。そこで、人材のワンストップサービスを行うビジネスモデルに転換していきます。「人材総合サービス」というコンセプトの下、新卒採用から中途採用、教育研修、人材アセスメント、人材紹介、人材派遣など、ワンストップで企業の人材ニーズを賄えるような体制へと変えていったのです。


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