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となりの人事部人事制度掲載日:2017/06/23

Sansan株式会社:
全ての人事施策は「生産性向上」のために
~Sansanが進めるミッション・ドリブンな働き方改革とは~(後編)[前編を読む]

Sansan株式会社 人事部 部長

大間 祐太さん

肝心なのはキャリアじゃない!「何のための人事か」を明確に

Sansanのカタチ
Sansan 人事部のカタチ

「生産性向上に資するか否か」を最優先するからこそ、いったん導入した制度でも、現場の実情にそぐわないものは見直せるわけですね。

現場の状況は刻々と変わっているので、撤廃するものがあれば、逆に、もっとこういう制度があったほうが生産性向上に資するのでは、という新しい課題感も出てきます。私がいま意識しているのは、やはり「女性の働き方」ですね。当社では、仕事にコミットできる環境を整えるために、社員とその家族の育児をサポートする制度として、子どもの保育園料を補助する「MOM」(Measures of Maternity)とベビーシッターや家事代行の利用料を補助する「KISS」(Kids Sitter Support)を設けています。

この「MOM」のサポート内容を6月以降、拡充することにしました。従来は、保育園料に月額6万円以上かかる場合に毎月3万円を補助していましたが、これを全額補助にすることが一つ。もう一つは、保育園が自宅付近や通勤途中に見つからない、子どもを満員電車に乗せたくないといった場合に、送り迎えの負担を軽減できるようタクシー代を月4万円補助します。

当社ではいま、6名が育休に入っていますが、やはり少しでも早く戻ってきてほしい。彼女たちの復帰をサポートすることは、組織全体の生産性向上の点でも非常に大きいのです。一人ひとりが貴重な人材であり、各部門にとって本当に重要な戦力ですから。

個人のやる気を引き出して組織の生産性向上につなげるという意味では、人事評価のあり方も重要ですね。何か工夫されていることはありますか。

人事評価においては、個々の業務の成果だけでなく、前回お話しした当社の企業理念「Sansanのカタチ」に定められているミッションやバリューをどれだけ体現できたかが重要なポイントです。実際、社員を見ていても、そういうところにやりがいを求めているメンバーが多いのは間違いありません。

改めてうかがいますが、貴社では、なぜそこまでミッションやバリューにこだわれるのでしょうか。

やはり経営陣だけでなく、社員が自分たちでそれらを考え、決めているからでしょうね。「Sansanのカタチ」は年1回程度の頻度で見直しをかけているのですが、以前、あるフレーズをもう一つバリューに加えるか否かという議論に、全社でまる1年費やしたこともありました。当時200名ぐらいいた社員のうち約100人をアサインして、20チームぐらいに分け、1時間の議論を3回以上するように義務づけたのです。しかも、1チーム1回は飲みに行ってもよい。もちろん、飲み代は会社負担です。100人×1時間×3回――合計300時間以上の貴重な労働時間を費やしてまで関わるわけですから、全員がそれを自分事として大切にし、体現しようとするのも当然と言えます。

ありがとうございました。最後に人事改革に取り組む他社の人事担当の方々に向けて、メッセージをお願いします。

人事部は何のためにあるのか。人事制度は何のために作るのか。そこを自分たちできちんと“ピン止め”することが肝心だと思います。何となくいい会社に見られたいとか、人に優しい会社でありたいとか、福利厚生的な発想もアリだと思いますが、それだけではダメでしょう。私自身、採用コンサルに従事していたので、採用業務に関してはある程度知識や経験があるものの、労務管理などはまだ勉強中ですし、制度論など、これからさらに知らなければいけません。人事としての知識もキャリアも少ない私が、それでも人事部長の職責を任されているのは、「何のための人事か」が“ピン止め”されているからだと思います。一番大切な原理原則が明確であれば、経験が少なくても有効なアイデアは出せますし、アイデアが出れば、それを形にして前に進めることもできるはずですから。

取材は5月12日、東京・渋谷区のSansan株式会社にて

(取材は2017年5月12日、東京・渋谷区のSansan株式会社にて)


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