内定が出ても「転職成功」まではまだ半分
求職者が越えなければならないハードルとは?
上司からの慰留、家族への説明…… 退職することの難しさ
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転職のハードル―昔は上司の説得、今はネットのクチコミ情報
給与体系が比較的柔軟な外資系企業などの場合、再交渉が可能な場合もある。しかし、日系企業だと難しいことが多いし、そもそも「後出しの交渉」を嫌う会社も少なくない。
「Fさんにとって大事なのは年収ですか? それとも仕事内容、キャリアアップですか? 次の会社でプロジェクトマネジャーになれれば、年収は自然についてくるはずですよ」
ここは粘り強く説得を続けるしかない。希少価値のあるスキルや資格を持った人材なら、企業側に再交渉することもあるが、そうでもない場合は、最初に転職を考えた時の気持ちを思い出して決断してもらうのがいちばんだ。交渉すること自体はビジネスだから問題ないが、入社後の本人に「お金にうるさい人」などといった印象がついてしまうのは良いことではないだろう。最終的に、Fさんは提示された年収での入社を承諾してくれた。
しかし、うまくいかないケースももちろんある。
「なぜ転職するのかと聞かれて、上司といろいろ話しているうちに、君の意見はもっともだ、一緒に会社を良くしていこうじゃないかと言われまして」
会社への不満から転職を考えたケースには、こういうことも往々にして起こりうる。また、どこの会社に就職が決まったのかと上司に聞かれ、正直に答えてしまったために、翌日上司が転職先の企業に「断り」を入れに乗り込んでしまったという笑えない話もある。そこまでするのかという感じで、一種の都市伝説かもしれないが、人材紹介会社では「上司に転職先を聞かれても絶対に教えない」というのが転職者向けのセオリーとされているから、似たようなことが実際にあったのだろう。

そして、最近増えているのはインターネットの「クチコミサイト」の影響で不安になってしまうというパターンだ。
「実は、妻が転職先の社名を検索したところ、良くない話がたくさん書かれていたようで…。今の会社を退職しにくい雰囲気になっています」
面接で企業を訪問し、その社風に触れていれば、ネットなどの情報があまり気にならなくなる。ところが、家族が不安がるとそれが本人にも伝染してしまうことがある。そんな場合は、企業を再度訪問して、直接疑問をぶつけてもらうしかない。
「疑問を抱いたまま入社するのは良くありませんからね。アポイントを取りますので、何でも質問してみてください。もう内定しているんですから、面接に落ちるかもしれないと不安に思うことはないですよ」
内定しても転職成功までは「やっと半分」というのが、人材紹介という仕事に携わる私の実感だ。
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