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職場のモヤモヤ解決図鑑【第38回】
目標達成に向け管理職ができる
部下へのフォローとポイント[前編を読む]

職場のモヤモヤ解決図鑑

自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!

漫画(職場のモヤモヤ解決図鑑【第38回】)
山下 健悟(やました けんご)
山下 健悟(やました けんご)
関東圏のメーカー課長職45歳。20人ほど部下がいる。部下がもっと働きやすく、活躍できるチームを目指し、試行錯誤の日々。

部下の目標達成を支援しようと、山下さんは進捗確認を熱心に行っています。しかし、どうやら目標進捗の確認自体が部下のモチベーションを下げてしまっているようです。情報共有は重要ですが、方法を間違えると部下の意欲を低下させる結果になりかねません。目標達成に向けて、上司は部下とのかかわり方をどのように見直したらよいのでしょうか。

目標管理制度の企業の課題

株式会社パーソル総合研究所が行った『人事評価制度と目標管理の実態調査』によれば、目標管理を採用しているが、部下の意欲向上や成長にはつながっていない企業の現状がうかがえます。

目標管理制度を実施している企業が、最も課題として感じているのは「従業員の仕事へのモチベーションを引き出せていない」(55.8%)で、そのあとに「従業員の成長・能力開発につながっていない」(53.3%)が続きます。部下のモチベーションや成長へのマネジメントに難しさを抱えていることがわかります。

目標管理で部下のモチベーションが下がってしまうのはなぜ?

部下のモチベーションが低下する理由を把握するには、モチベーションを左右する要因について理解することが重要です。

モチベーションは、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つに分けられます。外発的動機付けとは、外部から与えられる刺激・環境・条件を指します。例えばボーナスや昇給といった金銭的な報酬は、効力が高い外発的動機付けです。一方、内発的動機付けは本人の興味・関心が行動のきっかけとなります。

「目標達成者にはインセンティブを支給する」など、目標管理と外発的動機付けの組み合わせは大きな効果を発揮しますが、一過性で終わるケースが少なくありません。継続的にモチベーションを保つには、本人の内発的動機付けを引き起こす仕組みや働きかけが求められます。

モチベーションが下がってしまう原因①
期初の目標設定に納得していない

前述したパーソル総合研究所の調査によれば、目標管理制度への不満では「定量化するのが難しい」「部署によって目標の難易度が違う」「明確化することができない業務がある」など、目標設定に関連する不満が多く挙がっています。

目標管理の期初面談で上司は「すり合わせができた」と思っても、「目標は上から与えられるもの」として部下が不満を口にしていないケースが考えられます。そうした場合には、そもそも目標管理の前提を共有する必要があります。目標管理は、本人の自主性を重んじるものです。不満を抱えたままでは「やらされ感」が強くなり、目標達成へのモチベーションが低下します。

モチベーションが下がってしまう原因②
プロセスをないがしろにしたコミュニケーションをされている

部下とのコミュニケーションでは、目標数値だけに焦点を当てるのではなく、日々の業務の様子など、目標達成への「プロセス」にも言及することが重要です。部下の考えに耳を傾け、達成への期待感を繰り返し伝える行為が、モチベーション維持や不満解消に役立ちます。日頃の行動にきちんと目を向けることで、進捗が滞っている原因や、部下の課題も見えやすくなります。期中面談よりもカジュアルに実施できる、1on1を利用するのもいいでしょう。

モチベーションが下がってしまう原因③
目標達成への道のりが遠すぎると感じている

目標に対して、本人が「達成不可能」と感じている場合も、時間が経つにつれてモチベーションに影響が出ます。

目標の達成が非現実的だと本人が感じている場合、具体的な行動に結びつきません。こうした感覚は目に見えるものではないため、部下が不満を打ち明けられる信頼関係を築いたり、部下の普段の様子を見守ったりするなど、日頃のマネジメントに気を配る必要があります。

部下に目標達成へのイメージを湧かせるには、目標の細分化が有効です(スモールステップ)。目標達成への道のり、また部下が「できない」と感じている部分を複数のフェーズに分け、さらに各段階で達成すべき行動を細かく分けていきます。スモールステップを示すことで、部下が「できた」と達成感を得られやすくなり、目標を自分が立ち向かうべき課題として考えられるようになるのです。

部下のやる気を引き出す上司のコミュニケーション方法

部下のモチベーション維持、目標達成には、上司からのコミュニケーションが不可欠です。

やる気を引き出すコミュニケーション方法①
部下の強いところを意識的に見る

期中面談や目標の振り返りで、「もっとこうしたらいいのに」と、部下のできない点を指摘していませんか。もちろん、改善のためには不足点の把握が欠かせません。しかし部下の自主性を促すためには、強みを見つけて伸ばすことも重要です。

とりわけ、部下が仕事で成果を出したときや、積極的な行動を見せたときなどは、行動を振り返り成功要因を整理するチャンス。「できていないこと」の振り返りが改善につながるように、「うまくできたこと」の要因を把握できれば、より良い成果につながり、「再現性」と「拡張性」を高められます。

やる気を引き出すコミュニケーション方法②
目の前の仕事と本人の望むキャリアを意味付ける

「目標を達成することが、いったい何になるのだろうか」と、部下が目の前の仕事に疑問を感じ、やる気を失ってしまうケースは少なくありません。こうした部下に対しては、「経験の意味付け」がモチベーションを上げるきっかけとなります。

目の前の仕事・今期の目標と、本人が理想とする成長ゴールとを、具体例を用いながら結び付けるのです。「この仕事をすることで、こういう能力がアップする。だから、いま取り組むことに意味があるんだよ」と、本人のキャリアの道筋に組み込んで説明します。

そのためには、面談を通じて、部下のキャリアプランを把握していることが求められます。部下自身が気づいていない「潜在的な強み」に気づかせることも、モチベーションを刺激するきっかけになります。

上司の関わり方を変えることで、部下のモチベーションを改善していくことができます。部下一人ひとりに合わせた支援やコミュニケーションを考えることが大切です。

【まとめ】

  • 目標設定への不満が、部下のモチベーション低下につながる
  • 目標管理では、プロセスにもフィードバックを行う
  • 数字を上げることに意味を感じられない部下へは、目の前の仕事と将来のキャリアを結び付けて助言する

目標は数値で測定するものだから、つい数で見える成果ばかりに捉われてしまっていたな……

報告されない部分への働きかけも大切なんですね

日頃の会話や行動観察を通じて、それぞれに合った目標達成支援をしていきたいな

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

職場のモヤモヤ解決図鑑【第37回】 目標設定に悩む部下にどう助言する? 目標管理の基礎知識と、成果を高める目標の立て方
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この記事ジャンル 人事考課・目標管理

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東京都 販売・小売 2022/05/03

 

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