職場のモヤモヤ解決図鑑
【第8回】在宅勤務で部下の成績が低下!? どうフォローしたらいい?[前編を読む]
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
-
志田 徹(しだ とおる)
都内メーカー勤務の35才。営業主任で夏樹の上司。頼りないが根は真面目。口癖は「う~ん…(無言)」
-
児玉 夏樹(こだま なつき)
社会人3年目の25才。志田の部下。ネットとサブカルが好き。仕事はビジネスライクにこなす。
在宅勤務で部下の児玉さんの受注成績が下降気味。タスクの期限も守れないと、上司の志田さんは悩んでいます。一方、児玉さんにも言い分があるようです。オフィスであれば「ちょっとした相談」で解決する悩みが積もってしまう在宅勤務。モヤモヤしないマネジメントのポイントを考えてみましょう。
在宅勤務で失敗しないマネジメントのヒント
オフィス勤務とは異なり、顔を合わせない在宅勤務では、曖昧さをさけた的確なコミュニケーションが求められます。「仕事の依頼」「フィードバック」「ツール活用」の3点で意識するべきポイントを紹介します。
在宅勤務では、「いつまでに」「なにをする」を明確に共有する
在宅勤務に入ってから、志田さんは児玉さんの成績だけでなく、仕事のアウトプットにもネガティブな評価をしています。このように、上司が部下の「成果」に比重を置くのも、在宅勤務という働き方の特徴の一つです。
日本企業は、これまでプロセスを重視する評価制度を構築してきました。しかし、在宅勤務では、部下がどのように企画書や資料を作成したのか、提案にむけてどれほど工夫を凝らしたのかといったプロセスを見ることが難しくなります。そのため、どうしても上司は部下のアウトプットに注目します。
このような成果重視の評価と、オンラインコミュニケーションの特徴を踏まえて、明確な指示出しを意識しましょう。部下に依頼する際は、成果物の認識をしっかりとすり合わせます。いつまでに(納期)、なにを(成果物)、どんなふうに(方法)といった目標を明らかにすることで、部下は成果に向けて動きやすくなります。達成に時間がかかる業務も、「来週までにここまで進めよう」とタスクを細かく分解し、部下が進捗を管理しやすいようにします。
短い顔合わせの時間が、在宅勤務での良い成果につながる
指示を出したあと、ただ黙って成果物を待つのは最善のアプローチではありません。どのように部下の仕事を見守るべきなのでしょうか。
「頻度は高く、時間は短く」フィードバックをしてあげることが、リモートワークでプロセスを見守る基本の姿勢。業務の進め方について過剰に関与はしませんが、頻繁にフィードバックを行うことで、部下に「きちんとプロセスも見ているよ」という安心感を与え、信頼関係を作ります。
また、こまめな面談は、ちょっとした部下の困りごとに気づく機会にもなります。気になることがあれば、なるべくその場でフィードバックをしましょう。とりわけ、良いと思う行動には積極的な反応を。上司としては、人事評価のような完璧なフィードバックを目指すのではなく、そのときの業務状況や行動の良し悪しを部下と共有し、反応することがポイントです。
在宅勤務では文字と映像ツールを組み合わせたコミュニケーションを
在宅勤務は、テキストでの文字コミュニケーションが基本です。固い文章は「ぶっきらぼう」「不機嫌」と捉えられやすいため、直接話すときの3割増しで褒める、ツールの絵文字を利用するなど、感情を文字に付け加えるとコミュニケーションがスムーズになります。
ただし、文字コミュニケーションだけに頼りすぎるのも要注意。部下が仕事の悩みを相談したくても、文章に落とし込むのが難しいこともあります。そういうときは、電話やビデオ会議で話すことが有効です。臨機応変に組み込んでいきましょう。
自律した働き方が、在宅勤務のポイントに
在宅勤務では、上司が優先順位やスケジュールなどを細かく指示することが難しくなります。そのため、部下には進捗・タスク管理を自ら考えて働く、自律の姿勢が求められます。
上司は目標や成果など、部下が目指す方向をはっきりと伝え、後押しするマネジメントを意識しましょう。
- 成果が仕事の評価により重要になるため、目標や成果物のすり合わせはしっかりと
- 頻度は高く、時間は短いフィードバックで部下のフォローをする
- テキストコミュニケーションは、絵文字などでポジティブな感情を意識的に表現
- テレビ会議や電話など、文字以外のコミュニケーションツールを組み合わせる
僕の指示出しをはっきりさせないとね
フィードバックやコミュニケーションの仕方一つで、仕事の進めやすさが変わるんですね
親しみやすさを出すために、絵文字もたくさんつかっていくね!🐶🐈🎉さっそく明日の13時📅⏲から短いミーティングを入れたよ😎😎
いや、業務連絡のときは普通でお願いします……。
あれ!?
あわせて読みたい記事
人事白書2021 テレワーク ~データで紐解く導入実態と今後の課題~
「日本の人事部 人事白書2021」で取り上げられた注目すべき人事課題「テレワーク」について、キーワード解説やオピニオンリーダーの解説を交えてご紹介します。 「働き方」「評価」の章でそれぞれ取り上げられた、実態調査の貴重な回答データもピックアップ。
人事白書2021 テレワーク ~データで紐解く導入実態と今後の課題~
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!