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トレンドキーパーソンに聞く2020/07/30

テレワークの定着には「社員の自律・自発的な働き方」が重要
――日本テレワーク協会に聞く成功のコツ

一般社団法人日本テレワーク協会 専務理事

田宮 一夫さん

リモートワーク・働き方社内コミュニケーションテレワーク在宅勤務日本テレワーク協会基礎実践

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テレワークの定着には「社員の自律・自発的な働き方」が重要 ――日本テレワーク協会に聞く成功のコツ

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言の発出により、多くの企業がテレワークを導入しました。緊急事態宣言の解除後も、感染拡大防止の観点などで全面的もしくは週に数日の頻度で在宅勤務を継続する企業が少なくありません。テレワークでも成果を出せる組織をつくるために、企業はどのような点に留意し、どんな取り組みを行うべきなのでしょうか。一般社団法人日本テレワーク協会専務理事の田宮一夫さんに話をうかがいました。

プロフィール
田宮 一夫さん
田宮 一夫さん
一般社団法人日本テレワーク協会 専務理事

たみや・かずお/1986年 富士ゼロックス株式会社入社。富士ゼロックスでは法人営業、国内販売本部での事業計画・マーケティング部門に従事、チャネルビジネス戦略や販売会社設立プロジェクト責任者を務める。その後設立した関連会社(新会社)にて執行役員管理本部長として総務・人事・経理・事業計画・業務プロセス改革を管掌する。2019年6月から現職。

テレワークとは本来、日本の構造的な課題を解決する手段

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止の観点から、テレワークを導入する企業が急増しました。テレワークに対する認識が、かつてないほどに変化した数ヵ月だったのではないでしょうか。

テレワークに対する社会の認識は、新型コロナウイルス感染症の流行によって、大きく変化しました。ただ、正直に申し上げると、私たち日本テレワーク協会が目指していたものとは、少し異なる形で普及している実感があります。

少子高齢化が進み、労働人口が減っていく日本社会において、働く機会を求めている女性や高齢者、外国籍の方々など、多様な人材が活躍できる社会をつくるため、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)の活用が進んでいます。その中で、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現する手法として注目されたのがテレワークだったわけです。

テレワークとは、「在宅勤務」と「モバイルワーク」、「サテライトオフィス勤務などサードプレイスの活用」の三つに分けることができます。しかし、新型コロナ禍において、「テレワーク=在宅勤務」という認識が強くなってしまいました。三密を避けて、できるだけ人との接触を減らす必要性があったため、テレワークというよりは「BCP(事業継続計画)」としての在宅勤務を導入した側面が強かったと考えています。

ただ、2020年5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、アフターコロナの世界に入っていくなかで、テレワークのあるべき姿を見つめ直し、在宅勤務やモバイルワーク、サテライト勤務などの三つの施策を併用して、テレワーク本来の利用を拡大していくことが大切だと考えています。まだ新型コロナウイルス感染症の感染拡大は収まっていませんから、「アフターコロナ」というよりは「ウィズコロナ」の世界が続く、というのが現状かもしれません。

テレワークの三つの分類

図:テレワークの三つの分類

在宅勤務を導入する企業が増えるなかで、テレワークのメリット・デメリットが語られる機会が増えています。しかし、それらはあくまでテレワークのごく一部である「在宅勤務に限られた話」であるということですね。

はい、「在宅勤務のデメリット=テレワークのデメリット」ではありません。在宅勤務を通じて皆さんが感じた、できないことや進めにくいことも、モバイルワークやサテライトオフィスなどの施設利用型テレワークを活用すれば解決できるかもしれません。

本来であれば、2020年の夏は東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定でした。大会期間中、交通や物流の混雑を少しでも緩和するために、国や東京都を中心にテレワークの普及を推し進める準備をしていました。

2015年から11月を「テレワーク月間」とする取り組みがスタート。2017年からは東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、一斉にテレワークを実施する施策に取り組んでいました。

1~2週間単位で地方のサテライトオフィスを活用したり、長期休暇と組み合わせて休暇先で一次的に仕事をしたり、帰省に合わせてその期間の前後をテレワークで勤務するワーケーションの制度を取り入れたりしている企業もあります。

移動の制限が生じたコロナ禍では難しくなってしまいましたが、本来のテレワークの領域はもっと広いものです。決して在宅勤務に限定したものではなく、誰もが、いつでもどこでも仕事ができる可能性を秘めた、柔軟な働き方なのです。


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