無期転換ルールの対応~企業は? 有期労働者は? 最新調査報告
アイデム人と仕事研究所 所長/社会保険労務士 岸川 宏
労働契約法第18条による、無期転換権の本格的な発生が約半年後に迫っています。
その時、有期雇用で働いていた労働者は、どのように考え行動するのか?
企業は、どのように対応しようと考えているのか?
人と仕事研究所で行なった調査をもとに確認していきたいと思います。
そもそも、無期転換権とは?
平成24年、「有期労働契約の反復更新の下で生じる、雇止めに対する不安を解消し、また、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を是正することにより、有期労働契約で働く労働者が安心して働き続けることができる社会を実現するため」を目的に労働契約法が改正されました。
その時の改正項目の一つが「有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(第18条)」でした。
これは、“有期労働契約で働いている労働者の労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期労働者に「無期労働契約に転換する権利」が生じる”というものです。
この権利は、労働者からの申し出があれば、事業主は断ることはできません(裏をかえせば、「申し込みがなければ無期労働契約に転換する必要はない」ということでもあります)。
平成25年4月1日に施行され、5年が経過する平成30年4月以降に「無期転換権」が本格的に発生し出すという訳です。
改正当時の企業の無期転換に対する考え方は?
法律が施行された頃の企業の考え方は、どのようなものだったでしょうか。
平成25年版パートタイマー白書(当所調査平成25年4月11日~22日パート・アルバイトを雇用している企業916社)で行なった調査では、「申し出があれば希望者全員を無期労働契約に転換する」28.5%、「雇入れ時から無期労働契約とする」23.0%、「わからない」19.0% という結果でした。
「申し出があれば転換する」といった積極的ではないものの、無期転換を回避する意向は強くない回答が最も多く、積極的に最初から無期転換するといった回答も多くありました。
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