人事評価
人事評価とは?
人事評価制度とは、従業員のパフォーマンスや勤務態度などを評価し、昇級や昇進、人材配置につなげる人事施策です。テレワークを導入する企業が増えている中、改めて人事評価に注目が集まっています。
1. 人事評価とは
人事評価制度とは、従業員の業績、態度、能力を一定の基準で分析・評価し、報酬や昇進・昇格などの人事査定に反映させる仕組みです(※)。人材配置や能力開発にも利用されます。コロナ禍においてテレワークの導入が加速し、既存の人事評価制度を変更すべきか検討している企業が増えています。
※近年は反映しないというトレンドも見られます。
人事評価は従業員のモチベーションに大きく影響することもあり、公平性・客観性・透明性・納得性が求められます。
■人事評価の基本
客観性:主観や評価エラーに影響されないよう、基準に沿って平等に行う
透明性:評価基準や根拠、ルールを明確に定め、オープンにする
納得性:評価に対して適切な説明・フィードバックを行い、被評価者の成長につなげる
評価をする側、される側ともに上記の四つの視点を意識することで、不満を持つことなく妥当性が高い制度となるでしょう。
人事評価の目的
なぜ人事評価を行うのでしょうか。評価結果によっては企業成長や従業員の生活・環境に影響を与えることもあるため、目的を正しく理解した上で取り組む必要があります。
従業員の成果や行動・成長を適正に評価し、処遇を決定するため
人事評価を行う一番の目的は、企業が求める成果・結果を出した従業員や、成長が見られた従業員に対して、適切な処遇を与えることです。企業と従業員は、提供した労働に対して賃金を払う関係で成り立っています。企業の期待に応じて処遇が決まれば、従業員のモチベーションは向上し、さらなる成果・成長へとつながるでしょう。
自社の成長を支える、社員育成につなげるため
企業成長を実現していくためには、企業が実現したいビジョンと、実現に向けて従業員に期待することを発信していくことが大事です。人事評価制度を企業が求める素養や行動、スタンスを踏まえて運用すれば、従業員に「自分は何を期待されているのか」「何を実現すればいいのか」を明確に示せます。結果、従業員に企業貢献への働き方が自然と身に付きます。
個人能力を見極め、適材適所を行うため
人事評価制度に基づいて定期的な振り返りを行うことで、個人の強み・弱みや得意領域などを見極められるようになります。その結果、さらに伸ばすべき部分、補うべき部分を客観的に判断でき、キャリア形成につなげることが可能です。また、その人物が能力をより発揮できる部署・業務に異動すれば、企業の業績向上にもつながるでしょう。
2. 人事評価の項目・基準はどうするか
人事評価の対象は、主に「業績」「能力」「態度」など職務に対してであり、人間性を判断するものではありません。間違えることのないように、評価項目を定める必要があります。
人事評価の項目・基準とは
業績評価
業績評価とは、一定期間内の成果・結果が項目となります。売上や利益にどれだけ貢献できたか、数値で測ることが可能です。しかし、外部的要因によって目標を達成できなかった場合、評価しづらくなるデメリットもあります。能力評価や行動評価と組み合わせ、トータルで判断する必要があります。
能力評価
従業員が業務を通じて身に付けた能力やスキル、知識に対して評価することです。例えば、「リーダーシップ」「チームワーク」「調整力」「業務推進力」といった項目があります。業績評価が明確な数値で示されるのに対して、能力評価は可視化しづらく精査が難しい側面もあります。「難易度が高い業務を任された結果、どのような能力を身に付けたか」「目標達成に向けて成長したポイントは何か」など、業務を通じて成長できた部分を評価します。
行動評価(プロセス評価・バリュー評価)
仕事の結果・成果に至るまでの過程や行動、プロセスを見るのが行動評価です。業績評価や能力評価と連動しています。例えば、成果だけ追い求めると、適切ではない行動に至るケースもあるでしょう。「目標達成に向けて何をするのか」「実現に向けどのような行動をするのか」を細かく設定することで、長期的な育成も期待できます。
情意評価
従業員が仕事をする上での取り組み姿勢や意欲が評価基準となるのが情意評価です。集団生活においての態度や心構え、どのように振る舞うのかが評価対象となります。一般的に情意評価は、「規律性」「積極性」「責任性」「協調性」という四つの項目で行われる傾向にあります。
役割評価(職務評価)
役割評価とは、職務や職位、役職内容を基に行う評価のことです。日本では古くから「等級制度」を取り入れており、会社における役割が大きい人は評価も給料も高くなるという仕組みに基づいています。
絶対評価・相対評価の違い
人事評価で検討する必要があるのが、絶対評価と相対評価のどちらを選択するのか、ということです。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自社に適した方法を選択してください。どちらかを選択するのではなく、組み合わせることも有効です。また、市場全体ではどうなのかという視点を持って、評価を決めることをおすすめします。
◼️絶対評価・相対評価の比較
絶対評価 | 相対評価 | |
特徴 | 個人が設定した目標に対して評価する方法。他者との比較は行わず、どこまで達成できたかで決定する | 集団内で比較をしながら、評価する方法。評価分布と照らし合わせながら決定する |
メリット | ・個人に合わせた目標を設定しやすく、人材育成につながる ・他者に影響されることがないため、評価に公平性がある | ・企業内の人員構成のバランスを保つことができる ・評価枠に沿って決定するため、手間や工数がかからない ・評価者によって結果に差が出ない ・集団内での競争意識が活発化する |
デメリット | ・目標設定や評価決定に時間・手間がかかる ・評価の差を付けにくくなる(中心化傾向) ・高評価の従業員が増えると、人件費が高騰する | ・合理性・納得性を欠いた評価となる可能性がある ・評価に対する説明が難しい ・所属先によって判断が異なる場合がある |
3. 人事評価の種類・手法
評価を行う方法はさまざまであり、企業の経営方針や戦略などを踏まえて、自社にはどの手法が適しているのか検討することが大切です。一つの手法を選ぶのではなく、さまざまな手法を組み合わせて運用するのが一般的です。
MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度:Management by Objectives and Self Control)は、3ヵ月や半年など一定期間において自ら目標を設定し、その達成度合いを評価する人事制度です。一般的には組織目標と連動した個人目標を設定するので、従業員自らモチベーション高く自己統制することが可能です。日本国内において主流なマネジメント手法になります。
- 【参考】
- OKRとは|日本の人事部
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、職務で成果を上げている人に見られる行動や思考の特性(コンピテンシー)を分析し、評価項目に設定する手法です。その行動を起こす「意図・目的」をモデル化し、各レベルに落とし込むことで、成果に向けた活動が明確になります。
- 【参考】
- コンピテンシーとは|日本の人事部
360度評価(多面評価)
人事評価は上司が部下に対して行うのが一般的ですが、360度評価は上司以外にも同僚や部下、顧客など立場や関係性が異なる複数の人から評価を受ける手法です。多面的・客観的に評価を受けることから、自身では認識していなかった新たな気づきを得ることができます。しかし、周囲の評価を気にしすぎる、その後の関係性が気になって本音が言えない、といったデメリットもあるので注意が必要です。
- 【参考】
- 360度評価とは|日本の人事部
リアルタイム評価
リアルタイム評価とは、半期、通期ごとではなく、高頻度で同僚や部下へフィードバックを行うことで、記憶が鮮明なうちに改善につなげる手法です。めまぐるしく変化するビジネス環境に対応する上でも有効です。
パフォーマンス・デベロップメント
人事評価のサイクルは半年や1年であることが一般的ですが、パフォーマンス・デベロップメントでは、年間を通じて頻繁に上司と部下でキャリアの方向性について話す機会を持ち、フィードバックしながら成長を促進させるマネジメントを行います。短いサイクルで評価・改善を繰り返すため、パフォーマンスが向上し成長スピードが加速することが期待できます。また、ちょっとした気づきを組織内で共有し合うことで、お互いを認め心理的安全性が担保されるという効果もあります。
ピアボーナス
ピアボーナスとは従業員同士で報酬を贈り合う仕組みで、新しい評価手法の一つとして、近年導入する企業が増えています。目標設定の項目外のちょっとした工夫や働きかけに対して、感謝の気持ちやお礼を贈ります。評価されづらい職種にもスポットライトを当てることができ、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。
- 【参考】
- ピアボーナスとは|日本の人事部
ノーレイティング
ノーレイティングとは、ランク付けをしない評価制度のことです。アクセンチュア株式会社やアドビ株式会社、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社など、主に外資系企業が導入しています。従来の人事評価では、A・B・Cなどとランクを付けることが一般的でした。しかし近年は、急激なビジネス環境の変化に対応するために、半期・通期ごとに行う評価サイクルを廃止する企業が増えています。1on1やコーチングなどこまめにフィードバックをすることで、時代に適応した人材育成を目指しています。
- 【参考】
- ノーレイティングとは|日本の人事部
4. 人事評価の運用の注意点〜気をつけるべきエラーやコメントの書き方など〜
評価制度を導入・運用する際に重要になるのが、「適切な評価なのか」「評価をきちんとフィードバックし、改善につなげることができるか」です。しかし、評価次第では被評価者のモチベーションを低下させることになるため、頭を悩ませている企業も多いでしょう。
『日本の人事部 人事白書2020』によると、評価が昇給や昇格・昇進に反映されていると回答する企業が多い一方で、「被評価者は評価に納得している」と回答した企業は5割と低い数値になっています。
◼️人事評価制度の状況
引用:人事評価が業績向上につながっているのは半分以下。業績向上と相関するのは「評価結果をオープンにする」「低評価者へのフォロー」など|日本の人事部
また、以下の調査結果より、低く評価された従業員に対するフォローや育成施策の有無と業績向上は、相関関係があると考えられます。評価する際は「被評価者が納得できるまでフィードバックを行うこと」や「評価に対する育成制度やフォロー施策を用意すること」が重要だとわかります。
◼️低評価をされた従業員に対する育成やフォローなどの施策がある
引用:人事評価が業績向上につながっているのは半分以下。業績向上と相関するのは「評価結果をオープンにする」「低評価者へのフォロー」など|日本の人事部
評価者が陥りやすいエラー・バイアスについて
評価者自身の性格や感情、被評価者に対する印象、起こった事象によって、心理的なバイアスがかかってしまうことがあります。これを評価エラーと呼びます。評価エラーをあらかじめ理解しておけば、公平に評価ができるようになるでしょう。そのため、「役職・管理職研修の中に評価するポイントと評価エラーを組み込む」「評価シートに説明書きを入れておく」などの策が必要です。
ハロー効果
ハロー効果とは、人やモノを評価する際に「特定分野におけるわかりやすい功績や目立った特徴」に影響されてしまい、その他の特徴まで歪んで評価してしまう認知バイアスのことです。目立った特徴がポジティブ・ネガティブにかかわらず、無意識に陥りやすいといわれています。ハロー効果と似ている効果に、第一印象にずっと引っ張られ続ける「第一印象効果」もあります。定性評価だけではなく定量評価も組み込む、項目ごとに評価基準を明確にする、といった対策を行うことが必要です。
- 【参考】
- ハロー効果とは|日本の人事部
対比誤差
対比誤差とは、評価者自身のスキルや経験、過去〜現在の状況と比較して、被評価者を評価してしまうことです。評価者自身が基準となるため、自身の得意領域に関しては厳しく、不得意領域は甘めに評価してしまう傾向があります。その結果、客観性が損なわれてしまう可能性が高くなります。近しいものに、性別や学歴、年齢などに基づいて判断してしまう「先入観エラー」もあります。
中心化傾向
評価結果が両極端になることを恐れるあまり、中央値に集中することを中心化傾向といいます。例えば5段階の場合、3に評価が集中しやすくなります。「被評価者に嫌われたくない」「下手な評価は付けられない」と、無難なものを選んでしまう、評価基準が曖昧なため当たり障りのないものを選択してしまう、といった心理的傾向が原因と考えられます。
- 【参考】
- 中心化傾向とは|日本の人事部
期末効果
期末効果とは、直前に起こった印象深い出来事に引っ張られ、評価に大きく影響を及ぼしてしまうことをいいます。近接誤差ともいわれます。評価期間が半年〜1年など長期にわたる場合に起こりがちな評価エラーです。これを回避するには、「中間評価などを設ける」「定期的に1on1を実施する」「日報・週報などで起こったことを記録しておく」など、全期間での事実・結果を残すことが重要です。
寛大化・厳格化傾向
評価が全体的に甘くなる・緩くなることを寛大化傾向、反対に厳しくなる傾向のことを厳格化傾向といいます。寛大化傾向は被評価者が評価者よりも優秀だと感じる場合や部下からよく思われたい場合、ひいきしている場合に陥りがちです。一方、厳格化傾向は評価者自身が自分に厳しい場合、自身もその業務に精通している場合などに起こります。
逆算化傾向
逆算化傾向とは、昇給や賞与、表彰など、最終評価から逆算して個々人の評価を決定することをいいます。社内序列がある場合に陥りやすい評価エラーです。つじつまを合わせるために、実際の評価との差が発生する可能性が高くなります。「評価を早く終わらせたい」「変な評価をして指摘されたくない」などの心理状況から起こりやすいともいわれています。
コメントの書き方のポイント~職種別に解説
人事評価を行う上で重要となるのが、人事評価シートの運用です。人事評価シートには、評価結果・ランクだけではなく、上司からのコメントやアドバイスを記載するケースが多く見られます。コメントを記載することで、その評価の受け止め方やモチベーション、それ以降の業務の取り組み方が大きく変わってきます。
営業職・販売職
営業職や販売職は、「達成率○パーセント」「アポイントメント数○件」など、成果が数値化しやすいのが特徴です。達成数値に対しての行動プロセスに注目してフィードバックするとよいでしょう。また、個人行動だけではなく、グループやチーム内での働きかけや取り組みなど、組織における役割も大切な視点です。
- 目標数値の達成度
- 達成に至るまでのプロセスや取り組み内容
- チーム内における役割・立ち位置
- 顧客からの評判・信頼度
事務職
事務職は他の職種に比べて業務がルーティン化していることが多く、具体的な成果が見えづらいものです。そのため、生産性向上に向けた工夫や業務フロー整備といった「担当業務に対する改善・提案」も評価ポイントになります。日頃からどのようなスタンスで業務に取り組んでいるのか、面談や日報を通じて把握しておくことが必要です。
- 作業に対する正確さや工夫
- 組織への貢献度
- 主体的、積極的に取り組むことができたか
- 業務改善や生産性向上などの取り組み
企画職
企画職には、分析力や企画力はもちろん、問題解決力、プロジェクト推進力などさまざまなスキル・能力が求められます。担当プロジェクトを通じてどのような力をどのように発揮していたかに注目して評価しましょう。また、プロジェクトによって事業にどう影響を与えたか、以前と比べて何が変化したのかに注目することも大切です。ただし、長期プロジェクトも多いため、事前に「いつまでに何をする」と細かく設定しておくとよいでしょう。
- 調査力や想像力、論理的思考能力
- プロジェクト内での推進力、調整力、交渉力
- プロジェクトに対する姿勢・意欲
- 事業課題に対して、どのように解決したのか(前後の成果など定量観点を含む)
技術職(エンジニア他)
技術職は常に新しい技術が登場するため、「どのような知識・スキルを習得し、どう組織貢献したのか」が評価するポイントです。数値化しづらい部分もありますが、事業の売上に関与できたのか、プロジェクト進行について見ていきます。また、他部署のニーズを捉え連携できたかも重要な指標となります。
- 事業課題に対する貢献度
- プロジェクト内での役割・立ち位置
- 新しい技術の習得、知見向上
- 担当プロジェクトの成果、貢献(売上、業務効率など定量観点を含む)
クリエイティブ職
デザイナーや編集といったクリエイティブ職は、依頼者からのニーズをどのように解決したのか、どのように事業貢献につながったのか(ROIなど)を評価します。制作本数や進捗度合い、顧客へのプレゼン数など定量的側面を見ることも重要です。また、スキル向上のための取り組みも評価ポイントになります。
- 制作物を通じた、顧客や社内部署の課題解決
- プロジェクト内での役割・立ち位置
- 新しい技術の習得、知見向上
- 担当プロジェクトの成果、貢献(売上、業務効率など定量観点を含む)
不満を持った人材へのフォロー
人事評価に不満を持ってしまうと、生産性が低下したり、組織内に悪い影響を与えたり、退職につながったりと、よい結果になりません。被評価者の不満をなくし、改善に向けて前向きに進んでもらうには、以下のポイントが重要です。
- 人事評価基準を正しく理解してもらう
- 納得できるまでフィードバックを行う
- 普段から定期的にコミュニケーションをとる
評価には納得性が重要です。納得していない被評価者には、評価を押し付けず、「なぜそのように評価したのか」を説明し、「よい評価を目指すための行動・意識」を一緒に考えることが大切です。また、人材育成や人材開発部門と連携し、人事制度を正しく理解してもらうための研修を用意することも有効でしょう。
5. テレワーク時の人事評価はどうすればいいのか?
新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワーク(リモートワーク)を導入する企業が増加しました。緊急事態宣言解除後、通常勤務に戻す企業も多い一方で、緊急時の事業継続・従業員安全確保、生産性向上などのメリットがあると判断し、ウィズコロナ(アフターコロナ)においてもテレワークを継続する企業も多いようです。しかし、テレワーク環境への変化によって「既存評価制度がマッチしない」「評価しづらくなった」という声が出ているのも事実です。
テレワーク時で何が課題になっているのか
なぜ、テレワーク環境下で評価することは難しいといわれるのでしょうか。
メンバーの勤務状況や勤務態度がわからない
これまでは顔を見ながら仕事するのが一般的でしたが、テレワークになるとチャットやメールでのコミュニケーションが中心になります。その結果、近い距離でメンバーの勤務態度を観察することが困難になりました。会話量も減少することで、報・連・相の機会も少なくなっています。
また、いつ勤務を開始しているのか、休憩はどのくらい取っているのかなど、正確な勤務時間を把握しづらくなっています。
プロセスを評価しづらく、成果重視になってしまう
物理的な距離が遠い状態で仕事をするため、顧客との電話内容やちょっとした工夫、会話など、メンバーの取り組みをじかに観察できません。そのため、成果数値だけで判断せざるを得なくなります。外部環境によって数値を達成できなかったメンバーは不利になりがちです。プロセス評価を重要視している企業にとって、評価しづらい状況となっています。
評価担当者による違いも顕在化しています。担当者にはメンバーと電話やチャットで頻繁に連絡をとる者もいれば、あくまでも結果のみで判断する者もいるなど、評価基準にばらつきが出てしまうケースも見られます。
テレワーク下における評価の注意点
テレワーク下で評価を行う際に、注意すべきポイントとは何でしょうか。
結果とプロセスの評価バランスを考える
結果だけ、プロセスだけと偏ることなく、さまざまな評価手法を用いて多面的に評価することが重要です。結果だけを見るとメンバーのモチベーションが下がるなど、さまざまな影響が出てしまうためです。組織内で成果とプロセスの比重をどうするのか、検討することが重要です。
1on1など定期的な振り返りを行う
評価者、被評価者ともにテレワーク勤務の可能性があります。そのためテレワークでも評価に影響が出ないよう、オフィスで勤務していたとき以上にコミュニケーションを取り、認識を合わせることが大切です。メールやチャットだけではなく、Web会議を用いた面談を意識的に多く設定するとよいでしょう。顔を見合わせることでメンバーの状態なども把握できます。
業務の可視化を行う
1on1や面談など、頻繁に状況把握することに加え、メンバーの業務を可視化できるようルールや環境を整えることも重要です。例えば、「スケジュールにタスクを入れて完了したものをマークする」「全員が確認できるタスク管理ツールで進捗を確認する」など負荷をかけずに、常に何をしているのかが瞬時にわかるようにしておきます。物理的な距離があっても業務理解が深まり、適切な評価を行うことができるでしょう。
在宅勤務者と通常勤務者とで評価に差がないようにする
テレワークを行っている従業員とそうでない従業員とに差が生じないようにしなければなりません。顔を合わせるほうが評価に有利となってしまうと、従業員のモチベーションにも大きく影響が出てしまいます。職種別の不公平感が生まれないよう、社内評価基準を明確にし、共有しておく必要があります。
円滑に評価するためのクラウドシステムを導入する
一般的なクラウドシステムは、インターネットを介せばどこからでもアクセスが可能です。そのためテレワーク環境での評価にも適しています。上司・部下間で業務進捗を共有したり、過去の評価データと照らし合わせたりするなど、評価をする際のサポートツールとしても有効です。
6. 人事評価の成功事例
多くの企業が試行錯誤をしながら、自社が目指すべきビジョンに適した評価制度を構築しています。
カゴメ株式会社
人事評価が正しく設計・運用されていなかったカゴメ株式会社は、まず役員陣から職務等級の導入を開始。職務等級を全体に開示することで、個々にキャリアの目標を設計できるようにしました。次に、定性評価をすべてなくして定量評価へ変更。期初に「いつまでに、何を、どのぐらいやるのか」を設定し、進捗をパーセンテージで示すことで、目標と達成度合いが明確になり、正しく評価できるようになりました。
サイボウズ株式会社
多様性を受け入れることで有名なサイボウズ株式会社では、さまざまな検証を経て、「市場価値を考慮した評価制度」を運用しています。これは、本人が申告した希望額と、転職市場のデータを加味しながら給与を決定していく方法です。評価に関しては、会社への貢献度も重要視しており、企業の行動指針に沿った活動ができているかという面も大切にしています。
7. 人事評価に関するおすすめの書籍
人事評価に取り組むにあたって参考になる書籍を紹介します。
8. 人事評価システムの導入ポイント
人事評価システムは、評価項目設計や制度運用、評価分析など、自社の評価制度運用をサポートします。さまざまな機能が搭載されていますが、活用できなければ意味がありません。運用イメージを持った上で、自社にはどのシステムが最適なのかを見極めることが大切です。
クラウドサービスやパッケージソフトなど、形態によって導入・運用コストも異なります。自社がどのように活用したいのかを考えて、最適な形態を選ぶことが大事です。また事前に使い勝手を確認しておくと、活用イメージを持つことができ、スムーズな導入が見込めます。
◼️必要な機能だけをピックアップ
さまざまな機能を搭載する人事評価システムが増える一方で、「機能ごとにオプション料金がかかる」「せっかくの機能も活用できない」といったケースも見受けられます。自社にはどの機能が必要か、不要かを精査・検討することをおすすめします。また、クラウドサービスの場合は、セキュリティー対策が万全かをしっかり検討することが重要です。
◼️導入のタイミングを検討
IT担当など社内外の関係者も多いこともあり、システム構築やデータ移管には時間を要します。また、従業員に告知・説明する期間も考えなければなりません。そのため、余裕を持った導入スケジュールを考えましょう。
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