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【ヨミ】インバスケットトレーニング イン・バスケット・トレーニング

イン・バスケット(in-basket)とは直訳すると、未決裁書類を入れる「未決箱」のこと。この未決箱に集められたさまざまな架空の案件に優先順位をつけ、迅速に処理していく訓練を「イン・バスケット・トレーニング」といいます。部長、課長など、擬似的に設定された役職者の立場になり、一定時間内に与えられた複数の課題をいかに適切に解決するか――判断や意思決定のシミュレーションを行うケーススタディの一種です。リーダーや管理者の能力開発、能力アセスメントに活用されます。
(2010/7/5掲載)

イン・バスケット・トレーニングのケーススタディ

上司から、部下から、顧客から、
持ち込まれるさまざまな案件を、迅速かつ的確に処理

イン・バスケット・トレーニングの歴史は古く、1950年代前半にアメリカ空軍の教育研究所が、教育訓練効果の測定手段として開発・実施したのが始まりといわれています。このトレーニングでは、部・課長などの役割設定を与えられた受講者が、未決箱に入っている断片的な情報や書類について、重要度、優先度などを判断しながら、次々に既決箱へ処理していきます。実施の手順はおおむね次の通りです。

(1) 受講者一人ひとりに役職が与えられます。たとえば「あなたは××株式会社□□工場の○○総務課長です。ごく最近、総務課長になったばかりで、以前は別の工場に勤務していました。いま午前9時、あなたは初めて新しい職場に出勤したところです」というように、状況が具体的に設定されます。

(2) それぞれの受講者に対して、20〜30通くらいの未決案件の書類の入った「未決箱」(イン・バスケット)が渡されます。書類には報告書や手紙、伝言、メモ、メールの類が雑多に混じり、出所も上司から、部下から、顧客からなどさまざまです。

(3) 受講者は限られた時間(30分〜1時間程度)のなかで、誰にも相談せずに、それらの案件に対する処理策を考え、その内容を所定の形式に従って文章化します。

(4) 途中、トレーニングの実施者が間違い電話や不意の来訪者などの中断用件を意図的に割り込ませて、受講者に心理的プレッシャーを与えていくこともあります。

与えられる課題の一例としては、「顧客から苦情が寄せられたので対応せよ」との上司からの指示や、「家族が急病につき休みを取りたい」という部下からの休暇願、「顧客との懇親会に誰か社員を派遣してくれ」という別部署からの依頼書などの案件がよく設定されます。問題の本質を把握し、すばやく処理する判断力・対応力を養うのがこのトレーニングの目的ですが、対処方法や優先順位のつけ方そのものは的を射ていても、それだけでは“正しい判断”といえません。関係者への配慮なしに独断で処理してしまうと、「テクニカル・スキルは○だが、ヒューマン・スキルは×」などと評価されます。

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