Sansan株式会社:
全ての人事施策は「生産性向上」のために
~Sansanが進めるミッション・ドリブンな働き方改革とは~(前編)
Sansan株式会社 人事部 部長 大間 祐太さん
“七人八脚”で走る組織だからこそ作業に集中できる環境も確保
社内制度の一覧を拝見すると、「どに~ちょ」や「イエーイ」など、ユニークな制度名のインパクトにまずひきつけられます。
Sansanの導入制度一覧(一部抜粋) | |
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H2O(Home to Office) | 会社所在地から2駅以内に引っ越すと、毎月の家賃補助を4年間受けられる |
どに~ちょ | 平日の出勤日を土日に振り返ることができる |
イエーイ | 在宅勤務を選択できる |
Know Me | 他部門のメンバーと交流を図る飲み会を行う際、一人3000円までの補助が受けられる |
強マッチ | 社員一人ひとりの「強み」を見つけ、強化するワークショップ |
コーチャ | "課題からではなく、伸びしろから考える" という視点転換のもと、人の可能性をみつめて引き出す "コーチング" |
コーチャTEAM | チームの関係の質の向上を目的に、所属する部署のメンバーと一緒に受けられるコーチング |
MOM(Measures of Maternity) | 育児休暇からの復帰にあたり、保育園料の補助を受けられる |
KISS(Kids Sitter Support) | ベビーシッターや家事代行の利用料の補助を受けられる |
中身はいたってマジメです(笑)。「どに~ちょ」というのは、平日の勤務と土日の休日を振り替えることができる制度です。これも、平日に休みがとれるという面に注目すると福利厚生を目的としているようですが、一番のねらいはそこではありません。集中して作業に取り組みたいメンバーが土日に出勤し、人の少ないオフィスで生産性高く働けることなのです。エンジニアはもちろん、非エンジニア職でも、事務作業に集中したい場面がありますよね。しかし、平日に自席で作業していると、なかなかそうもいきません。とくに当社は、社内コミュニケーションが活発で、いたるところで会話していますから。
「イエーイ」は「家」に引っ掛けたネーミングの在宅勤務制度。1日7.5時間働くことを前提に、原則、月4回まで在宅勤務が認められます。在宅なら、通勤によるタイムロスや疲労もなく、「どに~ちょ」と同様、社内コミュニケーションが生じることもありません。集中して作業に取り組みたいときには、やはり有効な制度だと思います。
在宅勤務も、土日出社も、貴社にとっては「生産性向上に資する働き方」の一つだということですか。
制度の設計目的としては、それが大きいですね。背景には、先ほど申し上げた、当社ならではの社内コミュニケーションの多さがあります。当社のサービスは、法人向け名刺管理サービスの「Sansan」と、個人向け名刺アプリ「Eight」の二つですが、「Sansan」だけでも営業やマーケティング、運用コンサル、サポートセンター、開発、名刺入力オペレーションなど多くの部門が関わっていて、どこか一つでも欠ければサービスが成り立ちません。全社員が二人三脚ならぬ七人八脚くらいの気持ちで足並みを揃え、全速力で走ってきた会社ですから、部門間の活発な連携がないとビジネスが加速しないのです。
ただ、われわれがよく“七人八脚感”と表現する、そのコミュニケーションの多さが、ときには集中して作業に取り組みたい人の生産性向上を妨げかねない。だから、「どに~ちょ」や「イエーイ」を作ったのです。その分、ミーティングに必要なメンバー全員の予定を合わせるのが難しくなるなど手間はかかりますが、それと天秤にかけても、生産性向上のメリットのほうが大きいことは間違いありません。