後向きな理由から始まる、前向きな転職理由
企業は気にするところ 転職理由はポジティブな方が良い?
- 1
- 2
企業はポジティブな転職理由が好き
「なるほど、よくわかりました。ただ、今おっしゃったようなことは、企業の面接の場では言いづらいですよね。少し言い方を考えておきましょう」
積極的に語ってくれた人とも、また少しずつ本音を明かしてくれた人とも、面談の後半では、企業との面接の際に話す「転職理由」を、一緒に考えるようにしている。企業は基本的に、ポジティブな転職理由が好きだろうと思うからだ。
とある企業の採用責任者がこんなことを話してくれたことがある。
「時々、今の会社が業績不振なのでもっと伸びている企業で働きたいという理由で志望してくる方がいます。おそらく当社が成長企業だということを評価してくれているのでしょう。しかし、うちが本当に欲しいのは、業績が悪くなったら転職してしまう社員ではなく、苦しい時に残って一緒に頑張ってくれるような社員なんです。ぜひ、そういうマインドの方を紹介してください」
これは極端なケースだろうが、多かれ少なかれ面接時に企業側は、これと似た価値観で候補者の転職理由を聞いているのではないだろうか。おそらく、「仕事にやりがいがない」といえば「やりがいは自分で見出すものなのに、不満ばかり言っている」と思われるだろうし、「残業が多すぎる」といえば「自分の都合や権利ばかり主張するタイプなのでは?」と疑われかねない。
企業側が知りたいのは、マイナスをプラスに変換する思考ができるかどうか、ということなのだ。仕事の現場においても、逆境を良い方向に考え直せるかどうかによって、結果が大きく違ってくることもあるはずだ。
そこで人材紹介会社では、ネガティブな転職理由をポジティブに転換しましょうとアドバイスしている。「残業が多い」という場合は「仕事の勉強をする時間がとれない」、「会社業績が悪い」という時には「成長企業の仕事のやり方を学びたい」といった具合である。もちろん、ケース・バイ・ケースでいちばん企業ウケのよさそうなものを考えるようにしている。
ところで、ごくまれに転職相談で「本音でお話しください」といっても、なかなか本音を言ってくれない人もいる。キャリアアドバイザーとしては、「まだこの人は心を開いてくれないのか」と思って、なんとか本音を聞き出そうとする。相手はちょっと迷惑顔だ。あまり深追いしてしつこいと思われては、元も子もない。しかし、やはり本心は聞いておきたい。企業での面接とはまた違う、紹介会社の「面談」の悩ましい部分かもしれない。
- 1
- 2