職場のモヤモヤ解決図鑑
【第3回】新卒採用の面接官を任されたけれど、若手には荷が重い……
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
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志田 徹(しだ とおる)
都内メーカー勤務の35才。営業主任で夏樹の上司。頼りないが根は真面目。口癖は「う~ん…(無言)」
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児玉 夏樹(こだま なつき)
社会人3年目の25才。志田の部下。ネットとサブカルが好き。仕事はビジネスライクにこなす。
いきなり新卒採用の面接官を依頼されてしまった児玉さん。志田さんは「人事も一緒だし大丈夫」と言っていますが、児玉さんは不安をぬぐい切れないようです。突然履歴書を渡されても、どんな立場で読んだらいいか迷ってしまいますよね。児玉さんが安心して面接当日を迎えられるよう、面接官に求められる役割を考えてみましょう。
面接の目的って?
面接とは、企業が求める人物を探す場であるだけではなく、企業の魅力を応募者に伝える場でもあります。応募者への質問を繰り返しながらマッチングを図るのが、面接の主な目的です。
そのなかで面接官に求められるのは、「見極め」と「口説き」です。
見極めで自社が求めている人物かを探る
見極めとは、目の前の応募者が「欲しい人材像」にマッチしているかどうかを判断することです。質問に対する応募者の回答を掘り下げ、人柄や適性を探ります。「一般常識はあるか」といった基本的な事柄から、企業文化に沿った「挑戦心」「自立志向」といった適性の確認、各部署に求められる「専攻分野での取り組み」「営業向きの行動力」などを判断します。
口説きは志望度を上げるために不可欠
口説きは、応募者の不安を取り除き、自社への志望度を高めさせる行為です。このとき気をつけたいのが、一方的に会社の魅力を伝えるだけでは不十分であること。応募者が企業・仕事に求めることに合わせた、適切な情報を伝える必要があります。
見極めと口説き、どちらも面接官の大切な役割ですが、見極めは面接の初期段階で、口説きは最終段階に近づくほど重要性が増す傾向にあります。また、見極めの役割は面接に参加するすべての社員・人事に求められるのに対して、高度なコミュニケーション術を必要とする口説きは、多くの場合、部門の上長や人事部長がその役割を担います。
人事は私に何を求めているの?~自分の役割を確認しよう
面接官を依頼されたら、まずは人事や上司など依頼してきた人に「なにを期待しているか」を聞いてみましょう。若手社員が新卒採用の面接に加わる場合、児玉さんのように、応募者に近い立場からの見極めを求められるケースが多いようです。
場合によっては、「若手社員の仕事内容を伝えてほしい」「仕事のエピソードを話してほしい」とサポートの役割で呼ばれることもあります。その場合、事前に「今の仕事内容」「仕事のやりがい」「苦労したこと」などを整理しておくと面接の質疑応答がスムーズに進みます。
求める人物像を確認する
もう一つ大切なことは、あらかじめ人事に「会社の求める人物像」を確認することです。自発的に行動できる、協調性が高いなど、応募者に求める要素は部署や職種によっても異なります。
細かく要件を定めていることもあれば、「一緒に働きたいと感じる応募者を教えて」と言われることもあるでしょう。応募者をこの先一緒に働く可能性のある仲間として見るのも、採用の「見極め」の一つの方法です。
いざ面接!何をしたらいいんだろう?
基本的な面接の流れ
まずは基本的な面接の流れを確認してみましょう。
- アイスブレイク
- 応募者の自己PR
- 自己PRや履歴書に基づいた企業からの質問
- 応募者の回答を基に、求める人物像に合わせて話を深堀り
- 応募者から企業への質問
- 企業から応募者へ、合否連絡のタイミングや選考の流れを連絡
学生の緊張をほぐすためにも、面接冒頭で流れを説明するといいでしょう。また、面接官が複数人いる場合は、誰が進行役となるのかを事前に確認しておきます。
面接では聴く姿勢を大切に
面接の際は、応募者の会話を遮らず、聴く姿勢を持ちましょう。相手が委縮しない雰囲気をつくることが大切です。また、答えにくい質問を受けてもごまかさず、正直に事実を伝えることが応募者からの信頼感を得ることにつながります。
若手といっても、応募者からすれば企業の立派な一員です。落ち着いて会話に向き合いましょう。
- 面接の本質は、応募者と企業をマッチングさせる「見極め」と「口説き」
- 面接の前に、自分の役割、そして自社の求める人物像を確認しよう
- 面接本番では、応募者の緊張を和らげるために冒頭で流れを説明しよう
- 面接は、聴く姿勢をもって真摯に対応しよう
後編では、応募者の人柄や適性を引き出す上手な質問についてご紹介します。
あわせて読みたい記事
参考書籍
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「最高の人材」が入社する 採用の絶対ルール
著者 : 釘崎清秀+伊達洋駆
出版社 : ナツメ社
編集部コメント : 初めて採用に関わる人でも、面接の本質をわかりやすく理解できる入門書。「面接でありがちな印象の悪い質問」「見直すべき面接シート例」なども収録しています。
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「聴く」技術が人間関係を決める
著者 : 宮城まり子
出版社 : 永岡書店
編集部コメント : 「聴く」を易しく教えてくれます。あいづちの打ち方や、相手の言葉を引き出す質問の仕方も掲載。
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採用学
著者 : 服部泰宏
出版社 : 新潮社
編集部コメント : 採用を学びたい人の定番!面接をきっかけに関心を持った方は、ぜひ手に取ってみてください。
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ワーク・ルールズ!
著者 : ラズロ・ボック、訳 : 鬼澤忍、矢羽野薫
出版社: 東洋経済新報社
編集部コメント : 最後は採用に限らない幅広い内容の1冊。世界最先端、Googleの人事について紹介しています。
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