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東証第1部上場企業の2009年夏季賞与・一時金の妥結水準調査

労務行政研究所では、東証第1部上場企業を対象に、主に今年の賃上げと同時期に交渉・決定している2009年夏季賞与・一時金の妥結水準を調査・集計しました。本記事では、全産業の平均、産業別の状況、平均支給月数などについて取り上げています。

※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。

全体の傾向 東証1部上場140社の平均支給額は64万8149円、対前年同期比14.4%減

調査結果によると、今年の東証第1部上場企業の夏季賞与・一時金は、全産業平均(140社)で64万8149円、同一企業でみた昨夏の妥結実績(75万7076円)と比較すると、金額で10万8927円、対前年同期比で14.4%の減少となりました[図表1]

伸び率の推移をみると([図表2]左)、02年(対前年同期比6.1%減)以降、7年ぶりに対前年同期比マイナスに転じ、マイナス幅は調査を開始した1970年以降最大となっています(すなわち、現在60歳までの現役世代がこれまで経験したことのない、未曾有の下落率であるといえる)。

今春季交渉では、消費者物価の高まりを背景に、連合は8年ぶりに統一的なベースアップ要求を掲げました。しかし、いわゆる“リーマン・ショック”に端を発する景気の冷え込みの中、要求時点からの数カ月間で企業業績はさらに急激な悪化をみせ、労使の見解は終始平行線をたどりました。結果、厳しい収益環境下で企業の賃金抑制姿勢は変わることがなく、一時金についても、輸出依存度が高い製造業大手を中心に大幅な減少につながりました。

図表1 2009年夏季賞与・一時金の妥結状況(東証第1部上場企業140社)
図表1 2009年夏季賞与・一時金の妥結状況(東証第1部上場企業140社)

[注]1.2009年夏季妥結の集計社数が1社の業種(倉庫・運輸関連、ガス、サービス)は、掲載を省略した。2.集計は、「2009年夏季」「2008年夏季」「2008年年末」の3者の金額が把握できた企業についてのみ実施。ただし、年間協定で、妥結額が年間総額しかつかめない企業については、前年実績を基に夏季・年末の配分を試算し、集計に含めた。3.平均年齢は、当研究所で行った2009年賃上げ妥結状況取材時に把握した各社データを流用・集計したものである。また、△はマイナスを表す([図表2]も同じ)。

図表2 労務行政研究所集計による一時金妥結結果の推移(東証第1部上場企業、単純平均)
図表2 労務行政研究所集計による一時金妥結結果の推移(東証第1部上場企業、単純平均)

[注]1.上記では、春季交渉時決定分の夏季一時金集計、および春季~夏季交渉時に年間協定で一括決定している年末一時金集計の推移を掲載した。2. )内は対前年同期上昇率であり、各年の集計対象企業のうち、前年同期と比較できる同一企業について伸び率を算出したものであるため、当年・前年の各金額集計(妥結額)を比較しても伸び率は一致しない。3.金額集計・月数集計は、それぞれ集計企業(社数)が異なるため、対応しない。4.<参考>の賃上げ率は、日本経団連による大手企業の最終集計(加重平均。なお、2009年は 月21日時点の中間集計)。

産業別の動向 対前年同期比は、製造業で18.7%減、非製造業で2.1%減

産業別にみると[図表1]、製造業の支給水準は62万805円、同一企業でみた対前年同期比は18.7%減となりました。一方、非製造業は、集計社数は多くないものの金額で72万4270円、対前年同期比2.1%減と、製造業に比べマイナス幅は小幅にとどまりました。

支給月数からみた傾向 平均月数は、前年同期から0.43カ月減の2.03カ月

支給月数の傾向をみると[図表3]、平均では2.03カ月となり、同一企業でみた場合、前年同期(2.46カ月)を0.43カ月下回りました。なお、支給月数の分布では、「2.0カ月台」が13.0%と最も多く、「1.2~1.4カ月台」が11.4%で続いています。

図表3 支給月数の分布状況(東証第1部上場企業123社、08・09年)
図表3 支給月数の分布状況(東証第1部上場企業123社、08・09年)
注) * ここでは、労務行政研究所が2009年3月18日から4月14日にかけて、東証第1部上場企業(2009年4月14日現在1720社)のうち、原則として労組が主要な単産に加盟している企業(持ち株会社が東証第1部上場企業の場合、その主要子会社は集計対象としている)を対象として(このうち、今年の賃上げと同時期に夏季賞与・一時金を決定している企業140社について集計)行った調査をもとに、『日本の人事部』編集部が一部をピックアップし記事を作成しました。妥結額の集計対象範囲は、原則として組合員1人当たり平均(一部年齢ポイント、標準労働者、全従業員平均による妥結額についても集計に含む)。集計に当たっては、各社の1人当たり平均を単純に足し上げて集計社数で除しました(単純平均)。調査は「東証第1部上場企業の2009年夏季賞与・一時金の妥結水準調査」と題されたもので、詳細は『労政時報 第3749号』(2009年5月8日発行)に掲載されています。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください→ 「WEB労政時報」体験版
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【用語解説 人事辞典】
賃上げ
賞与(ボーナス)
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