テレワーク、オンライン面接の導入増!
機械化による業務削減、残業時間が課題
ディップ株式会社
【調査概要】
調査主体:ディップ株式会社
調査手法:インターネット調査(楽天インサイト利用)
調査実施時期:2020年11月13日(金)~2020年11月18日(水)
対象者条件:会社経営者・役員もしくは人事担当者など採用に携わる会社員
有効回収数:1,000サンプル(正社員採用705サンプル、アルバイト・パート採用710サンプル)
本レポートについて
これまでの調査により、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)(以下、新型コロナウイルス)の流行に伴う社会の変化のなかで、求職者の仕事探しにも影響が出ていることがわかりました。では、企業側は採用活動においてどのような影響を感じているのでしょうか。
本レポートでは、「正社員(中途採用)」「アルバイト・パート」の採用において、会社経営者・役員もしくは人事担当者など採用に携わる人への調査結果を分析し、「採用活動への影響と取り組みについて」と「採用活動における課題について」の2編でレポートいたします。
まずは、「採用活動への影響」と、このような環境下においての「採用活動に関わる取り組み」について明らかにしていきます。
新型コロナウイルスによる採用活動への影響
まずは、採用活動への影響をどの程度感じているのかを見ていきます。
採用活動への影響
正社員の採用、アルバイト・パートの採用、いずれも約6割の企業が「影響があった」と回答しています。
採用職種別に見ると、全体と比較し、「販売」「フード・飲食」「サービス・イベント」「営業」の採用への影響は大きく、「物流・配送・ドライバー」「医療・福祉」は影響が小さいことがわかります。
外出自粛による巣ごもり需要が高まっているデリバリーや配送業、逼迫している医療・福祉関連の採用は変わらず行われていたことがうかがえます。
応募者数と従業員の離職希望者数に変化はあったのでしょうか。
応募者数と従業員の離職希望者数の変化
正社員の採用、アルバイト・パートの採用、いずれも“応募者数”と“従業員の離職希望者数”において「変わらない」という回答が約5~6割と半数を占めています。
しかし、“応募者数”が「増えた」約3割、“従業員の離職希望者数”が「増えた」2割弱、“応募者数” “従業員の離職希望者数”共に「減った」という回答は2割前後と、変化を感じている企業も一定数います。特に‟応募者数”の増加に対する変化を感じている企業が多いようです。
採用職種別に見ると、「販売」「フード・飲食」「サービス・イベント」「営業」については、“応募者数”と‟従業員の離職希望者数”共に「増えた」という回答が全体よりも高い割合になっています。さらに、「フード・飲食」については、共に「減った」という回答の割合も高く、二極化しているようです。
また、「医療・福祉」については、“応募者数”が「減った」という回答が多く、「オフィス(事務・企画など)」については、‟応募者数”が「増えた」、‟従業員の離職希望者数”が「減った」という回答が多くなり、職種によって一定の傾向が見られます。
【Pick Up】2020年の採用人数
採用への影響が明らかになりました。それでは、採用人数に変化はあるのでしょうか。
正社員(新卒採用、中途採用)、アルバイト・パートは6割強、契約社員、派遣社員は半数以上が「昨年よりも増やして採用」、もしくは「昨年と同等程度採用」していると回答しています。
こちらの調査は、あくまでも2020年に採用活動を行った企業を対象としています。2019年は採用活動をしていても、2020年は採用活動をしなかった企業は含まれませんので、参考としてご覧ください。
採用活動に関わる取り組み
ここからは、「採用活動に関わる取り組み」を明らかにしていきます。まずは、2019年以前からの取り組みについて見ていきます。
2019年以前からの取り組み
「有給休暇の消化促進」については4割弱が取り組んでいた一方、「オンライン面接の導入」「面接のスキルアップ研修の強化」「紙の履歴書・職務経歴書提出の廃止」「テレワーク勤務の導入」「クラブ活動・同好会など交流会の補助強化」については、1割未満に留まることがわかりました。
次に、2020年の計画と実施状況を見ていきます。
2020年の計画と実施状況
計画に対して「テレワーク勤務の導入」は計画比+5.9ポイント、「オンライン面接の導入」は計画比+3.5ポイントと、予定していた以上に取り組みが進みました。前出の2019年以前からの取り組みでは1割未満に留まっていたのが、新型コロナウイルス流行の影響により、急速に進展したことがうかがえます。
一方、「機械化・アウトソーシングによる業務削減」をはじめ、「採用ハードル(求めるスキル・資格)の緩和」「残業時間の抑制」「給与、手当の引き上げ」など、予定よりも進まず課題が残ったものも多数ありました。
最後に、2021年の計画を見ていきます。
2021年の計画
2020年に予定以上に進んだ「テレワーク勤務の導入」「オンライン面接の導入」ですが、2019年以前から取り組んでいた企業も含めると「テレワーク勤務の導入」は24.7%、「オンライン面接の導入」は15.7%実施されています。従業員数が1,000人以上の企業では39.0%が「テレワーク勤務の導入」、29.0%が「オンライン面接の導入」を実施しており、+15ポイントほど進んでいます。
2021年もさらに導入が進むと見込まれます。
【Pick Up】 働き方改革に対する取り組み状況
2019年から「働き方改革関連法」が順次施行され、各社で取り組みが進んでいますが、実際にどの程度対応が完了しているのでしょうか。
既に施行され、罰則が設けられている「時間外労働の上限規制の導入」「年次有給休暇取得の一部義務化」などは、「10割完了している(完全に対応できている)」という回答が比較的多い一方、「フレックスタイム制の見直し」「高度プロフェッショナル制度の創設」など、「0割完了している(全く対応できていない)」の回答が多い項目も見受けられます。
▽企業規模の定義
業種:資本金の額または出資の総額または常時使用する労働者数の組み合わせによる(以下にあてはまる場合中小企業)
小売業:5,000万円以下 または 50人以下
サービス業:5,000万円以下 または 100人以下
卸売業:1億円以下 または 100人以下
その他(製造業、建設業、運輸業、その他):3億円以下 または 300人以下
さいごに
企業側の採用活動において、新型コロナウイルス流行による影響がかなり出ていることがわかりました。
本レポートで明らかになったこと
採用活動への影響
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採用活動に「影響があり」 約6割
「販売」「フード・飲食」「サービス・イベント」「営業」の採用への影響は大きく、「物流・配送・ドライバー」「医療・福祉」は影響が小さい -
“応募者数”と‟従業員の離職希望者数”は「変わらない」 が半数
“応募者数”と‟従業員の離職希望者数”共に「増えた」「減った」という回答は2~3割
「販売」「フード・飲食」「サービス・イベント」「営業」は、“応募者数” “従業員の離職希望者数”共に「増えた」という回答が全体よりも多く、「フード・飲食」については、「減った」という回答も多い
「医療・福祉」は、“応募者数”が「減った」という回答が多く、「オフィス(事務・企画など)」については、“応募者数”が「増えた」、‟従業員の離職希望者数”が「減った」という回答が多い -
採用人数は「昨年よりも増やして採用」、もしくは「昨年と同等程度採用」が半数以上
正社員(新卒採用、中途採用)、アルバイト・パートは6割強、契約社員、派遣社員は6割弱
採用活動に関わる取り組み
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「テレワーク勤務の導入」「オンライン面接の導入」は予定以上に進む
2019年以前からの取り組みでは、1割未満に留まっていた「テレワーク勤務の導入」「オンライン面接の導入」が新型コロナウイルス流行の影響により、急速に進展
「機械化・アウトソーシングによる業務削減」をはじめ、「採用ハードル(求めるスキル・資格)の緩和」「残業時間の抑制」「給与、手当の引き上げ」など、予定よりも進まず課題が残ったものも多数
執筆者:ディップ総合研究所 ディップレポート編集室 川上由加里
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」の企業理念のもと、“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、『労働力の総合商社』として、人材サービス事業とAI・RPA 事業を提供しています。
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