【本誌特別調査】改正労働契約法に伴う無期転換への対応アンケート(労務行政研究所)
無期転換ルールはフルタイム型で63.2%、短時間勤務型で59.1%が策定済み
2 無期転換ルールの有無と対応状況
無期転換ルールを策定予定または検討中の企業がまだ約3割[図表5~6]
無期転換ルール策定済みはフルタイム型で63.2%、短時間勤務型で59.1%
有期契約労働者の無期転換ルールの整備状況を尋ねたところ、「2013年の労働契約法改正を契機として、2018年4月までに無期転換ルールを策定」という回答がフルタイム型で50.7%、短時間勤務型で48.3%であった[図表5]。労働契約法改正前から “無期転換ルール” を定めていた企業と合計すると、フルタイム型で63.2%、短時間勤務型で59.1%がルールを策定済みであることが分かる。なお、この設問における “無期転換ルール” とは、正社員等期間の定めのない雇用への登用を含む広義の定義としている。
一方、「2018年4月以降に無期転換ルールを策定予定」あるいは「検討中」という企業も、フルタイム型でそれぞれ12.1%、16.9%、短時間勤務型で12.1%、18.1%あり、無期転換申込権発生まで半年を切った2017年10月の段階でも、まだ約3割の企業がルールを定めていないことが判明した。後掲の[事例4]無期転換ルールに関する制度設計や運用上の課題などで示された、各企業の人事担当者の個別意見からも読み取れるとおり、現時点でも対応に苦慮している様子がうかがえる。
規模別に見ると、300人未満では「2013年の労働契約法改正を契機として、2018年4月までに無期転換ルールを策定」の割合が33%台と他の規模に比べて低く、「無期転換ルールの導入予定はない」がフルタイム型で11.7%、短時間勤務型で18.5%と高くなっている点が特徴的である。企業規模が小さくなればなるほど、無期契約労働者が増えることによる中長期的な人件費の増加などのリスクに対し、慎重にならざるを得ない背景も見て取れる。
そして、無期転換ルールを策定した企業に対して、無期転換申込権の発生する有期契約労働者へのルール周知・説明状況を尋ねたのが、[図表6]である。
「すでに周知・説明した」はフルタイム型で25.0%、短時間勤務型で20.2%。「これから周知・説明する予定」がフルタイム型59.6%、短時間勤務型63.7%となっており、調査を実施した2017年10月時点では周知がまだ途上であることが分かる。「周知・説明する予定はない」はフルタイム型9.0%、短時間勤務型8.1%と少数で、トラブル防止のために周知に取り組む意向がうかがえる。
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