改正労働安全衛生法12月1日施行
ストレスチェック制度義務化に伴う企業の対応状況
すべて自社独自で行う企業は5%未満、課題は「どう職場改善につなげるか」(労務行政研究所編集部)
4 義務化以前のストレスチェック運用状況
改正安衛法による義務化以前からストレスチェックを運用していたか[図表21〜22]
義務化以前からストレスチェック等を運用していた企業は27%
改正安衛法により、平成27年12月から50人以上の事業場におけるストレスチェック実施が義務化されたが、平成9年に旧労働省の研究班が作成した「職業性ストレス簡易調査票」等を参照して、定期的に従業員のストレスチェックを運用してきた企業もある。
改正安衛法による義務化以前からストレスチェック(またはこれに類似したメンタルヘルスチェックを目的とするアセスメントを含む)を運用していたかを聞いたところ、26.5%とほぼ4社に1社の割合で運用していた。
運用開始時期については、平成18年以降に開始した割合が増え、平成24年に開始したという回答が16.4%と最も多かった。
平成18年は、その年の4月1日から施行された改正安衛法を受けて、過重労働・メンタルヘルス対策として、事業者が一定以上の時間外労働等を行った労働者を対象とした医師による面接指導等を行うこととしたことを受けた対応と考えられる。また、平成24年は、前年12月にメンタルヘルス対策の充実・強化を盛り込んだ改正安衛法(前回法案)が国会に提出されたことを受けて対応を進めた企業があったものと思われる。
改正安衛法による義務化を受け、どのような点で制度内容の見直しを行う予定か[図表23]
制度内容の見直しは行わないが20%で最多
以前からストレスチェックを運用していた場合、改正安衛法による義務化を受け、どのような点で制度内容の見直しを行う予定かを聞いたところ、「制度内容の見直しは行わない」が20.0%と最も多かった。次いで、「これまで人事部門がストレスチェックを実施していたが、実施者を変更する」16.7%、「ストレスチェックの運用体制の見直しを行う」15.0%など法律や指針、マニュアルに沿って運用の見直しを行っている。
5 ストレスチェック制度に対する会社方針と課題
ストレスチェック制度義務化に向けた会社としての方針[図表24]
実施を機に、メンタルヘルス対策や管理職によるラインケアの改善につなげたいが40%
ストレスチェック制度義務化に向けた会社としての方針を聞いたところ、「ストレスチェック実施を機に、自社のメンタルヘルス対策や管理職によるラインケアの改善につなげたい」が40.3%と最も多く、「法律に抵触しないよう、最低限の対応は行いたい」32.7%を上回った。 今回のストレスチェック制度義務化を契機として、メンタルヘルス対策の改善に活かしていこうという機運が見られ、特に規模が大きい企業ほど、その傾向が強いといえる。
ストレスチェック制度義務化に向け、現時点の課題[図表25、事例3]
結果をどう職場環境改善につなげればよいか分からないが38%
ストレスチェック制度義務化に向け、現時点において課題になっていること(複数回答)としては、「ストレスチェックの結果をどのように職場環境改善につなげればよいのか分からない」が37.6%と最も多く、以下「産業医や保健スタッフが、集団分析や職場環境改善といったテーマで活動した経験がない、少ない」「小規模事業所や海外事業所があるため、ストレスチェック実施とその後の面接指導等で社員間の差が出てしまう」がいずれも33.2%で続いている。
一方、「どの程度の運用が『法律を満たす最低限の対応』か分からない」といった回答について、規模が小さくなるほど課題に挙げる割合が多かった。
なお、「その他」の課題の内容は[事例3](省略)のとおりである。
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