改正労働安全衛生法12月1日施行
ストレスチェック制度義務化に伴う企業の対応状況
すべて自社独自で行う企業は5%未満、課題は「どう職場改善につなげるか」(労務行政研究所編集部)
2 ストレスチェック実施に向けた各事項に関する検討状況
ストレスチェック実施に向けた各段階について、検討が完了している・方針が定まっている事項[図表11〜13]
ストレスチェック制度に関しての法定要件に関する情報収集82%、外部機関等から情報を収集し、活用を検討63%などで検討完了・方針策定
ストレスチェック実施に向け、会社(事業者)は社員や産業保健スタッフ等の関係者と協力・連携しながら、衛生委員会または安全衛生委員会の場を活用し、[図表11〜12]で挙げた(1)〜(10)の各事項について検討を行う必要がある。
ストレスチェック実施に向け、調査を実施した8月時点で検討が完了している・方針が定まっている事項を聞いたところ(複数回答)、「(1)ストレスチェック制度に関しての法定要件に関する情報収集」81.9%や「(3)外部機関等から情報を収集し、活用を検討」63.3%などで検討が完了している・方針が定まっている割合が多い。その一方で、「(10)ストレスチェックの受検率を高めるためにどのように施策を講じるか」10.2%、「(7)社内への制度の周知方法」24.8%、「(5)ストレスチェックの実施体制(制度担当者、実施者、実施事務従事者)の決定」29.6%といった項目では依然検討が進んでおらず、方針が定まっていない結果となった。
なお、規模別に見ると、検討が完了している・方針が定まっている事項の分布自体には大きな差はないものの、全体的に大企業ほど各項目の回答割合が高く、検討が進んでいる様子がうかがえる。
ストレスチェックの実施予定時期[図表14〜15]
定期健康診断とは異なる時期に実施59%、定期健康診断と同じタイミングで実施39%
会社(事業者)は、1年以内ごとに1回、ストレスチェックを定期に実施しなければならない(マニュアル27ページ)。また、ストレスチェックと労働安全衛生法(以下、安衛法)66条1項で規定される健康診断の自覚症状および他覚症状の有無の検査(問診)を同時に実施することができる(ただし、ストレスチェックの調査票と健康診断の問診票を区別する等、労働者に受診・受検義務の有無や結果の取り扱いがそれぞれ異なることを認識できるよう必要な措置を講じなければならない)。
ここではストレスチェックの実施時期をどのように予定しているかを聞いたところ、「定期健康診断とは異なる時期に実施」が59.1%で、「定期健康診断と同じタイミングで実施」の38.7%を20.4ポイント上回った。
なお、従業員数50人以上の事業場は、平成27年12月の導入義務化以降は、平成28年11月末日までの1年間で最低1回ストレスチェックを実施しなければならない。そこで、平成27年12月以降、初回のストレスチェックの実施予定時期がいつかを回答してもらったところ、平成28年4月という回答が18.4%で最も多かった。以下、平成28年6月16.6%、平成28年7月11.7%と続く。
ストレスチェックの実施方式[図表16〜17]
対象者全員に対し、パソコン上で回答できる形で実施が43%、 パソコン上での回答を基本としつつも、一部質問紙方式・面談方式で実施が30%
ストレスチェック実施に当たっては、質問紙またはICT(情報通信技術)を用いて調査票を労働者に配布し、記入させる必要がある(マニュアル27ページ)。
実施方式については、「対象者全員に対し、パソコン上で回答できる形で実施」が43.0%で最も多く、次いで「パソコン上での回答を基本としつつも、一部質問紙方式・面談方式で実施」が30.4%となった。パソコン上での回答と質問紙方式等を併用する場合については、「基本は紙方式とするが、営業・海外赴任者はパソコン方式で実施」「営業・間接系はPC、工場系は紙と併用する」などの区分が挙げられた。産業別に見ると、「対象者全員に対し、パソコン上で回答できる形で実施」が製造業は20.0%で、非製造業が61.4%と非製造業のほうが多く、「パソコン上での回答を基本としつつも、一部質問紙方式・面談方式で実施」では、製造業は42.9%で、非製造業が20.5%と製造業のほうが多い。
なお、前掲[図表1〜2]のストレスチェック制度の実施予定別に実施方法を見たのが[図表17]である。「すべてを外部委託する予定」の企業では「パソコン上での回答を基本としつつも、一部質問紙方式・面談方式で実施」する割合が14.3%と低くなっている。
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