出張におけるグリーン車と航空機の利用基準を調査
~90年代前半と比べ、グレードダウンが顕著~
一般財団法人 労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、「国内・海外出張旅費に関する実態調査」を実施。本記事では、その最新調査結果の中から、国内出張におけるグリーン車の利用と海外出張における航空機の利用等級基準、最近3年間における国内出張費用の削減状況の調査結果を紹介します。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
◎調査名:「国内・海外出張旅費に関する実態調査」
1. 調査時期:2014年1月8日~3月5日
2. 調査対象:全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3417社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)298社の合計3715社。ただし、持株会社の場合は、主要子会社を対象としたところもある。
3. 集計対象:前記調査対象のうち、回答のあった226社。
出張におけるグリーン車と航空機の利用基準
国内出張におけるグリーン車の利用
従業員では「認めない」が8~9割台。役員でも「認める」企業は顕著に減少
在来線特急および新幹線のグリーン車利用を、上級者や顧客随行、座席の確保が困難、病気、やむを得ない場合などの特別なケースを除き、通常の昼間の出張において認めているか尋ねました。
役員では、在来線特急、新幹線ともグリーン車を「認める」割合はほぼ同じで、おおむね社長70%、専務57~59%、常務55~56%、取締役49~51%となっている。取締役の新幹線以外は、「認める」が半数を超えています。
バブル経済が崩壊したものの、まだ出張費用の削減が本格化していなかった92年調査と比較すると、「認める」が減少し、その分「認めない」が増えて いることが顕著です。例えば社長の場合、92年には「認める」が在来線特急で91.0%、新幹線で87.5%と9割前後を占めていましたが、今回14年調 査では、それぞれ7割程度にまで減っています。その分、「認めない」は在来線特急で4.8%→25.3%、新幹線で6.5%→25.5%と大きく増加して います。
従業員では、いずれも「認めない」が8~9割台で最も多くなっています。92年調査と比べると、役員と同様、「認める」が減少し、「認めない」の増 加が顕著です。例えば部長級では、「認めない」は在来線特急で43.8%→87.2%、新幹線で64.6%→91.8%と増加しています。
90年代後半から2000年代にかけ、厳しい経済・経営環境の中、出張費用の削減に取り組む企業が多く見られました。00年に行った調査では、国内 出張費用の削減に取り組む企業は5割に上り、その具体的内容として、「グリーン車の利用制限」を3割弱が挙げていました(後掲[図表4])。このような取 り組みを背景に、グリーン車を認めない企業が増えてきたといえるでしょう。それに加え、経営層では出張の際の時間も有効活用するため仕事に集中できるグ リーン車を利用していましたが、本数の増加や走行時間の短縮など運行環境の改善や役員自身のコスト意識の徹底という観点からも、利用の見直しが進んだもの と考えられます。
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