2014年賃上げの見通し―労使および専門家540人アンケート
一般財団法人 労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、1974年から毎年、来る賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、「賃上げに関するアンケート調査」を労・使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施しています。本記事では、2014年の調査結果より、「実際の賃上げ見通し」「自社における2014年定昇・ベアの実施」「自社の賃上げ、賞与・一時金の方向性」などについて紹介します。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
◎調査名:「2014年賃上げの見通し―労使および専門家540人アンケート」
1. 調査時期:2013年12月9日~2014年1月15日
2. 調査対象:被調査者5679人(内訳は下記のとおり)
◇労働側→東証第1部および2部上場企業の労働組合委員長等1919人(労働組合がない企業は除く)
◇経営側→東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長2025人
◇労働経済分野の専門家→主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1735人
3. 回答者数および集計対象:1月15日までに回答のあった合計540人。対象別内訳は、労働側222人、経営側161人、労働経済分野の専門家157人
4. 集計要領方法:賃上げ額・率は東証第1部・2部上場クラスの一般的な水準を目安に回答いただいたもので、定期昇給込みのものである。「賃上げ額」「賃上げ率」はそれぞれ別の項目として尋ね、具体的な数値の記入があったものをそのまま集計したため、両者の間には必ずしも関連性はない。
実際の賃上げ見通し
- 全回答者の平均:6413円・2.07%
- 労使の見通し:労働側6653円・2.15%、経営側6080円・1.96%
額・率の見通し
2014年の賃上げ見通しを東証第1部・2部上場クラスの主要企業を目安とした世間相場の観点から回答いただいたところ、全回答者の平均で6413 円・2.07%となりました。厚生労働省調査における主要企業の昨13年賃上げ実績は5478円・1.80%であり、これを935円・0.27ポイント上 回る予測です。
労使別では、労働側6653円・2.15%、経営側6080円・1.96%となりました。本アンケートにおける「実際の賃上げ見通し」は、ここ数年、労働側と経営側の平均値が極めて近接した水準で推移していました【図表1】。景気や企業業績が回復基調にあり、政府の賃上げ要請などもあって社会的にも賃上げムードが見られる中、14年は、労使の見通しにやや開きが生じる結果となりました。
賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が最も多く、「1.8~1.9%」がこれに続きます。1.8~2.1%の範囲に、労働側では4割 超、経営側では6割超が集中しています。各種調査による大手企業の“定期昇給率”は平均で1.6~1.8%程度とみられ、今回の調査では定昇率を 「1.8%」と提示しています。定期昇給制度を持たない企業もあるため一様にはいえませんが、おおむね“定昇+α”との見方をする人が多くなっています。
留意点
実際の賃上げ見通し」については、調査票上に以下のデータを提示し、それを目安として東証第1部・2部上場クラスの主要企業における2014年の賃上げがどうなるか、世間相場の観点から回答いただいた。なお、賃上げ額・率は定期昇給込みのものである。
(1)厚生労働省調査による主要企業の昨13年賃上げ実績は5478円・1.80%
(2)上記から推測される大企業の賃上げ前基礎ベースは31万円程度
(3)定期昇給のみの場合は1.8%(5580円)程度
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。