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【歯科技工士】
患者一人ひとりの“口福”のために
歯の健康後進国・日本を支える縁の下の力持ち

フィギュアや模型の製作で知られる世界有数の造形集団「海洋堂」の草創期に、レジンと呼ばれる素材を使って、驚くほどリアルにフィギュアを複製する技術を経営者に教えたのは、友人の「歯科技工士」だったという。レジンは、入れ歯を作るための歯科材料。歯科技工士の技術の高さや手先の器用さを物語るエピソードだが、医療系の専門職である歯科技工士の仕事に必要なのは、技術だけではない。直接触れあうことのない患者の“口福”を思う心こそが、腕を磨き、技を極める。

「後悔先に立たず」だが、失われた歯を補う技術は日々進歩

雑誌『プレジデント』(2012年11月12日号)がシニア層(55~74歳)の男女1000人を対象に、いくつかのジャンルについて「いま何を後悔していますか?」とたずねるアンケート調査を実施したところ、健康面に関する後悔の第1位は「歯の定期検診を受ければよかった」だった。バリバリ仕事をしていた頃は、歯の治療に行くヒマもない。まして歯が痛むわけでもないのに定期検診なんて……と安易に考えていたのかもしれない。現役のビジネスパーソンにも思い当たるフシがあるのではないだろうか。ところが、リタイアしてから歯医者にかかってみると、もうすでに手遅れ。せっかく時間に余裕ができて、趣味や社交に時間を使えるようになっても、歯のトラブルに悩まされて思うように楽しめないというシニア層は、想像以上に多いようだ。

実際、歯の健康に対する意識が高い欧米の国々とわが国の歯科定期検診の受診率を比較してみると、スウェーデン、アメリカがそれぞれ80%以上、70%以上なのに対し、日本はわずか10%未満。定期検診受診率の高い国ほど多いとされる高齢者の残存歯数も、日本の場合は80歳で平均12.2本と、永久歯28本の半分以下にまで減ってしまう。

歯科技工士 イメージ

優雅な老後生活が、歯のトラブルで
思うように楽しめないなんてことも

高齢者に限らず、人間の歯は一度傷ついたり、失われたりするともとには戻らない。虫歯になっても骨のように体が自己修復することはないので、治療の際は、歯科補綴(ほてつ)物と呼ばれるかぶせ物や義歯などで欠損した箇所を補わなければならないのだ。そうした人工物を、歯科医師らがとった歯形や指示書に従って作成し、加工、修理を行うのが、国家資格を有する歯科技工士の仕事である。歯科医師や歯科衛生士とは異なり、患者の口内に直接触れることはないものの、高度な精密技工技術をもって歯科医療の一端を担う、医療系の専門職だ。

歯科技工士が手がける補綴物は多岐にわたり、その素材もさまざまだ。差し歯や部分入れ歯、総入れ歯のほか、俗に“銀歯”と呼ばれる王冠に似た形状のかぶせ物“クラウン”や失われた歯の形と機能を補うために残存する近くの歯との間をつなぐ“ブリッジ”、顎の骨に埋め込んだ支柱を支えに歯の形と機能を回復する“インプラント”、さらには歯列矯正などで用いる矯正装置まで、口内に装着される人工物全般を幅広く取り扱う。

一般の目に触れることはほとんどないが、歯科技工士の仕事といえば、細かい手作業のイメージが強いだろう。しかし、近年の歯科技工の現場では、歯科用CAD/CAM(制作物の設計・生産工程をコンピューター制御の機器に置き換える一連のシステム)の導入が増えている。歯科技工士がCADオペレーターとして設計した補綴物の三次元データを、3Dプリンターで造形したり、大小さまざまな加工機で切削したりする先進技術により、従来は手作業に頼っていた工程を効率化し、品質の安定や納期短縮を図っているのだ。義歯の高さやバランスなどの最終調整は手作業で行うものの、一日の仕事の大半をコンピューターに向かっての作業に費やす歯科技工士も少なくないという。

QOLを守るためにミリ単位以下の精度で“人工臓器”を作る

冒頭で述べたように、日本のシニアの多くが、歯の定期検診を受けなかったことを後悔している。歯を失ったり、あるいはせっかく治療しても差し歯や入れ歯が合わなかったりすると、見た目の審美性はもちろん、「噛み砕く」「飲み込む」「呼吸する」「発音する」といった日常生活に必須の機能が妨げられ、いわゆる“QOL(quality of life=生活の質)”が著しく損なわれるからだ。その不便さや不快感は想像以上で、人生の満足度にさえ影響を及ぼしかねない。超高齢化社会において、歯科技工士の果たす役割はますます重要となっている。

歯科技工士 イメージ

患者と向き合うことはなくても、
その人の“口福”のために――

誰しも経験があるだろう。少しでも歯が痛んだり、しみたりすると、気になって物事が手につかなくなる。歯科技工士が作る義歯や矯正装置は、それほど敏感で、繊細な人間の口の中に入れる“人工臓器”の一種なのだ。だからこそその作業には、ミリ単位以下の精度を最大限に追求する正確で緻密な技術が欠かせない。歯科技工士というと、手先の器用さばかりが重要と思われがちだが、適性としてより大切なのは、そうした技術や知識を身に付けるためにコツコツと努力し、患者が満足するまでけっして妥協しない真面目さや丁寧さ、根気や集中力である。

また、医療専門職として、先述のCAD/CAMのような最新の歯科医療に関する知識やスキルをつねに吸収し、提供する貪欲な姿勢や向上心も求められる。

歯科技工士とは、患者と直接触れ合うことはないものの、生きていく上で極めて重要な歯の健康を通じて、人々の幸福=“口福”にまで貢献できる縁の下の力持ち、陰のスペシャリストだといえるだろう。たとえ相手の顔は見えなくても、一人ひとりの痛みや苦しみに寄り添い、その笑顔を思い浮かべながら緻密な作業に没頭できることに誇りややりがいを感じられる――そんな“職人気質”の人にこそ向いている仕事ではないだろうか。

歯科技工士は国家資格、待遇悪化で人材の海外流出が進む恐れも

歯科技工士は国家資格であり、仕事に就くためには、毎年実施される歯科技工士国家試験に合格しなければならない。高校卒業後、歯科技工士教育機関に入学し、2年以上学んで必要な知識と技能を習得すると歯科技工士国家試験の受験資格が得られる。歯科技工士教育機関には、2年制・3年制の専門学校や4年制の大学、2年制の短大があり、いずれも国家試験で課される内容を念頭に置いた実践的な教育・養成を行っているため、試験合格率は90%以上とかなり高い。合格後、保健所に免許申請を行い、歯科技工士免許証が交付されれば、晴れて国家資格を有する歯科技工士として活動できるようになるのだ。

歯科技工士の就業先としては、(1)歯科診療所や病院などから発注を受けて歯科補綴物や矯正装置などの作成から納品までの一連の作業を行う歯科技工所、(2)自前の歯科技工設備を有する歯科診療所(歯科医院)や総合病院、(3)歯科器材・材料関連企業、(4)歯科技工士教育機関などがあるが、歯科技工士としての本来の仕事にたずさわる道は(1)か(2)に限られる。また、歯科技工士は開業が認められている職業なので、経験と技術を磨いて起業し、自分の歯科技工所を経営している人も少なくない。

厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査によると、歯科技工士の平均年収は41.2歳で約427万円となっている。医療系専門職としてはやや少なめで、医師や看護師などに比べると低い水準にあることは否めない。歯科診療所の数が68592ヵ所(2014年)とコンビニエンスストア(約52000店、15年)を上回った昨今、過当競争で歯科医の経営が悪化し、そのしわ寄せが“下請け”の立場の歯科技工所や歯科技工士に及んでいるともいわれる。日本より歯科需要の高い欧米で活躍する歯科技工士が増えているのも、こうした国内の厳しい状況と無関係ではないだろう。海外においては、わが国のように歯科技工士に国家資格を義務付けていない国も少なくない。日本の歯科技工士の技術は世界からも高い評価を受けているが、それだけに海外への人材流出は悩ましい問題だ。

この仕事のポイント

やりがい生きていく上で極めて重要な歯の健康を通じて、人々の幸福=“口福”にまで貢献できる
就く方法歯科技工士教育機関で2年以上学び、歯科技工士国家試験の受験資格を得て受験。合格後、保健所から歯科技工士免許証の交付を受ける
必要な適性・能力・手先の器用さ ・技術や知識を身に付けるためにコツコツと努力する姿勢 ・けっして妥協しない真面目さや丁寧さ、根気や集中力 ・最新の歯科医療に関する知識やスキルをつねに吸収し、提供する貪欲な姿勢や向上心
収入平均年収は41.2歳で約427万円(厚生労働省 平成27年賃金構造基本統計調査より)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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